弁護士コラム

2018.02.24

婚姻を継続しがたい重大な事由について~各論~

婚姻を継続しがたい重大な事由について~各論~

<ご相談者様からのご質問>

  よく,性格の不一致が原因で離婚するなんてことを聞くのですが,性格の不一致という法定離婚原因はありませんよね。性格の不一致が原因で離婚できるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 前回は,法定離婚原因の1つである「婚姻を継続しがたい重大な事由」について,総論的な内容をお話しさせていただきました。今回から数回にかけて,「婚姻を継続しがたい重大な事由」になりうる具体的な事情についてご説明させていただきます。

1 性格の不一致

日本での離婚原因(離婚に関する紛争に至った原因(理由)のことを意味し,法定離婚原因とはことなります。)の約半数をしめるのが,この性格の不一致というもので,ワイドショーなどでも,芸能人夫婦が性格の不一致により離婚等と報道されることもあり,身近な言葉として認識されているのではないかと思います。
 しかし,単に性格の不一致ということだけで,「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するということはほとんどありません。夫婦とはいえ,生まれも育ちもことなる他人同士である以上性格や価値観が異なるのは当然であり,一度夫婦になった以上,単に性格や価値観が違うということのみでは離婚は難しくなります(ワイドショーで報じられている離婚については,協議離婚(当事者の合意)により離婚が成立している場合であるのがほとんどなので,性格の不一致が原因で離婚ができるとの誤解を生んでしまっているのかもしれません。)。性格の不一致については,あくまでも離婚を巡る問題に至ったきっかけ(入り口)に過ぎず,その後の夫婦関係が悪化し,修復不可能になっていることを主張,立証しなければ,離婚は認められることはないでしょう。その意味で,性格の不一致はそれ単体で主張することは少なく,後述する,別居期間に関する主張を合わせて主張を行うのが一般的です。

2 長期間の別居

 以前にもお伝えした通り,夫婦関係すなわち,夫婦の共同生活関係が破綻し,その修復が困難な場合に「婚姻を継続しがたい重大な事由」が存在すると認められることになります。そして,夫婦が別居している場合には,共同生活関係がなく,その状態が長期間にわたって継続している場合には,もはや,共同生活関係を修復することは困難であると判断されることになります。したがって,裁判所において上記要件を判断する際には,夫婦の別居という事実の有無及び別居期間がどの程度存在するのかという点は非常に重要な考慮要素となります。

 どのくらい,別居期間が長期になれば,婚姻関係が破綻していると認められるかについては,一律の基準があるわけではありませんが,以前は,5年程度別居期間が必要であると考えられておりましたが,最近では,2~3年程度で離婚を認める裁判例も存在している状況です。もっとも,上記裁判例においても単に別居期間のみを根拠に離婚を認めたわけではなく,以前お伝えしたように,それ以外の諸般の事情を考慮して判断しているため,離婚訴訟においても,単に別居期間が長期であることのみを主張するのではなく,別居に至った経緯や,別居期間中の経緯(復縁の申出がなされたかいなか等)を詳細に主張する必要があります。

2018.02.23

婚姻を継続しがたい重大な事由について~総論~

婚姻を継続しがたい重大な事由について~総論~

<ご相談者様からのご質問>

  夫が離婚に反対している場合には,離婚原因がないと離婚することができないのですね。夫には不貞行為もありませんし,悪意の遺棄や,精神疾患もありません。離婚原因の1つである「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する事情があるのでしょうか。私は,夫とはこれ以上一緒にやっていく意思は全くないのですが,これは,「婚姻を継続し難い重大な事由」にはならないのでしょうか

