弁護士コラム

2018.04.07

賠償に至るまでの流れ~人身事故編~

<ご相談者様からのご質問>

  交差点に入ったところで脇道から入ってきた車にぶつけられました。相手は減速せずにぶつかってきたため,とても強い衝撃で,首も肩も腰も痛いです。今日から病院で入院することになりました。仕事も休まないといけないです。今後どうなるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 前回ご説明したとおり,物損事故の場合には,過失割合が問題にならないときには紛争になることもなく,スムーズに解決することが多いです。もっとも,人身事故の場合には過失割合のみならず,治療期間,慰謝料等交渉すべき事項が多岐にわたります。今回は,人身事故における賠償にいたるまでの経緯についてご説明させていただきます。

1 治療

  事故に遭いケガをしてしまった場合には,まずはケガの治療を第1に優先されてください。骨折など重傷を負っている場合など,ケガが治るまでに相当の期間を要する場合には,治療が終了するまで損害額を確定することができないため,事故後直ちに示談が行われるということはありません。また,入院をした際等には仕事にでることができませんが,治療により欠勤した際の損害(休業損害といいます。)については請求することができます。相手方保険会社との交渉により,休業損害については,示談前であっても,先に支払われることが多いです。
  治療期間が経過していくと,相手方保険会社から「そろそろ治療を打ち切ってください」等といわれることがあります。治療については一般的に保険会社が判断できる事項ではなく,医師が判断すべき事項であります。したがって,弁護士が代理人としてお手伝いさせていただく際には,治療を行っている医師の診断内容を踏まえつつ,相手方保険会社に対しまだ,治療の必要性があると伝え,治療費を負担するよう交渉することになります。

2 治癒,症状固定(後遺症の申請)

  ケガの治療を継続していくと,どこかのタイミングで,ケガが完全に治った状態(治癒といいます)になるか,医師においてこれ以上治療を続けても症状が改善しない状態(症状固定といいます)のいずれかの状態になります。治癒の状態になった場合には,直ちに示談の交渉に移行しますが,症状固定の状態になった場合には,残存している症状が,後遺障害として認定された場合には後遺障害による損害(慰謝料,逸失利益)も請求することになります。後遺障害の認定を売るためには医師に後遺症診断書を作成してもらう必要があります。

3 示談~裁判

  ケガが治癒したあとや,後遺障害が認定されると損害額について,加害者側の保険会社と協議を行うことになります(双方に過失が認められる場合には過失割合についても協議を行います。)。損害額の協議が整わなかった場合には,物損事故と同様裁判によって賠償を求めることになります。
物損事故の場合には賠償額が減額されるということはありませんが,人身事故の場合には慰謝料の金額について,保険会社の基準で非常に低い金額が提示されることが多々あります。したがって,人身事故における慰謝料の交渉については弁護士を代理人として入れた方が基本的には慰謝料の金額が上がるため依頼した方がよいでしょう。

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