弁護士コラム

2017.12.13

離婚協議書について①

離婚協議書について「1」

  <ご相談者様からのご質問>

  夫が離婚に応じてくれ,離婚届にも署名してくれました。養育費も財産分与もあとできちんとしてくれると言っているので特に問題なく離婚することができそ
うです。

<弁護士からの回答>

 以前のブログでも書きましたが,離婚届には,離婚することと,未成年者のお子さんがいらっしゃる場合には親権者を決めさえすれば提出することができ,それ以外の条件については,離婚をするだけであれば,離婚届作成の時点で決める必要はありません。しかし,離婚届のみ作成し,それ以外の条件についてきちんと合意内容を書面に残しておかないと,せっかく離婚が成立したのに,その後も相手とのトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。そこで,本日は,協議離婚の際に作成すべき離婚協議書についてご説明させていただきます。

 離婚協議書とは,夫婦の当事者間で離婚及び離婚に関するその他の条件について合意した内容を記載した書面です。離婚という身分関係に関わってくるものではありますが,売買契約書や,消費貸借契約書と同じく契約書です。
 離婚協議書では,①離婚すること②離婚届をどちらが提出するか等の離婚届に関する事項③未成年者の親権者に関する事項④親権者でない親と子との間の面会交流に関する事項,④財産分与に関する事項,⑤慰謝料に関する事項,⑥年金分割に関する事項等を盛り込むことが一般的です。そして,離婚協議書では,上記①~⑥の事項について,当事者が合意をすればある程度自由かつ柔軟に決定することが可能です。例えば,面会交流について,月1回日帰りとしつつも,長期休暇の際には,宿泊を伴い面会交流を認めたり,慰謝料について総額を決め,頭金をまず支払い,残額を分割払いにするなども決めることができます。

さらに,離婚協議書の中には,上記の一般的な事項だけにとどまらず,様々な内容について,当事者が合意さえすれば盛り込むことが可能です。例えば,もう相手方配偶者から接触してもらいたくないと考えている場合には,「正当な理由がない限り接触しないことを誓約する。」というような条項(「接触禁止条項」といいます。)を盛り込むことにより相手方に対し正当な理由がないかぎり接触してはいけないという義務(債務)を負わせることが可能になります。

厳密にいうと,これらの条件について書面で作成しないと,効力(権利や義務)が発生しないかというとそうではなく,口頭であっても当事者が合意をしていれば効力自体は認められます。しかし,口頭だけで約束をしておくと,後々に相手から「そんな約束をした覚えはない」等を言われてしまい,一度約束した事項について遵守してくれなくなってしまう可能性が大きく,最終的には裁判をしなくてはならない可能性も出てきます。また,裁判では,合意の存在について証拠をもって主張する必要があるので,口頭での約束しかしていないと証拠がなく,負けてしまう可能性も出てきてしまいます。

そこで,離婚協議書を作成することによって,裁判で勝てるように証拠をきちんと残しておくことができますし,何より,書面に残しておくことで,相手方との間でトラブルになることを未然に防ぐことができます。
離婚の条件について当事者で合意した内容をきちんと書面に残しておくことは,自分だけなく相手方にとってもメリットになることなので,離婚について当事者間で今現在特に争いがないとしても,離婚協議書はきちんと作成しておいた方が良いと考えます。

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