弁護士コラム

2022.06.14

犬と猫へのマイクロチップの装着について

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皆さんは、ペットを飼われていますか?
私は、小学校5年生の頃に父が捨て猫を保護しているところから、小さい猫をもらってきて飼い始めたのが一番最初に飼ったペットでした。
雑種の猫ですが、とても長生きをしてくれて亡くなってしまったときは、とても悲しく同じような悲しい気持ちになることが怖くて、それ以来ペットを飼う勇気がない状態です。

私のペットは天寿を全うしみんなに看取られながら旅立っていったのですが、飼っている犬や猫などが突然のアクシデントや災害などで行方が分からなくなってしまい、そのままお別れしてしまうというケースは少なくないのではないかと思います。

そのようなペットと離れ離れになってしまうことを防ぐために、犬や猫に対して動物愛護管理法が改正され、マイクロチップの装着を義務づける改正動物愛護管理法が令和4年6月1日から施行されました。

犬と猫へのマイクロチップの装着について

具体的には、飼い主となる人がペットショップやブリーダーなどのマイクロチップ装着を義務付けられているところから犬や猫を購入した場合には、30日以内に飼い主情報を公益社団法人日本獣医師会へ申請する必要があります。

これにより、犬や猫が迷子になった時や災害、盗難や事故などによって離れ離れになった時に、マイクロチップを読み取り登録されている情報を確認することで飼い主のもとへ戻すことができるようになります。

また、マイクロチップに飼い主の情報を登録することが義務付けられることにより、近年のペットブームで簡単な気持ちでペットを購入し、その後育てられなくなりペットを捨ててしまうといった無責任な行為を防ぐことができるのではないかと思います。

なお、ブリーダーやペットショップからではなく知人や動物保護団体などの、マイクロチップの装着が義務付けられていない人や団体から犬や猫を譲渡されたり購入した場合は、マイクロチップの装着は必須ではなく、装着することを努めるように努力義務が設定されています(装着する場合には獣医師に依頼するようです。)

この制度が広まって、思わぬかたちでペットと離れ離れになってしまう人が少しでも減るといいなと思いました。

犬と猫へのマイクロチップの装着について

なお、少し話は外れますが、離婚事件などで飼っているペットの所在で夫婦間でもめることもゼロではなく、離婚協議書などでペットの帰属についても記載することがあります。
無用なトラブルを防ぐために、これからは離婚協議書で定める際にはマイクロチップの登録情報を変更する手続きに協力することなどを規定しなければならないなと思いました。

執 筆
那珂川オフィス 所長/弁護士
後藤 祐太郎
那珂川市のみならず、福岡市南区・春日市・大野城市・筑紫野市・太宰府市・鳥栖市近郊であらゆる法律問題について担当。
博多オフィスへも定期的に来所しています。
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2022.06.14

おとり広告とは?

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おいしそうな飲食店のCMを見ているとそのお店に行きたくなりますよね。
私も長男が3歳になり、某ハンバーガーのチェーン店のCMが流れると「ハンバーガー食べたい!」とねだってきて困ることがあります。

このように飲食店の広告は、多数の人が目にし、且つその広告をきっかけとして来店してもらうためのものなので、私たちの生活にとても影響があるものになっています。

先日、とある飲食店が、いわゆる「おとり広告」を行ったとして、消費者庁がその飲食店に対し措置命令が出したとのニュースがありました。

おとり広告とは?

「おとり広告」の具体的な内容としては、CM等で期間限定の商品があると謳っておきながら、ほとんどの店舗にてその期間限定の商品を提供することができない状態であったため、CMの表示が一般消費者を誤認させる恐れがある「おとり広告」に該当すると判断されたとのことです。

広告について規制する法律に「景品表示法」(正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。)という法律があり、同法の5条3号で、一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある広告を禁じています。
その具体的な内容として、消費者庁より「おとり広告に関する表示」が指定されており、商品・サービスが実際には提供できないにもかかわらず、提供できるかのような表示をすることを禁じています。

なぜ、おとり広告が禁止されるかというと、購入できない商品をおとりにして他の商品を購入させるためであり、よくあるのは不動産会社の広告です。
すでに入居者が決まっているいい物件を広告に載せ、来店や問い合わせを促して、別の物件を契約させるということも少なくないようです。

おとり広告とは?

