弁護士コラム

2022.02.24

なんでもハラスメント?
~現代のハラスメントの問題点~

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先日、ニュースで、コロナ禍でお客さんによるカスタマーハラスメント略して「カスハラ」がさまざまな業種で起きていることが報じられました。
とあるホテルで、「男性客が従業員に『クビだ!』と罵声を浴びせ、土下座を強要するだけではなく、ホテルの最上階の部屋の宿泊を要求した」などという状況を撮影したニュース番組の映像が流されていました。

そして、少し前まではハラスメントというと、セクシャルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)ぐらいでしたが、現在は、多種多様なハラスメントがあり、その数が50個近くもあると紹介されていました。
私もハラスメントについて調べてみました。
今日は、ハラスメントについての一例をご紹介するとともに、ハラスメントについて弁護士としての意見をお伝えしたいと思います。

〇時短ハラスメント(ジタハラ)・・・働き方改革の一環で長時間労働が問題視されるようになり、会社でも残業をしないよう上司から指示されることも多いと思います。しかしながら、残業しなければ終わらないような業務量であるにも関らず定時に帰るように強要され、自宅などでの作業を余儀なくされるなど、残業代が出ない残業をする羽目になっている現状があるそうです。

〇フォトハラスメント(フォトハラ)
SNSが普及している現在では、許可なく写真をSNS等にアップロードされることもハラスメントとして定義されるようになりました。

〇ヌードルハラスメント(ヌーハラ)
前2つのハラスメントは、現代で新たに出てきた重要なハラスメントであると思いますが、こんなものもハラスメントとして取り上げるべきものなのかというもので「ヌードルハラスメント」というものがありました。
すなわち、ラーメンやそばなどをすするときの音がハラスメントだというのです。
ヌーハラ

 

このように、現代ではさまざまなハラスメントが定義されるようになりました。
様々なハラスメントが定義されることで、今まで声をあげることができなかった弱い立場にいた人が、「ハラスメントである」と声を上げられるようになったことは、とてもいいとは思います。

しかし、その反面、上記のヌーハラのように、ハラスメントとして定義すべきであるかのようなものまで何でもハラスメントになってしまうと、ハラスメントと主張すること自体がハラスメントになってしまうのではないかと思います。
そう思って調べると、何かにつけてハラスメントであると言いがかりをつけることを、ハラスメントハラスメント(ハラハラ)と定義していることが分かりました。

このように様々なハラスメントが定義されている現代ですが、法律上問題になるのが、当該行為が損害賠償の支払を義務付けられるような違法な行為に該当するか否かです。

すなわち、辞書的な意味でのハラスメント「いやがらせ」という意味では、相手方不快な感情を抱けばハラスメントに該当することになりますが、民事上問題となるのは当該ハラスメント行為が違法な場合、すなわち、その行為を行ってはいけないという法的義務が認められる場合に、その義務に違反した場合にのみ初めて損害賠償責任を負うことになり、単に相手が不快な感情を抱けば賠償責任となるものではありません(上記ヌーハラでも、音をだして麺をすすってはいけないという義務が認められるわけではなく、すすっている音がイヤという人が損害賠償を請求できないというのはお分かりになると思います。)。

大事なのは、どういったハラスメントが存在するかということよりも、具体的どういった行為が賠償責任を負うかということを会社や個人それぞれがしっかり認識し、みんなが生活しやすい状況を作り出すということではないかと思います。

そういった意味では、上記のフォトハラなどは、SNSになじみがない方などには認識すら難しいものであると思うので、ハラスメントが注目されている機会に知ることはとても有意義だと思います。

どういった行為が禁止すべきハラスメントに該当するかについては、法的問題であるため、経営者の皆さまは会社での指導を行う前などに是非一度弁護士に相談されることをおすすめします。

 

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