弁護士コラム

2018.01.25

相続人について②~第一順位の相続人(子)にまつわる問題~

相続人について②~第一順位の相続人(子)にまつわる問題~ 

<ご相談者様からのご質問>

【ケース1】

  祖父が先日なくなりました。祖父のこどもは私の父を含めて5人います。
私の父は祖父が亡くなるよりも数年前に亡くなっているのですが,この場合,祖父の財産は父以外の兄妹で分けることになるのでしょうか。

【ケース2】

 現在,私は妊娠しています。夫が急になくなってしまいこれからの生活をどうしようかと悩んでいます。夫の両親はすでに亡くなっておりますが,夫の兄妹が6人もいます。この場合,夫の財産はわたしと夫の兄妹でわけることになってしまうのでしょうか。
 子は,第一順位の相続人として相続の問題に巻き込まれる頻度が高いといえます。ケース1,ケース2の場合には子が相続人になる場面ではなさそうですが,法律上こういったケースに対する保護を及ぼしています。今回は代襲相続や胎児の問題についてご説明させていただきます。

<弁護士からの回答>

【ケース1について】

 ご相談者さまのお父様は被相続人よりも先に死亡しているため,相続人にはなれず,それ以外の子4人で分割することになるかとも思われます。しかし,この場合,ご相談者様のお父様が被相続人よりも後に死亡していた場合には,被相続人の相続分をご相談者様が相続することになるため,被相続人の直系卑属がいつ死亡したかにより不平等な結果となってしまいます。そこで民法上,被相続人の子が相続の開始以前に死亡したときにはその者の子が代襲して相続人となるとされており(民法887条1項本文),これを代襲相続といいます(被相続人の子を被代襲者,被代襲者の子を代襲者といいます。)。したがって,今回のケースでも,ご相談者様が代襲者となるため,お父様の地位を引き継いで(お父様のかわりに)相続人になりますので,お父様のご兄弟とともに遺産分割協議を行うことになります。
代襲相続については他にも多くお伝えしたいことがありますので,別の機会にまとめてご説明させていただきます。

【ケース2について】

 民法上「私権の享有は,出生に始まる。」(3条1項)と規定されており,権利義務の主体となることができる始期は出生時となっています。この規定に従うと,被相続人の死亡により相続が発生するところ,相続人となるためには被相続人が死亡している時点で出生している必要があり,胎児は相続人になれないことになります。
 そこで,民法ではこうした胎児の権利保護を図るために,例外規定として,「胎児は,相続については,既に生まれたものとみなす。」(民法886条1項)として,相続開始時に胎児であれば相続人たりうることになります。したがって,ケース2の事例でも,胎児はすでに出生しているものとみなされるため,相続人は配偶者の奥さんと第一順位である子(胎児)ということになります。もっとも,胎児が死産してしまった場合には先程の規定が適用されなくなるため(民法886条2項),ケース2の場合でも,相続人は配偶者の奥さんと,第三順位にあたる被相続人のご兄弟6人になります。

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