弁護士コラム

2018.04.12

相続財産について②~積極財産~

<ご相談者様からのご質問>

相続財産には借金も含まれるのですね。それでは,積極財産に関してはどのようなものが相続財産になるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

前回は,相続財産に関する総論的なご説明と消極財産の具体例についてご説明させていただきました。今回は,積極財産についてどのようなものが積極財産に該当するかをご説明させていただきます。

1 不動産及び不動産所の権利

 被相続人が所有していた土地(宅地,農地,山林)や建物(居宅や店舗も含みます。)等の不動産だけではなく,不動産上に設定されている権利,具体的には,地上権,永小作権や借地権,借家権利等の相続財産に含まれます。したがって,父親名義で賃借していた不動産に関しては父親が亡くなった後でも相続人は不動産を賃借することができます(賃借の対価である賃料を支払う必要はあります。)。

2 現金・有価証券等

 現金のみならず預貯金,貸付金,売掛金,株券(株式)等の有価証券についても相続財産になります。この点,預貯金や貸付金等の債権については,可分債権であるのか不可分債権であるのかについてどのように相続人に分配されるのかについて複雑な取扱いになっていますので,別の機会に詳しくご説明させていただきます。
 先日,夫が急になくなってしまいました。これから相続のことについて考えなければなりません。夫との間には子どもが1人おり,夫の両親もご兄弟も健在です。この場合,誰が相続人になるのでしょうか。

3 動産

 被相続人が所有していた自動車や,家財道具,船舶,宝石,貴金属などの動産についても相続財産になります。動産に関しては相続財産に含まれるのかという問題よりも相続持参の価額をどのように評価するのかという点が問題となります。

4 その他(債権等)

 上記以外にも電話加入金,著作権等の権利も相続の対象となります。債務不履行による損害賠償請求権についても相続の対象となります。損害賠償請求権のうち,精神的苦痛に対する慰謝料請求権については従来,一身専属の権利であるとして相続財産に含まれないとされてきましたが,最高裁の判例により(昭和42年11月1日判決),慰謝料請求権であっても相続財産に含まれ相続人において加害者に対し慰謝料請求権を行使することができるとされました。

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