しかし、飲食店で「おとり広告」として規制されたというケースは非常に珍しく、飲食店の場合にはおとりの商品で客を誘引し、その商品がない場合でも他の商品を注文する可能性が、不動産の場合と比べてとても高いと考えられ、悪質性は高いのではないかと思います。

CM広告は、先ほど述べた通り多くの一般消費者の目に入るものであり、その広告をきっかけに購入や来店をするほど影響力の強いものであるため、消費者に誤解を与えないようきちんと対応してもらいたいと思います。

執 筆
那珂川オフィス 所長/弁護士
後藤 祐太郎
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2022.05.10

WEB(ウェブ)で離婚調停成立可能に

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令和3年12月から、東京・大坂・名古屋そして福岡において、離婚調停や遺産分割調停など家事調停について、対面ではなくWEBで調停を行う運用が開始されました。

それまでも、遠隔地の裁判所に調停を申し立てた際には(通常、家事調停は相手方が居住する住所地に申し立てを行う必要があるからです。)電話会議システムといって遠隔地にいる人が依頼している弁護士の法律事務所まで行き、そこで電話で調停に参加するという手続きが行われてきました。

しかし、その電話会議システムを利用しても、これまでは離婚調停において話し合いがまとまり、離婚が成立するという場面では当事者双方が裁判所に出廷しする必要がありました。

2021年9月24日、福岡地方裁判所にて、特定危険指定暴力団の工藤会のトップ2名に対し、死刑判決と無期懲役判決が言い渡されました。

これは、離婚という身分関係に関わる重大な決定のため、本当に離婚することで問題ないかという意思確認については、裁判官が対面して慎重に判断すべきであるという考えに基づくものでした。

そのため、遠隔地に住んでいる方や配偶者のDVを受けてきた方も、離婚の成立の際には相手方と遭遇してしまうのではないかという不安のなか、わざわざ裁判所へ行く必要がありました

何年も離婚事件に携わってきたなかで、面会交流や養育費の調停は対面ではなく電話会議システムで成立させることは可能であるにも関わらず、この離婚成立の時だけ裁判所へ行かなければならないということをとても不合理であると考えていました(失礼な個人的見解ではありますが、実際に裁判官が対面で慎重に離婚の意思を確認しているかと言われると、あまりそうとは思えませんでした。)。

しかし令和4年1月26日、政府が離婚調停に必要な意思確認について、従来の対面だけでなくウェブ会議でも可能にする方針を固めたとの発表がありました。
調停手続などを規律した「家事事件手続法」という法律を改正する法案を国会に提出予定とのことです。

政府が離婚調停に必要な意思確認について、従来の対面だけでなく、ウェブ会議でも可能にする方針を固めた

最高裁判所で出されている司法統計では、離婚調停の成立件数が年間で約1万6000件~2万2000件にも上る状況で、対面での意思確認を継続していくことも事実上困難になったのかもしれません。

このように、調停成立の際にわざわざ裁判所へ行く必要がなくなったことで、遠隔地の裁判所で調停を申し立てる人やDVの被害者の方も、裁判所に行かなくても安心して離婚が成立することができるため、とても良い改正であると思います。

当事務所も家事事件を多く取り扱っている事務所として、今後も家事事件に関するニュースについては積極的にお知らせしていきたいと思います。

家事事件での法律無料相談は菰田総合法律事務所の那珂川オフィスまでお気軽にお問い合わせください。

執 筆
那珂川オフィス 所長/弁護士
後藤 祐太郎
那珂川市のみならず、福岡市南区・春日市・大野城市・筑紫野市・太宰府市・鳥栖市近郊であらゆる法律問題について担当。
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2021.02.03

離婚の原因は様々

当事務所は、現時点で(2021年2月3日)那珂川市に唯一ある法律事務所であるため、日々、様々なご相談をいただくのですが、当然、離婚の相談についても非常に多くのご相談をいただいています。

離婚についての相談である以上、なぜ離婚したいと思ったのか、なぜ離婚したいと言われているのか(別居されてしまったのか)という離婚原因については必ずご質問することになります。

その質問に対する回答としては、不貞行為をされた、DVを受け続けていた等という、離婚したいと考えるのは当然と思えるようなご回答もある一方、ご相談者様からの話のみを聞くと、そのような理由で別居されてしまうのかというような事情もあります。