<弁護士からの回答>

 民法上の法定離婚原因については,民法770条1項1号から4号において個別の離婚原因を記載しつつ,770条1項5号にて,「婚姻を継続し難い重大な事由」として,包括的な離婚原因を定めています。不貞行為などの大きな離婚原因がない場合には,この「婚姻を継続し難い重大な事由」が存在するとして離婚を求めていくことになります。裁判でも頻繁に争点になることが多い離婚原因ですので,どのような場合に「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかを理解して離婚に望むことはとても重要です。今回から数回にかけて,どういった場合に婚姻を継続し難い重大な事由に該当するのかをご説明させていただきます。今回は総論的な部分のお話をさせていただきます。

 「婚姻を継続し難い重大な事由」とは,一般的には,婚姻関係(共同生活)が破綻し,その修復が不可能もしくは著しく困難な状況をいいます。どのような場合に婚姻関係が破綻しているのかについては,形式的に定められているわけではなく,夫婦の同居期間,同居期間中の夫婦関係,子どもの有無,別居に至った理由,別居期間,別居中のやりとり,婚姻関係に対する当事者の意思等諸般の事情を総合的に考慮して判断することになります。
 ご相談者様がおっしゃられるように,当事者が再び夫婦関係を築く意思がないということは,婚姻関係が破綻していることを基礎づける事情にはなりますが,それだけで,離婚が認められることにはなりません(もし,それだけで離婚が認められるとなると,離婚したいと強く思うだけで,すべての事案で離婚が認められてしまうことになってしまいます。)。

 法定離婚原因とは,以前もお話ししたように,裁判において相手方 が離婚に反対していたとしても,強制的に離婚を成立させるものであり,夫婦一方の意思に反してでも離婚を認めるべき事由であることが必要になります。したがって,「婚姻を継続し難い重大な事由」についても,民法770条1項1号から4号までに規定されている離婚原因と同程度の事情であることが必要になります(そもそも770条1項1号から4号については,それぞれが「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する事由であるとされています。)。

 次回からは,「婚姻を継続し難い重大な事由」になりうる具体的な事情についてご説明させていただきます。

2018.02.22

不貞行為に関する証拠

不貞行為に関する証拠

<ご相談者さまからのご質問>

 最近,夫の様子がおかしく他に女性がいるのではないかと考えております。もし,他の女性がいたら離婚したいと考えているのですが,どういった証拠があれば夫が不貞行為をしていると裁判でも認めてもらえるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 客観的な証拠や有力な証拠がない場合,相手方配偶者は,本当は不貞行為をしている場合であっても,不貞をしていないとして離婚や損害賠償を回避しようとすることも少なくありません。今回は,不貞行為に関する証拠についてご説明させていただきます。

 前回ご説明させていただいたように,不貞行為にあたるためには,相手方配偶者が,他の異性と性的関係(性交及び性交類似行為)があることが必要になりますので,証拠についても,性的関係があったことを立証することができる証拠が必要になります。では,どういったものが,不貞行為を立証するための証拠になるのかを具体的にご説明いたします。

1 メール(LINE)でのやり取り

 最近では,スマートフォン等の普及に伴い,メールやLINEでのやり取りがきっかけで,配偶者の不貞行為が発覚することも少なくありません。もっとも,配偶者が異性とメールやLINEのやり取りをしているだけでは,直ちに不貞行為を立証することにはつながりません。メールやLINEでのやり取りの内容が,不貞行為を確認できる内容,もしくは推認することができる内容である必要があります。単に,親密なやり取りであることが窺える程度の内容のである場合には,親密であったことは直接立証することができるものの,それを越えて不貞行為があったとまで推認することには無理があるでしょう。したがって,仮に,LINE等のやり取りを入手した場合には,そのやり取りで不貞行為を立証することができる内容であるかについては,一度弁護士に相談した方がいいでしょう。

