弁護士コラム

2026.03.26

別居しても離婚してくれない場合の対処法|離婚事由がある場合・ない場合の進め方を弁護士が解説


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別居しても離婚してくれない場合の対処法|離婚事由がある場合・ない場合の進め方を弁護士が解説

 

別居までしているのに、相手が離婚に応じず、話し合いが止まったままになっている──こうした状況になると、その後の進め方に整理がつかず時間だけが経過してしまうこともあります。別居していることだけを理由に直ちに離婚が成立するわけではなく、不貞などの離婚事由があるかどうかによって、取り得る手段や見通しは大きく異なります。本記事では、別居しているのに離婚に応じない相手に対し、どのような法的手段が考えられるのかを弁護士がわかりやすく解説します。

第1章 別居しているだけで「離婚」とはならない

1-1 法律上、別居だけを理由に離婚が成立するわけではありません

たとえ長期間にわたり別居が続いている場合であっても、そのことだけで法律上の夫婦関係が解消され、離婚が成立するわけではありません。別居は、夫婦としての共同生活の実態が失われていることを示す重要な事情ではありますが、それ自体が離婚の成立要件となるものではないためです。
実際には、別居している状態が続いていても、相手方が離婚に応じていない限り、法的には婚姻関係は継続します。別居している期間が長いことから、具体的な手続きを取らないまま時間を逃してしまうケースも見られますが、きちんと離婚を成立させるためには、別途の対応が必要になります。

1-2 相手の合意がない場合に必要となる「法定離婚事由」とは

相手方が離婚に応じず、離婚届への署名を拒否している場合には、当事者間の合意による離婚は成立しません。この場合、家庭裁判所の手続を利用して離婚を求めていくことになります。
具体的には、調停を経たうえで離婚訴訟に進み、裁判所に離婚を認めてもらう必要があります。このとき重要になるのが、法律上認められた離婚の理由、いわゆる「法定離婚事由」です。
協議や調停の段階では、双方が合意すれば理由の内容を問わず離婚することが可能です。しかし、裁判において裁判官が離婚を認めるためには、民法で定められた離婚原因に該当することが前提となります。そのため、相手の同意が得られない場合には、自身のケースがどの離婚事由に当たるのかを整理することが重要になります。

第2章 不貞行為やDVなど「明確な離婚事由」があるケース

2-1 裁判所に認められる5つの離婚原因

別居しているにもかかわらず相手が離婚に応じない場合でも、不貞行為やDVといった明確な離婚事由があるときには、裁判所の手続によって離婚が認められる可能性があります。
民法では、裁判上の離婚が認められる原因として次の5つが定められています。

・配偶者に不貞な行為があったとき(いわゆる不倫)
・配偶者から悪意で遺棄されたとき(正当な理由なく同居や生活費の負担を拒む場合など)
・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
・その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

実務上問題となることが多いのは、主に不貞行為やDV、そして最後の「婚姻を継続しがたい重大な事由」です。この「重大な事由」には、継続的なモラハラ、過度な浪費、長期間の別居などが含まれ得ますが、個々の事情を踏まえて総合的に判断されるため、どの程度で該当するかは一律には決まりません。

2-2 証拠がある場合の交渉・調停・訴訟の進め方への影響

別居に至った原因として不貞行為やDVがあり、それを裏付ける証拠が整理されている場合には、離婚に向けた手続の見通しを立てやすくなります。
例えば、別居前後のやり取りや、不貞の証拠となる記録、暴力に関する診断書などがある場合には、調停の段階でも相手が離婚に応じる方向で検討することがあります。仮に合意に至らず訴訟に移行したとしても、裁判所において離婚が認められる可能性が相対的に高まるためです。
もっとも、どのような証拠があれば十分といえるかはケースによって異なり、証拠の内容や取得経緯によって評価が分かれることもあります。別居に至った事情を含め、証拠の整理や収集方法については早い段階で検討しておくことが重要です。

2-3 有責配偶者からの離婚請求は慎重に扱われる

不貞行為や暴力などによって婚姻関係の破綻を招き、その結果として別居に至った側(有責配偶者)からの離婚請求については、裁判では原則として慎重に扱われます。
これは、自ら関係を悪化させた当事者が、その状態を前提に離婚を求めることを広く認めてしまうと、相手方の保護に欠けるためです。
もっとも、別居が長期間に及んでいる場合や、未成年の子がいない場合など、一定の条件がそろうと、例外的に離婚が認められることもあります。したがって、別居しているという事実だけでなく、その経緯や責任の所在も含めて検討する必要があります。