ご依頼者様のプライバシーや弁護士の守秘義務の関係で、具体的な内容をそのままお伝えすることはできず、あくまで架空の内容にはなりますが、例を挙げるとすると、「いつも妻は、自分がお風呂に入る時にバスタオルを準備してくれており、その日は準備してくれていなくて、少し注意したら翌日、別居された」というようなお話があることは決して少なくありません。

そのような事例で代理人としてお手伝いさせていただくと、その多くが、別居直前のできごとは、別居を決意する引き金にはなったが、それだけでなく、日々の不満等が色々出てくるというケースが多いです。

おそらく、日々の不満などが積もり積もって、いわばコップからあふれる直前の状態であるときに、それ自体は大きな出来事ではないことが起こり、それがきっかけで溢れてしまい、別居に至ったのだと思います。

こういった状況でいつも思うのが、「いつの時点で取り返しがつかない状況であったのか、いつの時点で話し合いなどを行えば、離婚という結論を回避することができたのか」ということです。
個人の感情の部分ですので、なかなか分からないなと日々感じています。

 

弁護士として、お手伝いする以上、圧倒的に離婚という結果で終わる案件の方が多いです。
今年で弁護士8年目ですが、一方が離婚したいという状況で代理人としてお手伝いした案件で、離婚にいたらず円満で解決したという事例は1件しかありません。

離婚という結末が良いというケースも少なくないですが(離婚したことで逆に当事者の関係性がよくなったというケースもあります。それは別の機会に)、弁護士として、離婚という結論を回避するために何かできることはないかなと考えたのですが、弁護士が間に入る=離婚を前提とした話し合いになるというイメージがほとんどだと思うので、なかなか難しいのかなと思っています。

もっとも、夫婦の関係が悪く、どうしたらいいかというご相談についても可能な限りお答えさせていただきます。
その際にはきっと、離婚を切り出された際の対応や離婚に関する問題(養育費、財産分与等)についてのご質問もあろうかと思います。
ご夫婦の関係に悩まれている方は是非ご相談ください。

2019.04.25

【相談事例38】合意をすればすべて有効?~契約(法律行為)の有効性について~

【相談内容】

平成32年という合意であっても無効になることは少ないようですね。
先日、妻の不貞相手との間で、慰謝料の和解をして、慰謝料として5,000万円支払うと相手も言っていたため、その旨の和解契約書を作成しました。
相手は学生で、到底払えきれないとは思うのですが、一度当事者で合意をした以上、問題ないですよね?

【弁護士からの回答】

前回は、契約(法律行為)の客観的有効性の要件のうち、内容の確定性についてご説明させていただきました。

今回は、内容の確定性以外の客観的有効性の要件についてご説明させていただきます。

1. 内容の「実現可能性」について

前回ご説明したとおり、契約が成立すると、契約の当事者には、契約内容にしたがった権利(債権)と義務(債務)が発生することになり、義務を履行することができない場合には、損害賠償をしなければならないリスクを背負うことになります。

したがって、契約の内容が実現することが不可能な契約の場合には、当事者間で合意をしたとしても、契約は無効となります。

例としては、既に消失してしまっている物の売買や、「3時間以内に月に行って帰ってくる」といったような、社会通念上実現不可能な契約(そもそもこんな契約を行うこと自体考えられませんが、分かりやすい例としてご説明しています。)についても無効となります。

2. 内容の「適法性」について

法律の中には、契約の当事者を保護するために、その規定に反する合意を行ったとしてもその合意が無効になる効力を有する規定があり、これを「強行規定」といいます。

強行規定の例としては、民法146条で「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」と規定されており、時効の利益(消滅時効や取得時効により生ずる利益(債務の消滅や、物の所有権の取得など)をいいます。)については時効期間が満了する前に契約書等で時効の主張を行わないと定めていても、上記強行規定に反し無効ということになります。

3. 内容の「社会的妥当性」について

当事者がいかに合意していたとしても、公の秩序や善良な風俗(社会における一般的な倫理)に反し、社会的な妥当性を欠く法律行為(契約)については、公序良俗違反として民法90条によりとなるとされています。