2 写真や動画について

 配偶者と異性がホテルや互いの家に入っていく写真や動画,2人で旅行に行っている際の写真や動画については,非常に有力な証拠になりえます。もっとも,ホテルや家に入っていく際には,ホテルの場合にはどういったホテルにはいっていったのか(ラブホテルは通常性行為などを行うことを想定しているホテルであるため,ラブホテルに入ったとなるとより有力になります。)ということや,家やホテルに滞在した時間(あまりにも短い場合だと不利になってしまいます。)が非常に重要になりうるため,より確実な証拠を得ようとするのであれば,何時に入り何時に退出したかについてもきちんと証拠に収めておくようにした方がよいでしょう。また,ごくまれにではありますが,配偶者と異性が,ベッドなどで服を着ていない状態で撮影された写真や,性交渉そのものを撮影した記録などが保管されているケースもあり,最近では,インターネットクラウドサービスにより,本人の予期していないところで,そういった写真がバックアップとして夫婦共通のPCに保存されているといったケースもあるそうです。

3 興信所などの調査報告書

 上記のような証拠の収集に関しては,不貞行為については,相手にバレないようにこそこそ隠れて行うものであるため,ご自身で収集するのはとても難しい場合が多いです。興信所などに依頼を行うと,不貞行為に関する証拠をしっかり集めてもらえるという点では非常にメリットがあるのではないかと思います。もっとも,興信所等に依頼すると,調査費用等が発生してしまうところがネックになってくるため,確実に慰謝料などを回収できるのかという側面からも検討が必要です。

4 その他

 上記以外で,一般的に不貞の証拠になりうるものとしては,例えば,不貞相手からのプレゼント,クレジットカードの明細,相手と宿泊したホテルの領収書等が考えられますが,上記①~③の証拠に比べて証明力の点では弱くなってしまいますが,何も資料がない場合よりはよいと思うので,手持ちの証拠で立証することができるのかについては一度資料をご持参いただいた上で,弁護士にご相談いただいた方がよいでしょう。

2018.02.21

不貞行為とは

不貞行為とは

<ご相談者様からのご質問>

 最近ワイドショーなどでも,芸能人の不倫や浮気が問題になっています。不倫や浮気と不貞行為は何か違うのですが,そもそもどういった行為が不貞行為というのでしょうか。

<弁護士からの回答>

不貞行為に関しては,離婚事件の中でも大きな争点となることが頻繁にあります。そこで,今回から数回にわけて,不貞行為についてご説明させていただきます。今回は,不貞行為の内容についてご説明し,どういった行為が不貞行為に該当するのかについてご説明させていただきます。

民法770条1項1号の不貞行為とは,「配偶者のある者が,その自由意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を持つこと」をいいます。夫婦は互いに,その配偶者以外の異性と性交をしてはならないという義務を負っており(これを貞操義務といいます。),その義務に違反して,配偶者以外の者と性的関係に至った場合には離婚原因となります。
不貞行為と似た言葉で,不倫,浮気という言葉もありますが,不倫,浮気は法律用語ではありませんが,不倫については,不貞行為と同じ意味合いで使用されていることが多い気がします。また,浮気については,婚姻関係にない男女間でも使用することがあるのではないかと感じています。

上記のように,不貞行為に該当するためには性的関係を持つこと(俗に言う「一線を越える」といったことになるのではないでしょうか。)が必要になります。具体的には,性交及び性交類似行為があると認められた場合には,不貞行為に該当することになります。

したがって,単に手をつないだり,キスをしたりといった程度では,不貞行為に該当しないことになります。もっとも,配偶者以外の異性とそのような行為を行うことは,正常な婚姻生活に支障をきたす事情であることは争えないため,不貞行為に該当しないとしても「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性は十分にありえます。
また,1回でも性的関係を持った場合には,不貞行為には該当することになります。また,風俗に行って性交類似行為を行った場合であっても,風俗だからお咎めなしということにはならず,不貞行為には該当することになります。

もっとも,不貞行為により離婚が認められるためには,当該不貞行為が原因で婚姻関係が破綻したことが必要になります。したがって,別の機会にもご説明しますが,離婚のために別居した後に,配偶者が他の人と性的関係を持ったとしても,その前に婚姻関係が破綻していると認められる場合には,不貞行為による離婚請求及び慰謝料請求は認められないことになります。次回は,不貞行為に関する証拠についてご説明させていただきます。

