弁護士コラム

2020.04.10

【相談事例63】居酒屋でどうしてビール瓶の栓が開けられてるの?

【相談内容】

最近はコロナの影響で、外でお酒を飲むことができず、家で晩酌をする機会が増えました。
家でビール瓶を開けていて思ったのですが、居酒屋などで瓶ビールを頼むと、いつも決まって栓が開けられた状態で持って来られている気がします。

私は自分で栓を開けて飲みたいなと思うのですが、予め栓が開けられて提供されているのには何か理由があるのでしょうか。

【弁護士からの回答】

コロナウイルスの影響で、福岡県にも緊急事態宣言が出され、外出の自粛要請により、飲食店を経営されている方の損失は計り知れない状況ではないかと心配していますが、2020年4月9日に、居酒屋などの飲食店において、期間限定ではありますが酒類の持ち帰り用の販売認めるための期限付酒類販売小売業免許を付与する制度が開始されるとの発表が国税庁より出されました。

今回の相談内容も酒類販売と関わって来る問題の為ご説明させていただきます。

1 飲食店を営むには

一般的に飲食店を営むには、飲食店営業許可をえればよく、飲食店営業許可があれば、お店でお客さんに酒類を提供することが可能になります。

2 酒類を販売するには

しかし、酒類を販売する場合には、お酒の販売に対する税金を適切に徴収するために酒税法という法律により、酒類小売業免許を取得する必要があります。

すなわち、居酒屋で瓶ビールの中身のビールを提供する場合には免許は不要ですが、仮に、栓を開けずにお客に提供した瓶ビールをお客さんが持ち帰ってしまった場合には、酒類小売業免許を有していないにもかかわらず、酒類を「販売」したことになってしまい、酒税法違反になってしまう可能性があります。

このように、栓を開けずに瓶ビールを提供してしまうと、酒類を販売しているとなってしまうリスクがあるため、わざわざ栓を抜いて(栓を抜く手間よりも、免許をとる方が何倍も手間です。)、持って帰らずにこの場で飲むよう働きかける必要があるのです。

3 期限付酒類販売小売業免許

このように持ち帰りのために酒類を販売する場合には免許が必要になるのですが、コロナウイルスの影響で、飲食店の売り上げが減収となっていることへの対策として、簡単な申請で取得できる期限付きの免許制度が開始されました。  

この制度を利用して、酒類を販売して出来る限り損失を減らして、事業が継続できる飲食店の方が増えるよう願うばかりです。

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。

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