例えば、「人を殺したら200万円支払う」といったような犯罪行為に関する契約や、愛人、妾の契約については、家族若しくは性道徳に反する契約として無効になります。

また、不当に高額な利息を付した契約や、莫大な賠償金などを設定するようないわゆる暴利行為に関しても、公序良俗違反として無効になるとされています。

ご相談者様の事例でも、不貞行為の慰謝料の金額がどの程度の金額になるかについては、不貞行為の内容や、不貞を行った人の経済能力などが考慮の対象となります。しかしながら、5000万円というあまりにも高額な金額について、学生が支払うことができ金額ではないことは誰がみても明らかであるため、示談書を作成していたとしても公序良俗に反し無効とされてしまう可能性が非常に高いでしょう。

ご相談者さまの事例については、あまりに極端な事例ですが、上記のような契約の有効性については意識しておかなければ、要件を満たしていない契約書を作成してしまう可能性は少なくないと思いますので、契約書等の合意書面を作成する際には、是非一度弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.04.02

不貞相手に慰謝料請求ができない??④~今後の問題点について~

【ご相談者様からのご質問】

第三者に離婚慰謝料を請求することができる場面はとても限られているのですね。

今回の最高裁所の判例がでたことにより、気を付けなければならないことはありますか。

【弁護士からの回答】

これまで、不貞行為を行った第三者に対する離婚慰謝料が否定された最高裁版所の判例についてご説明させていただきましたが、今回は、上記判例が出されたことによる、今後の検討課題や、注意しなければならない事項についてご説明させていただきます。

1 注意事項~消滅時効に注意~

夫婦の一方と不貞行為を行った第三者に対しては、「離婚」慰謝料の請求は認められず、「不貞」慰謝料の請求のみ認められることになります。
そして、不貞慰謝料の場合自身の配偶者が不貞行為を行ったこと及び加害者知った時点から3年以内に訴訟を提起しなければ、消滅時効により不貞慰謝料は消滅してしまうことになります。

したがって、不貞を行った第三者に対して慰謝料請求を行う場合には、不貞行為の事実や相手方を知った日から3年以内に請求しなければならないということは認識しておいた方がよいでしょう。

2 検討課題①~離婚の有無が慰謝料金額に及ぼす影響~

従前、「不貞」慰謝料を第三者に対し請求をする場合には、当該夫婦が離婚したか否かという点が、慰謝料金額を算定する上で考慮の対象になるという考え方がありました。

もっとも、今回の判例により、離婚するか否かは、あくまでも夫婦での問題であるということであるため、この判例を素直に読むと、不貞慰謝料を第三者に対し請求する場合には、夫婦が離婚をするのか、婚姻関係を継続するのかについては、あまり影響しないようにも読めるため、「不貞」慰謝料の金額が離婚の有無により影響を及ぼすのか否かについては、今後の裁判例の蓄積を待つ必要があると考えています。

3 検討課題②~配偶者と第三者の連帯責任の範囲~ 

別の機会にご説明させていただきますが、不貞行為を行った配偶者と第三者は2人で不貞行為という違法な行為を行っているため、連帯して慰謝料を支払う義務をおっており、これを共同不法行為による連帯債務といいます。

今回の最高裁の判例で、配偶者に対しては、不貞慰謝料のみならず離婚慰謝料も認められるものの、第三者に対しては不貞慰謝料のみ認められることになったため、配偶者と第三者は、「不貞」慰謝料の範囲のみ連帯して責任を負うということになると解するのが自然であるため、訴訟において、配偶者に対しては、離婚慰謝料、第三者に対しては不貞慰謝料を請求した場合にはどの範囲で連帯債務を負担することになるのかについては、今後の検討課題になると思います。

4 不貞行為以外で、第三者が離婚慰謝料を負う場合はあるのか?

