弁護士コラム

2017.12.14

離婚協議書について②

離婚協議書について「2」

 <ご相談者様からのご質問>

  離婚に関して争いがないとしても,離婚協議書は作っておいた方がいいのですね。インターネット等で,離婚協議書の書式等を見つけたのですが,これを参考にして自分で作ってみます。

<弁護士からの回答>

 インターネットが一般家庭にも普及するようになって,今では,「離婚協議書 テンプレ」等と入力すると,離婚協議書の見本を参考にして,ご自身でも離婚協議書を作成すること自体は可能です。しかし,何も考えずにそういった書式をもとに協議書を作ってしまうと,せっかくトラブルを防ぐために書面を作成したのに,その書面が原因でトラブルに発展してしまう可能性が出てきてしまいます。そこで,本日は,離婚協議書を作成する際の注意点についてご質問させていただきます。

前回のブログで,離婚協議書では当事者が合意した内容であればある程度自由に条項を作成することができ,作成をすれば,条項の内容にしたがった権利義務(債権債務)が発生するとお伝えしましたが,当事者が合意をしたからといって,どんな内容でも有効になるかというとそうではなく,一般常識とは明らかにかけ離れた内容であると(公序良俗違反といいます。)無効になってしまう場合があります。
例えば,通常の家庭でそこまで資力や収入がないのにも関わらず,慰謝料の金額として4億円払うということを合意したとしても,払えないことは明らかであり,非常識な金額であるため無効となるのが一般的です(もっとも,大富豪の場合の離婚の際には,そこまで非常識な金額ではないとして,有効となるケースもあるかもしれません。)。また,未成年者のお子さんの生活費(養育費)を払わないという合意(養育費不支給条項といいます。)については,裁判例において無効と判断されています(養育費不支給条項の有効性については別の機会にご説明いたします。)。
先程述べたとおり,離婚協議書については,皆様ご自身でも作成することは可能です。しかし,法的な知識に詳しくない方がご自身で作成してしまうと,上記のように無効な内容の協議書を作成してしまう可能性が生じてしまいます。

 また,内容が無効でないとしても,書式では,その書式が夫側,妻側どちらに有利な内容であるかについては基本的に説明がないのが一般的であることから(前提として,離婚の条件は,一方に有利な内容であるならば他方には不利な内容になるのが一般的です。),何も考えずに,書式をそのまま利用してしまうと,知らぬ間に自分に不利な内容で協議書を作成してしまう可能性は否定できません(基本的に一度作成した協議書の効力をあとから「やっぱりなしで。」と言って否定することはよほどの事情がない限り困難といっていいでしょう。)。
このように,ご自身のみで離婚届を作成すると,せっかくトラブルを防ぐために作成した協議書が原因で後々にトラブルが起ってしまうことになりかねません。弁護士に協議書の作成を依頼することにより,そういった内容面でのトラブルが発生することを防ぐことができますので,是非一度,離婚協議書の作成についてご相談ください。また,相手方が離婚協議書を作成してきた場合には決してその場で署名をせず,いったんは持ち帰り,弁護士に「この内容でサインをしてしまって問題がないか」とご相談ください。よく,「離婚協議書にサインをしてしまったのだが問題ないか。」とご相談に来られる方がいらっしゃるのですが,弁護士ともいえども,一度サインをしてしまったものを覆すことは基本的に難しいので,サインをされる前に是非一度ご相談ください。ご相談者様に少しでも不利にならないようアドバイスをさせていただきます。

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