弁護士コラム

2019.04.05

【相談事例32】自由に名前を変えられる?~改名するためには~

【相談内容】

先日ニュースで、自身の変わった名前を変更することができた人のことを取り上げていました。

私の名前は変わった名前というわけではなく、今の名前で支障が生じたりすることはないのですが、他の名前に変えたいと考えているのですが、どのような場合に名前を変えることができるのでしょうか?

【弁護士からの回答】

数年前より、自分の子どもの名前に、キャラクターの名前や、当て字などで通常読み難い名前などのいわゆる「キラキラネーム」という言葉を多く目にするようになってから、今後、改名を希望する人が増えるのではないかと個人的には考えていました。

先日ニュースで話題になった、改名を行った方についても、同じように一般的にキラキラネームに該当しうるお名前のケースだと思います。
今回はどのよう場合に改名が認められるか等についてご説明させていただきます。

1 改名の手続きについて

改名とは、大きく分けると「氏の変更」「名の変更」の二種類があります。
「氏の変更」とは、苗字を変更する手続きであり、「名の変更」とは、苗字と名前のうち、名前を変更するものであり、いずれも戸籍法に記載されています。
いずれの手続きにおいても、裁判所の許可を得て役所へ届け出ることが必要になります。

これは、氏名というものは、その人を特定する唯一無二の呼称であるため、自由に変更を認めてしまうと、その人個人を特定することができず、社会的にも混乱が生じてしまう可能性があるため、裁判所が許可した場合に限り、氏の変更や名の変更を認めているのです。

2 「名の変更」について

上記のとおり、氏名とは、個人を特定するためのものであり、一度定められた氏名について自由に変更されてしまうと、個人の特定が困難になってしまいます。
したがって、戸籍法上、名の変更が認められるためには、「正当な事由」が必要とされています(107条の2)。

「正当な事由」が認められる場合とは、営業上の理由より先代の名を襲名する場合や、通称名を非常に長期間使用しており、通称名の方が社会的に定着しているっ場合や、同姓同名の人がいて、生活上で支障がある場合などには認められていますが、そのような事情がない場合には、従前の氏名を継続することと、改名することの利益不利益を総合的に考慮して、変更する利益が大きい場合には認められるとされています。

したがって、ニュースで取り上げられたようなキラキラメールといった珍奇な名前の場合にはその名前を使用することによる不利益が大きいと認められる場合が多いといえるため、名の変更は認められる可能性が大きいでしょう。
しかし、ご相談者様のような主観的な理由のみによる変更については、必要性がないとして一般的には認められていません。

3 「氏の変更」について

氏(苗字)については、出生により授けられ、結婚、離婚、養子縁組等身分関係が変更するときに変更される以外は、基本的に変更されるものではなく、親族関係等を基礎づけるものとして非常に重要であるため、氏の変更が認められる要件としては、戸籍法上「やむを得ない事由」が必要であるとされており(107条)、名の変更よりも厳格な要件が設定されています。

名の変更では同姓同名の人がいる場合には認められていましたが、同姓同名の場合に氏を変更することは認められていませんし、いわゆるキラキラネームの場合であっても氏を変更することは認められていません。

4 最後に

氏名というものは、個人のアイデンティティの観点から非常に重要なものですが、キラキラネーム等のように名前により、苦しい思いをされているかたもいらっしゃると思います。

現在の名前で苦しい思いをされている方であっても家庭裁判所にて許可を得なければ名前を変えることはできないため、氏名でお悩みの方は一度弁護士にご相談ください。

 

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