最高裁判所は、「当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情」がある場合には、第三者に対し「離婚」慰謝料を請求することができる旨判断しているところ、この判断が、不貞行為により離婚を余儀なくされた場合に限定した判断であるのか、それとも不貞行為に至っていなくても、第三者が暴力や脅迫により離婚を余儀なくされた場合等においても、離婚慰謝料を認めるという判断になるのかについては今後、問題になっていくと思われます。

5 最後に

これまで、数回にわたり、不貞行為に関する最高裁の判例についてご説明させていただきましたが、この判例のみならず、不貞行為の慰謝料請求は、法的に複雑であり、専門的な内容が多々ある分野ですので、慰謝料請求については、是非早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。

2019.04.01

不貞相手に慰謝料請求ができない??③~最高裁判例の検討~

【ご相談者様からのご質問】

先日、妻から離婚を切り出されました。理由としては、不倫相手から、離婚して一緒になろうと言われたらしく、妻も不倫相手との将来を考えているとのことでした。

妻がそう言う以上、妻との関係は考えていませんが、妻と、不貞相手に対してはきちんと慰謝料を請求したいと考えております。

しかし、先日、ニュースで、不貞相手には離婚の慰謝料が請求できないと知り、どうすればいいか悩んでいます。

【弁護士からの回答】

前回は、夫婦の一方と不貞行為を行った第三者に対する慰謝料請求に関する最高裁の判例についてご説明させていただきました。

今回は、前回ご説明した最高裁の判例の内容の解説とともに、今後検討すべき課題についてご説明させていただきます。

1 第三者には「離婚」慰謝料の請求は認められない。

前回ご説明したとおり、最高裁は、夫婦の一方と不貞行為を行った第三者に対する「離婚」慰謝料は原則として認められないと判断しました。

他方、不貞行為を行ったことを理由とする慰謝料(不貞慰謝料)については認められると判断しました。

離婚慰謝料が原則として認められないと判断した理由として、最高裁判所は、「夫婦が離婚するまでに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが、協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても、離婚による婚姻の解消は、本来当該夫婦の間で決められるべき事柄である。」と述べられています。

すなわち、不貞行為があったとしても離婚するかしないかは夫婦で決めるべき事情であるため、離婚に至ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料は、配偶者に対し請求すべきであって(最高裁も、配偶者に対しては離婚慰謝料を請求することができると判断しています。)、離婚するかしないかに関与することができない第三者に対しては原則請求することはできないと判断しました。

2 例外的に離婚慰謝料が認められる場合

上記のとおり、最高裁判所は、夫婦が離婚するか否かは夫婦で決められるべき事柄であることを理由に、第三者に対する離婚慰謝料を否定しています。

したがって、最高裁判所も、第三者が「当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がある」場合には例外的に、第三者に対する離婚慰謝料が認められると判断しています。

どの程度の干渉があれば、特段の事情があると認められるかについては、今後、の裁判例の蓄積を待つ必要がありますが、第三者が不貞している夫婦の一方に対し、配偶者と離婚するよう積極的に働きかけた、その結果として離婚するに至った場合や、第三者自身が、不貞をしていない配偶者に対し、離婚するようメールや電話などで執拗に要請した場合などは、第三者の不貞行為等によって、離婚を余儀なくされたと認められ得るため特段の事情の有無を検討してよいのではないかと思います。

次回は、今回の最高裁判所の判例が出されたことによる、今後の検討課題や注意すべき事項等についてご説明させていただきます。

2019.03.29

不貞相手に慰謝料請求ができない??②~各裁判所の判断は?~

【ご相談者様からのご質問】

慰謝料には、離婚慰謝料と不貞慰謝料の2種類があるのですね。

不貞が原因で離婚するのだから、不貞慰謝料だけでなく離婚慰謝料も当然、第三者にも請求できると思うのですが・・・。

【弁護士からの回答】

前回は、最高裁判例の事案のご説明と、どのような点が問題になっているのかについてご説明させていただきました。

この事件、第1審、第2審と最高裁との間で判断が分かれたのですが、ポイントは、不貞行為を行ったことと、夫婦が離婚することをどのように考えるのかというところにあります。

1 第1審及び第2審について

第1審及び第2審は、妻とAとの不貞行為により、夫と妻との間の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったものであるから、Aは両社を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負い、Aは夫に対し、離婚に伴う慰謝料を請求することができると判断しました。

すなわち、第1審及び第2審では、不貞行為を行った第三者に対しても離婚慰謝料を請求することができると判断し、原告の慰謝料請求の一部を認容しました。

判決の理由にもあるように、不貞が原因で離婚したのであるから、離婚慰謝料を支払う義務があるというのは自然なようにも思えます。

もっとも、不貞行為の第三者に対し離婚慰謝料が認められるとすると、不貞により直ちに離婚した場合には、離婚してから3年間相手から請求がない場合には、時効により、請求を逃れられることになりますが、不貞が原因で家庭内別居が続き、不貞行為から10年経過した後に、離婚したような場合には、第三者はその場合でも慰謝料を支払う義務があることになってしまい、いつまでも損害賠償を受けるリスクにさらされることになり、妥当ではないという考え方もあります。

