弁護士法人菰田法律事務所(那珂川オフィスサイト)

【行動科学×消費者法】法学部でもやらない「消費者契約法第1条」の読み方と啓発

私を含め、このリスクを知らないが故に損をさせられていらっしゃる消費者が多いものと考えられるため、消費者契約法第1条の読み方を記事にすることといたしました。
事業者と並んで危険性が極めて高い存在を発見しましたので、ご紹介いたします。この記事で抑えて欲しいポイントはただ一つなので下部にそのポイントを記載します。

この考えの周知がされれば、消費者問題のほとんどのものが無くなるものと思われます。年金でやっと生活できているご老人に対する詐欺や、お金を失ってしまったがゆえに命を落としてしまうような悲劇を防ぐことができるのです。
わたしたちの力で、この仕組みを周知し、今お金を奪われて危機にさらされている生命を守るために「共有」のご協力をお願いします。

1.はじめに

突然ですが、ご自身のスマホをご覧になって4月のメールを見返して目を引くメールがある方、特に4月12日に目をひくメールが届いている方はこの記事を読み、行動しなければ損をするかもしれません。

私は、4月10日にローボール・テクニック(一度契約を結んだら不利益な変更にも私たちは従ってしまう)の例として、ある有名なサイトを例に出して記事を作成しました。
実際に掲載される前の案の状態でしたが、2日後にはそのサイトは1,000円の値上げに踏み切り、大胆な判断がなされていました。疑いをもっていたサイトがローボール・テクニックを使っていたことが証明されたのです。

とはいえ、マーケティングに行動科学などのテクニックを使うのは事業者からすれば正当な範囲内の事なので事業者には何の問題もありません。
では、消費者はどのように立ち向かえばよいのでしょうか。
以下でご説明したいと思います。

2.消費者契約法第1条を捉える

改めて、消費者として事業者と結ぶ契約の恐ろしさを申し添えたいと思っています。
ここでは、消費者契約法第1条の読み方として、消費者庁から発表されている資料を用いて解説したいと思います。

多くの法律は型のようなものが決まっていて、その立法趣旨は前のほうにあります。
特に第一条に目的規定がおかれることが多く、その法律のピュアな上澄みの部分が目的に規定されます。

消費者契約法をみてみると目的が前に出ているつくりになっています。

第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

消費者契約法はざっくり言うと「消費者」と「事業者」の間の「情報の質及び量・交渉力の格差」に鑑みて、「消費者の利益の擁護」を図っている法律なのです。

抽象的に書かれていますが、事業者の持つ情報(あえて知識や知恵・手法も含まれると読みます)と消費者が持つ情報は格差があまりにも大きいので、消費者の利益を擁護しましょうということを規定しているのです。

なお、消費者庁の定義では、情報の質:入手される情報の詳しさ、入手される情報の正確性、 入手される情報の整理の度合い情報の量:入手される情報量と定義されています。

消費者契約法第1条は、大半の法学部で開講される、消費者法や市民生活と法のような授業あるいは民法の授業で取り扱われないか、取り扱われはするが、パワーがあまりないがゆえにさほど重要視されないものです。

もちろん、消費者法の各条項をもって、悪徳業者を疑うのは大切ですが、手始めにもっと危険性の高い存在を疑わなければなりません。
そして、この条文をただ消費者保護の法律という視点から見たときに、それは99.9%、見えない存在なのでさらに厄介です。
このただ一文から、必死に本質をみようとしたときに、その危険性の高い存在は、うっすらと見えてきます。

それは誰のことでしょう?

それは1条の「事業者」よりも、「消費者」、つまり私達のほうだったのです。

この記事では、次の一文だけでいいので押さえて下さい。

ご自身の『判断力・解約力』を疑うという意識です。

自分は相応の対価を得ているからと思って支払い続けているお金はありませんか?
映画見放題・音楽聞き放題サービスも付いてくるなら!という考えで、毎月お金を納めていませんか?

以前も書きましたが、一度結んだ契約を、(たとえ解約する権利があっても)私たちは事実上なかなか解約できません。これは、私達自身の問題なのです。

そこで、私たちが率先して不要な契約については解約をしてゆくのが理想的な形です。
今自分が結んでいる契約の動きを観察することで解約すべきか否か検討することができます。

以前私は、毎月通信量が多く余っているのでそもそものベースプランを変えようと思い、かつて携帯電話にべったりとはりついた不要なサービスをすべて解約し、通信量も一番小さいプランへ変更しました。すると結構スッキリし、支出も減りました。

このように、契約は不都合が生じない程度に身の程にあわせてゆくことと、不要なものは解約してしまうことが重要なものと思われます。

3.おわりに

契約の評価や、契約の解約は第三者である法律事務所でも行えます。
すべての契約を把握できていない方は、一度法律事務所の無料相談を利用して、ご自身の出費に毎月どれだけのロスがあるかを把握するだけでも生活の質が違ってくるかもしれません。