2018.02.20

離婚原因について~各論①~

離婚原因について~各論①~

<ご相談者様からのご質問>

  離婚したいと思っても,相手が反対していると,法律上の離婚事由がないと離婚が認められないのですね。法定離婚原因の具体的な内容について教えてください。

<弁護士からの回答>

  前回は,法定離婚原因の種類等について大まかにご説明させていただきました。今回からは,各法定離婚原因の具体的な内容についてご説明させていただきます。
 法定離婚原因のうち,「不貞行為」と「婚姻を継続しがたい重大な事由」については,訴訟でも頻繁に争点になる離婚原因ですので,別の機会にご説明させていただき,今回は,それ以外の離婚原因の内容についてご説明させていただきます。

1 悪意の遺棄(民法770条1項2号)について

  「夫婦は,同居し,互いに協力,扶助し合わなければならない。」とされており(民法757条),夫婦は相互に同居義務,協力義務,扶助義務を負っていることになります。悪意の遺棄とは,夫婦の一方が正当な理由がないのにも関わらず,上記義務を怠り,夫婦の共同生活が維持できなくなる状況を作出していることをいいます。
  具体的には,一方が同居を希望しているのに,正当な理由なく家を出ていき帰ってこない場合や,収入があるにも関わらず,配偶者に生活費を渡さない場合や,正当な理由がなく家事を全くしない場合等が悪意の遺棄に該当しうる行為です。もっとも,単に別居をしていても,単身赴任や長期出張の場合や,夫婦間の冷却期間の為の別居,病気療養や出産のための別居等正当な理由に基づく別居の場合には,同居義務違反には該当せず,悪意の遺棄に該当することはありません。訴訟等においては,悪意の遺棄のみを主張することは少なく,婚姻を継続しがたい重大な事由にも該当すると主張することが一般的です。

2 3年以上の生死不明(770条1項3号)について

  相手方配偶者が行方不明になり,3年以上生死不明の場合には離婚が認められます。生死不明とは,生存の証明も死亡の証明もできない状態のことをいい,所在が不明でも生存が確認される場合には,生死不明には該当しません(その場合には,悪意の遺棄や婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する旨主張することになります。)。3年間の起算点ですが,行方不明になった時点,すなわち最後に音信があったときからとなります。最後に音信以降行方不明であることを客観的な証拠として残すためにすぐに,警察に失踪届等を提出する必要があります。

3 回復の見込みがない精神病(770条1項4号)について

  専門医などが「強度の精神病」であり,かつ「回復の見込みがない」と判断した場合には,形式的には離婚事由に該当することになります。もっとも,瀬上記精神疾患を負っている配偶者は,離婚後,苛酷な状況に置かれてしまうことになることが想定されているため,裁判所において,上記要件のみを根拠に離婚を認めることに対しては非常に消極的です。具体的には,単に,上記要件に該当するのみならず。離婚後も公的な保護を受けることができる状態が確保されているなど,離婚後の生活の見通しが確保できている場合でなければ離婚を認めていないのが実情です。

 次回からは,離婚訴訟等で頻繁に争点になる不貞行為と婚姻を継続しがたい重大な事由の内容についてご説明させていただきます。

2018.01.21

離婚原因について~総論~

<ご相談者様からのご質問>

  夫と離婚したいと考えています。夫は離婚することに反対しているので,裁判になるかもしれません。裁判で離婚が認められるのはどんなときですか。

 <弁護士からの回答>

 離婚について当事者の意向が対立している場合には,当事者間に離婚原因が存在するか否かという点が大きな争点となります。今回からは,法律上の離婚原因についてご説明させていただきます。今回は,離婚原因がどのようなものがあるのかについて総論的なお話をさせていただきます。

