弁護士コラム

2018.04.19

親権者の判断基準④

<ご相談者様からのご質問>

 妻との離婚を考えています。先月に妻が5歳の長男と一緒に実家に帰ってしまいました。
はじめのうちは,母親が育てる方がよいのではないかと考えたのですが,やはり自分が親権を欲しいと考えています。
先生の話では現在の監護状況が継続することが大事であるとのことでしたので,何としても子どもをこちら側に引っ張ってきたいと考えています。問題はないでしょうか。

<弁護士からの回答>

 前回ご説明したとおり,子の親権者の判断においては,現状維持,すなわち,現在生活している環境が特段問題なく,変更後の環境との優劣がない場合には,現状の環境を維持すべきであると考えられています。では,ご相談者様の事例のように現状を確保するために,お子さんをご相談者様側に引き戻すことは適切なのでしょうか。

今回は,違法な奪取行為が親権者の判断に与える影響について協議させていただきます。
  前回ご説明したように,現状維持については,親権者の判断要素となります。しかし,現状維持についてのみを優先してしまうと,現状維持を確保するために,子どもを連れ去ることにより監護実績を確保するだけで,親権者の判断にとって有利な状況を作出することが可能になってしまい,連れ去りが横行してしまい,子の福祉を著しく害することになってしまいます。

 そこで,親権者の判断においては,違法な連れ去りを行った場合には,親権者としての適格性を欠くとして,親権者の判断においては非常に不利な状況に陥ることになってしまいます。

 具体的には,面会交流中に子どもを引き渡さずに拘束したまま返さない場合や,子を連れて別居した妻から,実力行使により子を連れ去る行為や子の監護について夫婦で協議していたにも関わらず,その協議に反し,事実上監護状態を作出する行為などは,違法な連れ去り行為等に該当すると判断されています。特に最初にあるように,実力行為により子どもを奪取する行為は,親権者であったとしても,未成年者略取罪として犯罪行為に該当しうる行為ですので,絶対にやめた方がよいでしょう。

 このような,違法な連れ去り行為等を行ってしまうと,相手方が弁護士に依頼をした場合,直ちに,子どもを引き渡すよう,裁判所を通じて求めてきます(子の引渡しの審判といいます。
審判については別の機会にご説明します。)。そして,違法な連れ去り行為を行った当事者に対しては,親権者の判断において非常に不利になってしまうばかりか,親権者として認められなかった後の面会交流の条件面においても一度違法な連れ去り行為を行っている以上,信用性に欠けるとして非常に制限された面会交流しか認められない場合や,程度によっては面会交流が認められない可能性もでてきます。

 ご相談者様の事例においても一定程度,相手方の監護下における生活が継続している以上,強制的に連れ去ってしまう行為は,違法な連れ去り行為と判断されてしまう可能性が髙いといえます。別の機会にもご説明しますが,親権について固執するのか,親権者という形ではなく面会交流によりお子さんとの交流を実現すべきであるのかについては,十分に考えなくてはいけない事項ですので,是非一度弁護士にご相談ください。

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