2 最高裁判所の判断

上記第1審及び第2審の判断を不服としたAが、最高裁判所に上告を行った結果、平成31年2月19日、最高裁判所において、それまでの判決のうち、Aの敗訴部分(離婚慰謝料を認めていた部分)を取消した上で、原告である夫の請求を棄却しました。
そして、最高裁判所は、以下のような判断を行いました。

①夫婦の一方は他方に対し、その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害を求めることができる。

②夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は、これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても、当該夫婦の他方に対し、不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合はあることはともかくとして、直ちに、当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはない

③第三者がそのこと(夫婦離婚させたこと)を理由とする不法行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦の一方との間で不法行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られる。

上記①~③の詳細な内容については次回ご説明させていただきますが、上記判断のうち②については、第三者に対し、「不貞慰謝料」は認められるものの、「離婚慰謝料」は原則として認められないと判断した点で非常に重要な判例とされています。

次回は、最高裁判所の判断の内容について解説させていただきます。

2019.03.28

不貞相手に慰謝料請求ができない??①~最高裁判例の争点とは~

【ご相談者様からのご質問】

1年前に夫がほかの女性と不倫していることが判明しました。現在、夫とは離婚協議中なのですが、夫が離婚に応じてくれないのと親権等の問題があり、まだまだ離婚については長引きそうです。

夫の不倫相手へ慰謝料については、夫との離婚が解決してからゆっくり請求しようと考えています。

【弁護士からの回答】

先日、最高裁判所において、不貞行為を行った第三者への慰謝料請求に関する重要な判決が出されました(テレビのニュースでも報道されていたので、一般の方でも知られている方もいらっしゃるかもしれません。)。

もっとも、ニュースの見出しなどでは、「不貞行為を行った第三者に対し慰謝料を請求できない」というような誤った情報を与えるような内容も見受けられました。

そこで今回から、最高裁判例の事案の概要や争点(何が法的な問題となったのか)についてご説明するとともに、最高裁判所がどのような判断を行ったのかについてご説明させていただきます。

1 事案の概要

原告の夫は、平成6年3月に妻となる女性と婚姻し、その年の8月に長男、平成7年に長女をさずかりました。しかし、夫は仕事のため帰宅しないことが多く、妻も働くようになった平成20年12月以降は、夫婦の間で性交渉がない状態になっていました。

その後、妻は入社した直後に会社で知り合った男性(訴訟の被告です。以下、Aとします。)と親密になっていき、平成21年6月以降、Aと不貞行為に及ぶようになりました。

そして、夫は、平成22年5月頃、妻とAの不貞関係を知るに至りましたが、そのまま同居を続けていました。また、妻とAとの不貞関係は、同じころ解消しました。

夫と妻はそのまま同居を続けていましたが、平成26年4月頃、長女が大学を進学したのを機に、夫と別居し、半年間夫のもとに帰ることも連絡を取ることもなかったため、夫において平成26年11月頃、離婚調停の申し立てを行い、平成27年2月に調停離婚が成立しました。

そして、離婚成立後、夫から不貞相手のAに対し、妻とAが不貞行為を行ったことにより夫婦が離婚するに至ったとして慰謝料請求等を500万円の支払いを求める訴訟を行いました。

2 問題点

今回の事案で問題となるのが、慰謝料請求権の消滅時効との関係で、「何を原因とする慰謝料請求を行うか」という点にあります。
まず、慰謝料請求権は、不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条、710条)であり、かかる請求権の消滅時効は、被害者が「損害及び加害者を知った時から三年間」になります(民法724条)。

そして、不貞と離婚の関係では、「不貞行為を原因とする慰謝料」(「不貞慰謝料」といいます。)と、「離婚を余儀なくされたことによる慰謝料」(「離婚慰謝料」といいます。)の2つの慰謝料があり、各慰謝料では、時効期間の開始時期(起算点といいます。)が異なります。

