弁護士コラム

2022.04.20

何も言わなくても詐欺罪??

先日、沖縄の那覇空港にある30分無料の空港駐車場で、不正に駐車料金を免れようとしたレンタカー会社の従業員らが詐欺罪で逮捕されたニュースを目にしました。
どうやら、禁止されている空港の駐車場でレンタカーの引き渡しを行い、レンタカー利用者の人には別の車で直前に駐車場に入った駐車券を渡し、従業員らは窓口で「駐車券をなくした。30分以内である。」などと嘘を伝えて駐車料金の支払を免れたという事で逮捕されたとのことです。

こうした駐車場を利用したレンタカー会社の不正な受け渡しは横行しているようで、そうした不正が行われると空港の駐車場がすぐに満車になってしまうそうです。
私も子どもが飛行機を見たいというので、たまに福岡空港の駐車場を使うのですが、よく駐車場が埋まっていることがあり、そういった不正で駐車場が利用されているのであれば迷惑なのでやめて欲しいと思います。

駐車券をなくしたと嘘の申告

上記ニュースの従業員は、詐欺罪を理由に逮捕されています。

詐欺罪が認められるためには、文字通り人を騙す行為(法律用語で「欺罔(ぎもう)行為」といいます。)が必要になります。

この欺罔行為についてですが、人を欺く行為と聞いて一般の方が思い浮かぶのは、投資詐欺のように「必ず儲かるから」「元本保証をするから」などと言って、騙して投資を促す積極的な行為を想定すると思います。
上記の事件での欺罔行為も、ずっと長時間レンタカーを止めていたにもかかわらず「30分の利用である」と虚偽の事実を積極的に告げているため、この類型に該当します(積極的詐術行為)。

詐欺罪は、このような積極的な詐術行為だけでなく黙示的な詐術行為の場合にも成立します。

例えば、1円もお金をもっていない状態で飲食店に行き、注文をし料理を食べる行為も詐欺罪に該当します(いわゆる「無銭飲食」という行為です。)。
この行為は、上記のように積極的にだましてはいませんが、飲食店で料理を注文するという行為は、料理の代金を払うという意思を表示していることになります。
しかし、1円も持っていない状態であること知りながら注文するということは本当は払う意思が無いのにもかかわらず代金を払う意思を表示しているため、相手を騙しているということになります(このような詐欺を黙示的詐術行為といいます。)。

同じ類型の行為として、生活苦などで複数の消費者金融からお金を借りている多重債務者の方が、自転車操業の状態も行き詰まり返すことができないという状況を知りながらローンが通る消費者金融からお金を借りる行為についても、返済する意思がないにもかかわらずお金を借りる(返すという意思を表示していることになります)という行為も詐欺罪に該当することになります。
債務整理をしていて多重債務というだけで詐欺罪で検挙されるというケースはあまり多くはありませんが、例えば他の消費者金融への借金額や自身の収入額を大幅に嘘をついていた場合などと合わさって詐欺罪で被害届が出される可能性はゼロとは言い切れませんので、借金で悩まれている方は早めに弁護士へ相談することをお勧めします。

そして、上記の黙示的な詐術行為の中には何も言わなくても詐欺罪になる場合もあります。

釣銭詐欺という状況なのですが、レジでお金を払い店員が釣銭を間違えていると知りながら、何も言わずにそのままお釣りを多く受け取る行為も詐欺罪に該当すると言われています。

客としては、店員が釣銭を多く払おうとしているときにはその旨を指摘する義務があるとして、その義務を怠り何も言わずに釣銭を受け取る行為は詐欺に該当するとされているのです。

釣銭を多くもらってラッキーという経験をしたことがある人も少なくないのではないかと思いますが、現に釣銭詐欺で逮捕された事例もあるため注意が必要です。
なお余談ですが、釣銭詐欺が成立するためには釣銭が間違えていることを受け取る前に気づいている必要があり、釣銭を受け取った後で釣銭が間違っていることに気づいたがそのままにしていたというケースでは詐欺罪は成立せず、民事上の返還義務だけが残ります。

このように色々な行為が詐欺罪に該当する行為となるのですが、詐欺罪の立証は騙す意思(故意)があったという内心の状態を立証することが非常にハードルが高いと言われていますので、詐欺被害に遭われたという方は是非お気軽に弁護士にご相談ください。

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