弁護士コラム

2018.02.28

法定相続分について④

法定相続分について④

<ご相談者さまからのご質問>

  先日(平成28年12月),父が亡くなりました。父と母との間の子供は私だけだと思っていました。しかし,相続手続きのために戸籍を取り寄せていたら,父に母以外の女性との間に子どもがおり,父が認知をしていたことがわかりました。母も私も今回はじめて知りとてもショックなのですが,この場合,父の財産はどのように分けられることになるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

  なかなかドラマチックな展開になっていますね・・・普通に生活している方が戸籍を見る機会は,ご自身が結婚や離婚をするときや相続のときしかないのが通常ですので,相続をきっかけにそれまで知らなかった事実が明らかになるケースも少なくありません(現に,上記と同じようなご相談をいただいたこともございます。)今回は,嫡出子と非嫡出子の法定相続分についてご説明させていただきます。

  法律上の夫婦(婚姻関係にある男女)から生まれた子どものことを嫡出子といいます(なお,嫡出子には「推定される嫡出子」と「推定されない嫡出子」の2種類がありますが,その説明に関しては別の機会にさせていただきます。)。そして,法律上の婚姻関係のない男女の間に生まれた子どものことを非嫡出子といいます。したがって,ご相談者様の事例の場合には,ご相談者様が嫡出子となり,今回の戸籍の調査で判明したお父様とお母様ではない女性との間の子が非嫡出子となります(非嫡出子は婚外子とも呼ばれています。)。

  従前,民法では,嫡出子と非嫡出子との間で相続分について区別をしていました。配偶者以外の相続人が複数人存在する場合(子が2人,兄弟が3人いる場合などです。)に関して規定している民法900条4項の但書では,「嫡出でない子の相続分は,嫡出である子の相続分の二分の一とし」と規定されており,非嫡出子は嫡出子の2分の1の相続分しか有しないとされていました。
  しかし,この規定に関しては,非嫡出子が嫡出子と同じ子であるにもかかわらず,父母が婚姻関係にあるかないかという子自身の意思により選択することができない事情により,相続において大きな不利益を被るのは不平等ではないかとの批判が多くありました。

そして,平成25年9月4日,最高裁判所において,民法第900条4号但書の規定のうち非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分は,法の下の平等に反し違憲(憲法違反)であると判示しました(最大決平成25年9月4日)。また,平成25年12月5日に,民法の一部を改正する法律が成立し,民法900条4号但書の規定のうち,非嫡出子と嫡出子との間の相続分に関する部分は削除されました。
したがって,上記最高裁決定が出された平成25年9月4日以降に発生した相続は全て,非嫡出子であっても嫡出子と同じ法定相続分となるため,ご相談者様の事例でも,法定相続分は配偶者であるご相談者様のお母さまが2分の1,ご相談者様の別のお子さん(婚外子)がそれぞれ4分の1(2分の1×2分の1)ずつとなります。

次回では,上記最高裁決定の効力の及ぶ範囲についてご説明させていただきます。

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