  法定離婚原因とは,民法に規定されている離婚が認められる事由のことをいいます。離婚原因については,民法770条1項に記載されています。

①配偶者の不貞行為
②配偶者による悪意の遺棄
③配偶者の3年以上の生死不明
④配偶者の回復見込みのない強度の精神病
⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由

 離婚訴訟では,離婚したいと考える当事者(通常,原告になります。)が上記の①~⑤の事由が存在することを証拠に基づいて主張,立証していくことになります。
そして裁判所において上記①~⑤の離婚原因のうち1つでも存在すると認められると判断した場合には,判決で離婚が認められることになります。
逆に,離婚原因が存在しないと判断された場合には離婚が認められないとの判決がだされることになります。

したがって,どういった場合に各離婚原因に該当するのかという点や,それを立証するためにどういった証拠が必要であるのかという点についてはきちんと理解することが重要になります。特に,上記の離婚事由のうち,①不貞行為や,⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由が認められるか(婚姻関係が破綻しているか)否かという点は,訴訟でも頻繁に争いになります。

そして,不貞行為を行っていることが明らかな場合や,別居が非常に長期にわたり,婚姻関係が破綻していることが明らかな場合については,そもそも訴訟に移行する前に解決することが多く,訴訟にて争われる場合には,不貞行為の有無関して証拠が微妙である場合や,婚姻関係が破綻しているか否かが微妙なケースが多いと思われます。
したがって,そういったケースにおいてきちんと離婚を認めてもらうためには,弁護士に依頼し,訴訟において十分な主張立証活動を行うことが必要不可欠になってきます。
次回からは,各法定離婚原因の具体的な内容についてご説明させていただきます。

2018.01.20

離婚条件について

<ご相談者様からのご質問>

  夫との離婚を考えています。離婚の際には離婚すること以外にどのようなことを決めなければならないのでしょうか。

 <弁護士からの回答>

  これまでは,離婚するための方法や具体的な手続きについてご説明させていただきましたが,今回からは,離婚や離婚に関する法的問題の中身についてご説明させていただきます。今回は,離婚する際にどういったことが問題になるのかという離婚及び離婚に関する問題点についてご説明させていただきます。

  離婚及び離婚に関する諸問題については,当事者の置かれている状況によってどこまで決めなければならないかは異なるのですが,離婚及び離婚に関する問題については以下のようなものがあります。

 ① 離婚原因が認められるか否か

   当事者の一方が離婚の意思を争っている場合に,法律上離婚が認められるか否かという問題です。

 ② 親権者

   未成年のお子さんがいらっしゃる場合に,どちらが親権者となるかという問題です。

 ③ 養育費

   離婚後の子どもの生活に関する問題です。

 ④ 面会交流

   親権者でない親と,お子さんとの間の面会の方法,回数等についての問題です。

 ⑤ 財産分与

   同居期間中に夫婦によって形成された財産をどのように分配するかという問題です。

 ⑥ 慰謝料

   離婚に至った原因が,一方当事者の違法な行為に該当するか否か,該当する場合には,当該行為により離婚に至ったことに関する精神的苦痛について金銭的に評価するといくらになるかという問題です。

 ⑦ 年金分割

   同居期間に対応して,一方当事者のみが払い込んでいた年金の金額を分割する際の問題です。
  また,直接離婚とは関係ないものの,離婚するまでの間の問題として以下の2点も問題になります。

 ⑧ 婚姻費用

別居してから離婚するまでの間における当事者間の生活費の分担に関する問題です。

 ⑨ 監護権者

   離婚が成立するまでの間,未成年者の子どもを夫と妻のどちらが監護すべきであるかという問題です。

  このような離婚及び離婚に関する問題については,上記①~⑨のすべてについて必ず判断しなければならないわけではありませんが(未成年のお子さんが要る場合には必ず親権者を決めなければなりません。),特別な事情がない限り,離婚の際に夫婦間に関する問題を決めておいた方が,後々にトラブルが起きないで済みますので,決めることができる条件については,離婚の際に決めておいた方がよいでしょう。
  次回からは,各離婚条件に関する具体的な内容についてご説明させていただきます。