第3章 性格の不一致など明確な離婚事由がない場合の考え方

3-1 「婚姻を継続しがたい重大な事由」として評価されるには

別居しているにもかかわらず、不貞行為やDVのような明確な離婚事由が見当たらない場合には、離婚したい理由が「婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるかどうかが中心的な争点になります。
判断にあたっては、単に別居しているという事実だけでなく、別居に至った経緯や現在の夫婦関係の状況が踏まえられます。夫婦関係が実質的に破綻しており、共同生活の再開が現実的に見込めない状態にあると評価されることが重要になります。
そのため、「性格が合わない」といった理由だけでは足りず、別居に至るまでの経過や、その後の関係性の状況を具体的に整理する必要があります。

3-2 別居期間が重要視される理由と目安となる期間

明確な離婚事由がない場合には、別居期間の長さが重要な意味を持ちます。
長期間にわたり別居が続いているという事実は、夫婦としての実態がすでに失われていることを示す事情として評価されやすく、婚姻関係の破綻を基礎づける要素の一つとされています。
もっとも、どの程度の期間があれば離婚が認められるかについて、明確な基準が定められているわけではありません。一般的には、数年単位の別居が継続している場合に離婚が認められる可能性が検討されることが多いものの、婚姻期間とのバランスや個別の事情によって結論は変わります。

3-3 婚姻期間・子の有無など総合判断される要素

これまで触れたように、別居していても、それだけで直ちに婚姻関係の破綻が認められるわけではありません。裁判になった場合、裁判所は夫婦関係の全体像を踏まえて判断を行います。
具体的には、次のような事情が考慮されます。

婚姻期間の長さ

別居期間が数年あっても、婚姻期間が長い場合には「夫婦関係が一時的に悪化している可能性もある」と評価されやすく、直ちに破綻しているとは認められにくい傾向があります。反対に、婚姻期間が短い場合には、別居期間とのバランスやその他の事情も踏まえ、夫婦関係の破綻が認められる可能性もあります。

未成年の子の有無や年齢

子どもがいる場合には、家庭環境への影響も踏まえた検討がなされます。

別居後の交流状況

別居後も接触が続いている場合には、関係が完全に断絶しているとは評価されにくくなります。

3-4 婚姻費用の請求が交渉や調停に与える影響

別居中であっても、夫婦には生活を支え合う義務があり、収入の多い側は少ない側に対して生活費(婚姻費用)を分担する必要があります。
別居しているにもかかわらず離婚が成立しない場合、この婚姻費用の支払いが継続することになります。その結果、支払う側にとっては経済的な負担が続くため、離婚に向けた話し合いが進む契機となることもあります。
もっとも、婚姻費用は生活の維持を目的とする制度であり、交渉を有利に進めるための手段として過度に利用すべきものではありません。双方の収入状況を踏まえて適切な範囲で請求を行い、生活基盤を確保することが重要になります。

第4章 別居しているのに離婚してくれない場合の具体的な進め方

4-1 別居中の段階で弁護士を介して交渉を進める

離婚したいと思って別居しているにもかかわらず相手が離婚に応じない場合、当事者同士でのやり取りは感情的な対立が先行し、話し合いが停滞することが少なくありません。
このような状況では、弁護士を介して交渉を行うことで、離婚条件や争点を整理し、合意できる条件があるかを冷静に検討しやすくなります。特に、別居に至っている段階では、すでに関係が一定程度断絶しているため、直接のやり取りを続けるよりも、代理人を通じて整理された形で協議を進める方が有効な場面もあります。
また、弁護士からの連絡が入ることで、相手方が今後の手続を具体的に意識し、対応を検討する契機になることもあります。

4-2 別居状態を前提に家庭裁判所で離婚調停を申し立てる

当事者間での交渉がまとまらない場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
別居している場合には、すでに共同生活が解消されているため、調停では離婚そのものに加え、「離婚を前提とした条件の整理」に議論が及びやすいという特徴があります。
また、調停は調停員が双方の話を交互に聞きながら進めるため、当事者同士が直接顔を合わすことは基本的にありません。別居後に関係が悪化している場合でも、一定の距離を保ったまま話し合いを行うことができるため、この調停の段階で合意に至るケースというのは実務上も多いです。