すなわち、不貞慰謝料は、不貞行為をされたことにより被った精神的苦痛が損害になります。したがって、時効の起算点、すなわち「損害及び加害者を知った時」というのは、不貞行為の事実及び不貞行為の相手方を知ったときになります。

最高裁判例の事例では、夫は平成22年5月ころ妻とAの不貞の事実を知っているため、3年後の平成25年5月の時点で、時効期間が満了してしまい、夫はAに対し、「不貞」慰謝料が請求できないことになってしまいます。

これに対し、「離婚慰謝料」の場合には、離婚を余儀なくされてしまったことによる精神的苦痛が損害になります。したがって、「損害」を知ったときが時効期間の起算点になるため、離婚慰謝料の場合には、離婚した時が起算点となります。

最高裁判例の事例でも、「離婚」慰謝料の構成をとれば、離婚をしたのが平成27年2月であるため、そこから3年以内であれば離婚慰謝料を請求することができます。
おそらく夫(原告)の訴訟代理人も不貞慰謝料では時効期間の問題があるため、離婚慰謝料として構成して訴訟提起したのでしょう。

したがって、最高裁判例での一番の争点は、「不貞行為を行った第三者(夫婦以外の不貞行為の当事者)に対し、「離婚」慰謝料を請求することができるか」という点になり、この点について、最高裁判所が初めて判断を行ったことで注目が集まっていました。

次回には、上記争点について、第1審、第2審理及び最高裁判所がどのような判断を下したかについてご説明させていただきます。

2019.02.20

婚姻費用と養育費とは

【ご相談者様からのご質問】

夫からのモラハラ、パワハラが理由で夫との離婚を考えています。ですが、私は現在、専業主婦で働いておらず、子ども1人もおり、別居後や離婚後の生活が不安です。

夫から養育費などお金をもらうことができると聞いたことがありますが、具体的な内容をよく知りませんので教えていただけますか。婚姻費用と養育費は離婚後もどちらももらえるのでしょうか。

【弁護士からの回答】

離婚のために夫婦が別居したとしても、離婚が成立するまでの間は、夫婦であることには変わりはありません。また、未成年のお子さんがいる場合には、別居後も離婚後もお子さんの生活費などは負担していく必要があります。

そこで、今回から複数回にかけて離婚事件における生活費の問題、すなわち、婚姻費用や養育費についてご説明させていただきます。

今回は、婚姻費用と養育費の定義等総論的な内容についてです。

1 婚姻費用とは

婚姻費用とは、夫婦と未成年(未成熟)の子どもの生活費のことを言います。

民法760条では、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定されていることから、夫婦は、婚姻から生ずる費用、すなわち、生活費を分担することになります。

また、民法752条では、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と規定されている以上、夫婦である以上、収入がある方が他の配偶者を扶養する義務を負うことになります。

この点、夫婦や家族が同居している場合には、生活費の負担については問題になることはありません(数は少ないですが、同居しているが生活費を支払わないという場合もゼロではなく、その場合には同居していても婚姻費用が問題になることがあります。)。

もっとも、収入の少ない配偶者や子どもが別居している状況では、別居している状態で、婚姻費用(生活費)の分担について協議を要することになります。

2 養育費について

上記の婚姻費用は、簡単に言うと、収入の少ない方の配偶者と未成熟のお子さんの生活費のことを言いますが、離婚後は婚姻費用ではなく、養育費が問題となります。

すなわち、上記婚姻費用のうちの夫婦の扶養義務については、婚姻期間中のみ発生するものであり、離婚後は、夫婦ではなく、厳しい言い方にはなってしまいますが、他人になるため、元配偶者であったとしても、その配偶者自身の生活費を負担する必要はなくなります。

もっとも、夫婦間の関係は離婚により解消するものの、未成年のお子さんと夫婦との関係は、親の離婚に関係なく続いていくことになります。したがって、夫婦の離婚後は、収入のある配偶者が、未成年者の生活費を養育費という形で支払う必要があります。

ご相談者様の質問にあるように、婚姻費用と別に養育費がもらえるわけではなく、簡単に整理すると、離婚するまでは婚姻費用、離婚後は養育費というように、棲み分けがなされています。

婚姻費用や養育費にまつわる個々の問題については、次回以降でご説明させていただきます。

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