2018.01.19

控訴・上告について弁護士が解説

<ご相談者からのご質問>

  妻から離婚したいと言われて別居が始まりました。自分としては離婚など到底考えておらず,調停でも裁判でも離婚を争ってきましたが,先日,判決が出され離婚が認められてしまいました。自分としてはどうしても離婚はしたくありません。何か方法はありませんか。

 <弁護士からの回答>

  家庭裁判所での判決が確定してしまうと,法律上離婚が成立してしまい,それ以上離婚について争うことはできなくなってしまいます。そこで,今回は,離婚訴訟における不服申立制度である控訴と上告についてご説明させていただきます。

 日本の裁判は三審制という制度を採用しており,第一審である家庭裁判所での判決に不服がある場合には,高等裁判所に対し控訴することができます。控訴をするためには,高等裁判所宛の控訴状という書面を第一審の家庭裁判所に提出する必要があります。控訴状の提出は,第一審の判決書が送達された日の翌日から起算して14日(2週間)以内に行う必要があり,その期間を徒過してしまうと,第一審の判決が確定してしまうので注意が必要です。
 控訴状を提出してから50日以内に,不服申し立ての具体的な理由(控訴理由)を記載した書面(控訴理由書といいます。)を提出します。控訴審においても第一審と同じ流れて進むのですが,実際には,控訴理由書の記載内容で結論が決まってしまうので,控訴理由書がとても大事になってきます。

 法律上控訴理由についえては制限されていないので,第一審の事実認定の誤り(事実誤認),法解釈の誤りに加え,新しい証拠が見つかった場合にも主張することが可能です。
 なお,控訴審での判断に納得が行かない場合には最高裁判所に不服申立を上告として行うことができますが,上告理由には法律上制限があり,憲法違反等の場合しか認められないため,離婚訴訟については,事実上,争う場合には控訴審までになります。
 もっとも,既に第一審で裁判官が第一審で現れているすべての資料をみて判断している以上,控訴審にて第一審の判断が覆る可能性は高くありません。
 どのような場合に結論が覆るかについては一概にはいえませんが,第一審の判決後に新たな有力な証拠が見つかった場合や,法的評価や事実評価に著しい誤りがあると認められるような場合でなければ,結論が変更するということはないでしょう。

 また,先ほど述べたとおり,控訴審では,控訴理由書でどれだけ説得的な主張や立証が行えるか否かで結論が大きく左右されるものです。したがって,控訴理由書の作成には,一審判決をよく読み込み,裁判所がどういった理由で判決を出しているのか,その理由に不合理な点はないか,その判断を覆すことができるような証拠が他にないか等を判断する必要があり,高度に専門的な作業になります。
 したがって,離婚訴訟において一審判決について納得ができない場合には,なるべく早く弁護士にご相談ください。

2018.01.18

裁判等の証拠について③

<ご相談者様からのご質問>

  夫が不貞をしていたことが分かりました。他の女性の人とLINEのやり取りを写真に収めています。証拠があるので勝てますよね?

<弁護士からの回答>

 ご相談にお越しいただく方から,「証拠があります。」とおっしゃっていただく際には,逆に注意をしてお話をお伺いするように心がけています。前回もお話したとおり,証拠があるから勝てるということではありません。証拠の中身が非常に重要になってきます。今回は証拠の証明力についてご説明させていただきます。

証拠を提出する目的は,主張する事実を裁判所に認定してもらうためです。したがって,証拠の中身が重要になってきます。

まず,書証(陳述書は除きます。)については記載されている内容が,主張している事実とどの程度関連性があるかが重要になってきます。ご相談者様の事例の場合,裁判等では,配偶者と女性との間の不貞行為(性行為)を立証する必要があるのですが,ご相談者様が所持しているLINEのやり取りについて,単に親密なやりとりをしているというだけでは,その証拠のみでは直ちに不貞行為を認定することは困難でしょう。LINEのやり取りが性行為を行っていることを前提とした内容である場合にはその証拠は極めて有力な内容といえるでしょう。