4-3 調停でまとまらない場合は離婚訴訟に進む

調停でも合意に至らなかった場合には、離婚訴訟に進み、裁判所の判断を求めることになります。
訴訟では、これまでの別居の経緯や期間、夫婦関係の状況などが資料として整理され、離婚が認められるかどうかが判断されます。
不貞やDVなどの事情がある場合にはその証拠が中心となりますが、そのような事情がない場合でも、別居の継続状況や関係の断絶の程度が重要な検討材料になります。
そのため、別居後のやり取りの内容や、連絡の有無、生活状況の変化などについては、後から説明できるように整理しておくことが重要です。たとえば、どの時点から実質的に交流がなくなっているのか、どのような経緯で別居が継続しているのかといった事情は、手続の中で確認されることがあります。

第5章 別居中にやってしまうと不利になりやすい行動

5-1 別居後のやり取りで感情的な連絡や一方的な要求を続ける

別居しているにもかかわらず離婚に応じてもらえない状況では、相手とのやり取りが長期化しやすく、その過程で感情的なやり取りが増えてしまうことがあります。
しかし、電話やメール、メッセージで強い言葉を繰り返したり、執拗に連絡を取り続けたりする行動は避けるべきです。別居中のやり取りは記録として残りやすく、後の調停や訴訟において提出されることもあります。
その結果、「冷静な話し合いが困難な状態にある」と評価されたり、場合によっては過度な連絡として問題視されたりする可能性もあります。
別居後は距離があるからこそ、やり取りの内容や頻度に注意が必要です。

5-2 別居中の生活費や子どもの問題を後回しにしてしまう

別居しているからといって、生活上の義務がなくなるわけではありません。収入のある側は婚姻費用(生活費)を分担する義務を負い、子どもがいる場合には養育や面会交流についても配慮が求められます。
離婚の話し合いが進まないことを理由に、婚姻費用の支払いを一方的に止めたり、面会交流を拒否したりすると、後の手続において不利に働く可能性があります。
別居している状況だからこそ、形式的なやり取りにとどまらず、生活面の対応をどのように行っていたかが確認される場面もあるため、継続的かつ誠実な対応が重要になります。

5-3 別居中の経過ややり取りの記録を残していない

別居が長期化すると、日々のやり取りや生活状況について記録を残さないまま時間が経過してしまうことがあります。
しかし、別居に至った経緯や、その後の関係の変化は、調停や訴訟の場面で具体的に確認されることがあります。たとえば、どのような理由で別居に至ったのか、別居後にどの程度交流があったのかといった点は、夫婦関係の評価に影響を与える事情となります。
そのため、メールやメッセージの保存、やり取りの内容の記録など、後から説明できる形で整理しておくことが重要です。別居している期間が長くなるほど、こうした記録の有無が結果に影響することもあります。

第6章 離婚してくれない相手とのやり取りを弁護士に相談するメリット

6-1 別居していても話し合いが進まない場合に、争点を整理しやすくなる

別居しているにもかかわらず相手が離婚に応じない場合、当事者同士では同じやり取りが繰り返され、話し合いが前に進まないことがあります。とくに、感情的な対立が積み重なっているケースでは、何が本当の争点なのかが見えにくくなり、「離婚するかどうか」の話なのか、「婚姻費用や子どものこと」の話なのかが混在してしまいがちです。
このような場合に弁護士が入ると、別居に至った経緯、現在の生活状況、離婚事由の有無、今後の見通しといった事情を整理したうえで、どこが争点になっているのかを明確にしやすくなります。明確な離婚事由がある場合はその証拠をどう位置づけるかが重要になりますし、そうした事情がはっきりしない場合でも、別居期間や夫婦関係の実態をどのように整理していくかが大切になります。
相手がどうしても離婚に応じない状況では、当事者だけで解決しようとしても、話が前に進まず時間だけが過ぎてしまうことがあります。そのため、別居中の段階で一度弁護士に相談し、現状を法的な観点から整理しておくことが望ましいといえます。

