弁護士コラム

2019.04.08

【相談事例33】裁判員裁判について①~裁判員裁判とは~

【相談内容】

昨年の11月頃に突然裁判所から郵便が届き、私が裁判員の候補者に選ばれたという内容が書かれていました。

私はもう裁判員になったということでしょうか。そもそも、裁判員裁判についてよくわかっていないので教えてもらえませんか。

【弁護士からの回答】

平成16年5月に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し、平成21年5月21日から、裁判員制度が開始し、今年(平成31年)で、開始から10年が経過しようとしています。

皆様も裁判のニュースなどで裁判員裁判という名前自体は聞いたことがある方も多いと思います。
しかしながら裁判員としてどんな活動をするのかについては把握されていない方が多いと思いますので、今回から数回にかけて裁判員裁判制度についてご説明させていただきます。

1 裁判員制度とは

裁判員制度とは、一般の人が、裁判員として刑事裁判に参加し、起訴された人(被告人)が有罪か無罪か、有罪の場合にはどのような刑を被告人に科すかということを、裁判官とともに判断する制度をいいます。

重大な犯罪についての刑事裁判に一般の人が参加することにより、一般の方が持っている日常感覚や常識を刑事裁判に反映することを主たる目的として始まった制度になります(どのような事件が裁判員の対象となる事件かについては、別の機会にご説明させていただきます。)。

通常、裁判官3名、裁判員の6名、合計9名という構成(合議体といいます。)で裁判を行いますが、例外的に被告人が事実関係を争わない場合には裁判員4名、裁判官1名で審理する場合もあります。

2 裁判員の活動内容

裁判員は、裁判における審理に参加し、裁判官とともに、証拠調べを行い(書証や証言などを見聞きすることです。)、有罪、無罪の判断や有罪の場合にどのような刑を科すかという量刑についても判断することになります。

なお、法律に関する専門的な知識が必要な事項や、訴訟手続についての判断は、裁判官が行うことになります。

また、証人尋問や被告人質問の際には、裁判官のみならず、裁判員も被告人や証人に対し、質問をすることができます。

裁判員の具体的な活動内容については、別の機会にもご説明させていただきます。

3 裁判員の選任方法について

まず、全国の地方裁判所ごとに、翌年の裁判員候補者名簿をくじで選んで作成し、毎年11月頃に、裁判員候補者名簿に登録された人に対し通知を行います。

ご相談者様にも裁判員候補者名簿に登録されたという通知が来たとのことですが、この通知は、簡単にいうと、来年1年間裁判員裁判対象事件が起訴された場合に、裁判員に選ばれる可能性があるということを通知するものになるため、この通知が来た段階では、まだ裁判員になったというわけではありません。

その後、裁判員裁判対象事件が起訴された場合、事件ごとに、裁判員候補者名簿の中からくじ引きでその事件の裁判員候補者が選ばれることになります。

そして、裁判員候補者は裁判所において裁判官と面談などを行い、最終的に候補者の中から6名が裁判員として選ばれることになります。

次回は、どのような事件が裁判員裁判の対象となるかについてご説明させていただきます。

 

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