また,書証の場合には,その書面を作成した状況も重要になってきます。例えば相手方が不貞行為を認める旨の念書を作成した場合,相手方に暴力を振るったり脅したりして無理やり書かせてしまったような場合にはその書証の証明力は弱くなってしまいます。

次に,人証については,証言する人の地位が重要になってきます。証人が当事者と利害関係を有しているか否かによって証言の信用性が左右されることになります。また,証人の発言内容の具体性,供述態度,他の証拠(書証)との整合性等が人証の証明力を左右する事情になります。

 このように証拠といってもどのような内容の証拠を有しているかによって訴訟の結論は大きく異なってきます。
 ご相談をお受けする弁護士も,ご相談者様が現在保有している資料をもとに,「こういった資料はありませんか。」とお話をお伺いすることで,資料を集めていくことになります。また,現在資料を有していない場合にも,相手方との会話を録音したりなど今からでも証拠を作成することが可能な場合もあるため,証拠の作成についてもアドバイスをすることも可能です。

 こちらが主張する事実がどれだけ真実であったとしても,相手方がそれを認めず,証拠もない場合にはきちんと事実を認めてもらうことはできません。そのため証拠については非常に重要になってきますので,是非一度弁護士にご相談ください。

2018.01.17

裁判等の証拠について②

<ご相談者様からのご質問>

 夫が以前,他の女性とホテルに入っていく様子を目撃したのですが,いきなりのことだったので,気が動転してしまい,写真や動画はありません。証拠がないので泣き寝入りなのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 結論から言うと,どんな事件であっても全く証拠が提出されない事件はありません。しかし,証拠の中身がとても大事であって,証拠がたくさんあるから勝てる,証拠が少ないから勝てないということはありません。今回と次回にかけて証拠の種類と証明力についてご説明させていただきますが,今回は,証拠の種類についてご説明させていただきます。

 証拠には大きく分けると,①物的証拠(物証)と②人的証拠(人証)の2つがあります。

 物証とは,文章や物など,ある事実を証明しようとする手段がものである場合をいいます。
 民事訴訟では物自体を証拠として提出することはほとんどなく,物自体を撮影し,写真撮影報告書という書面を提出することになります。したがって,民事訴訟における物証の大半は書証ということになります(録音したものに関してはCD-R等の媒体を提出するとともに,録音内容を反訳した書面(「反訳書」といいます。)を提出することになります。

 書証にはついては,証明しようとする事実と関係性が認められるものであれば全て証拠になりえます。不貞行為の事実,期間,場所,回数等を認めた念書だけでなく,事件が発生してから原告本人が自ら見たり聞いたりしたことを作成した書面(陳述書といいます。)も証拠自体にはなりえます。

 人証(「にんしょう」といいます。)とは,証明しようとする手段が物ではなく人発言などである場合を言います。人証の種類としては,訴訟の当事者(原告,被告)以外の証人に話を聞く証人尋問と,訴訟の当事者から話を聞く当事者尋問があります。
 ご相談者様は,ご主人の不貞に関する証拠が何もないとおっしゃられていますが,たとえば,ご相談者様が毎日日記を作成していたり(日記を書証として提出),不貞を目撃したことを誰かにメールしていたり(メールを印刷若しくは写真に収めて書証として提出),電話で話していた場合(知り合いの人の陳述書を提出若しくは,証人として発言してもらう)など,考えられる証拠はたくさんあります。
また,そういったものが何一つなくても,ご相談者様ご自身の陳述書や法廷での証言も証拠になるのです。したがって,証拠が全くないという事件はほとんどないといっていいでしょう。もっとも,証拠があるから勝てるというわけではありません。次回では,証拠の証明力についてご説明させていただきます。

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