6-2 やり取りを弁護士から行うことで対応が変わることがある

相手が離婚に応じない場合、離婚の話を避ける、返答を引き延ばす、感情的に反発するといった状態になることは少なくありません。こうした場面では、本人からの連絡では相手が真剣に受け止めず、状況が動かないままになることもあります。
弁護士から連絡を入れると、相手としても、単なる感情的なやり取りではなく、調停や訴訟を含めた法的手続が現実の選択肢として視野に入っていることを意識しやすくなります。その結果、それまで応答がなかった相手が返答するようになったり、離婚条件について話し合いに応じたりすることもあります。
もちろん、弁護士が連絡したからといって必ず相手が離婚に応じるわけではありません。ただ、別居しているのに相手がまったく動かないという場面では、連絡の主体が変わること自体に一定の意味がある場合があります。

6-3 明確な離婚事由がある場合も、ない場合も、見通しが立てやすい

別居しているからといって、すべてのケースで同じ進め方になるわけではありません。不貞やDVのような明確な離婚事由がある場合には、証拠の有無や内容を踏まえながら、調停や訴訟を見据えた対応を考える必要があります。これに対し、性格の不一致などで別居している場合には、別居期間、婚姻期間、子どもの有無、別居後の交流状況などを踏まえて、婚姻関係の破綻をどう整理するかが重要になります。
この違いを踏まえずに当事者だけで話を進めようとすると、必要な証拠を集めないまま時間が過ぎたり、自分にとって不利なやり取りを重ねてしまったりすることがあります。弁護士に相談すれば、自分のケースでは何が問題になりやすいのか、今の段階で何をしておくべきか、調停に進むべきかどうかといった見通しを早めに確認しやすくなります。

第7章 【FAQ】別居しているのに離婚してくれない場合によくある質問

Q1. 別居期間がどのくらいあれば、相手が応じなくても離婚できる可能性がありますか?

A1. 別居期間だけで一律には判断されません

別居期間は離婚が認められるかどうかを判断するうえで重要な事情の一つですが、「何年であれば必ず離婚できる」という明確な基準があるわけではありません。一般的には数年単位の別居が継続している場合に離婚が認められる可能性が検討されることが多いです。ただし、婚姻期間の長さや子の有無、別居に至った経緯なども踏まえて総合的に判断されます。

Q2. 別居期間はどの時点からカウントされるのでしょうか?

A2. 実質的に共同生活が解消した時点からです

別居期間は、単に住民票上の住所が分かれた時点ではなく、実際に夫婦としての共同生活が解消された時点からカウントされるのが一般的です。たとえば、同居中であっても家庭内での交流がほとんどなく実質的に別居状態と主張される場合や、逆に別居後も頻繁に行き来している場合などは、その評価が問題となることがあります。具体的な事情によって判断が分かれるため、別居の開始時期については個別に検討する必要があります。

Q3. 家庭内別居と判断されるには具体的にどのような状態であればよいですか?

A3. 生活実態として夫婦関係が分離しているかで判断されます

いわゆる「家庭内別居」は、同じ住居に居住していても、夫婦としての共同生活の実態が失われている状態を指します。具体的には、寝室が分かれている、食事や家事を別々にしている、日常的な会話や交流がほとんどないといった事情が積み重なり、実質的に夫婦関係が断絶しているかどうかが判断のポイントになります。
もっとも、単に一時的に距離を置いているだけでは家庭内別居と評価されるとは限らず、一定期間にわたり継続していることや、その状態に至った経緯なども含めて総合的に判断されます。したがって、「形式的に部屋を分ければ足りる」というものではなく、生活実態としてどの程度分離しているかを具体的に整理しておくことが重要になります。

第8章 別居しているのに離婚が進まない場合は早めの整理が大切

別居までしているにもかかわらず、相手が離婚に応じず、話が前に進まないケースは珍しくありません。もっとも、別居していることだけで直ちに離婚が認められるわけではなく、明確な離婚事由があるかどうかによって、取るべき対応や見通しは変わります。そのため、現在の状況を整理しないまま当事者同士でやり取りを続けていると、状況が整理されないままただ時間だけが過ぎてしまい、離婚までに想定以上の時間を要してしまうこともあります。別居しているのに離婚が進まないと感じている場合には、一度専門家に相談し、自身のケースでは何が問題となるのか、どのように進めるのが適切かを確認しておくことも一つの方法です。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)那珂川オフィスでは、離婚や別居に関するご相談に対応しています。状況に応じた進め方を整理したい場合にはお気軽にご相談ください。

 

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