弁護士コラム

2018.01.30

代襲相続について②

代襲相続について②

<ご相談者さまからのご質問>

  先日,夫が自分の実家に帰省中に,交通事故に遭いました。夫のお父さんも同乗しており,2人とも亡くなってしまいました。夫のお父さんには妻(夫の母)がおり,子供は夫以外に,夫の姉がおります。また,夫と私の間には子供が1人いるのですが,この場合,夫の父の財産に関してはどのように相続されるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

  今回の事例においてはご相談者様のご主人とご主人のお父様がどのような順序や方法で相続が発生したかによって誰が相続人となるかが大きく異なってきます。本日は,複数の人が同時に死亡した際の取り扱いと,その際に代襲相続が認められるのかを中心にご説明させていただきます。

 民法上相続の開始時期は,被相続人が死亡した時点とされています(民法882条)。したがって,今回の事例の場合にもご主人とご主人のお父様がいつ死亡したかによって相続人の範囲も異なってきます。
 まず,事故により,お父様が現場で即死し,ご主人はその後,搬送された病院で死亡した場合,お父様が死亡した時点で,相続が発生するため,相続人はお父様の妻,子供であるご相談者様のご主人とその姉になります。そして,ご主人が亡くなったことにより,ご主人が有していた法定相続分は,妻であるご相談者様と,お子さんに相続されることになります。したがって,この場合,お父様の妻,ご主人の姉,ご相談者様,お子様の4名が相続人となり,ご主人のお父様の遺産に関しては,この4名で遺産分割協議を行うことになります。

 次に,順番が逆になり,ご相談者様のご主人が現場で即死の状態となり,その後お父様が病院で亡くなられた場合には,まず,ご主人の相続が発生し,その後,お父様の相続が発生することになります。そして,お父様の相続発生時には,ご主人は既に亡くなっていることから,相続人は,お父様の妻,ご主人の姉,そして,代襲相続によりご主人の(ご相談者様の)お子さんの3名が相続人となり,ご相談者様は相続人とはなりません。

 では,事例を変えて,ご主人とお父様が事故により即死の状態であり,厳密にどちらが先に死亡したかが分からないような場合にはどのように扱われるのでしょうか。
 民法では,数人の者が死亡した場合において,そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは,これらの者は,同時に死亡したものと推定するとされています(民法32条の2,同時死亡の推定といいます。)。そして,同時に死亡したとされる以上,相続開始の時点で死亡しているため,お父様とご主人との間では相続は発生しないことになります。

 また,代襲相続の要件の1つとして,相続の開始「以前」に死亡していることが必要であり,この「以前」には,同時に死亡した場合も含まれるため,この場合にも代襲相続が発生します。
したがって,結論としては,先に,ご主人が亡くなっている場合と同様に,お父様の相続に関する相続人は,お父様の妻,ご主人の姉,ご主人を代襲相続したお子さんの3名となります。
このように,複数のご親族がお亡くなりになられた場合には,相続人が誰になるのかは複雑な問題ですので,早めに弁護士にご相談ください。

2018.01.29

代襲相続について①

代襲相続について①

<ご相談者さまからのご質問>

  先日,祖父が亡くなりました。相続人には私の父を含めて祖父の子が3人いたのですが,長男である私の父は以前,祖父にひどいことをしてしまったらしく,生前に推定相続人の廃除を受けています。また,祖父の二男は祖父が死亡する前に既に亡くなっており,さらに,二男の息子も祖父が死亡する前に亡くなっておりその息子(二男の孫,祖父の曾孫)がおります。また,祖父の三男は既に自分は相続したくないとして相続放棄の手続きを完了しており,三男にも子どもがおります。
  この場合,誰が祖父の相続人になるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

  以前にも少しお話ししましたが,民法では,相続に関するルールとして,本来相続人であった者の子等が相続人となる代襲相続というルールを採用しています。代襲相続については,これまで話してきた相続欠格,相続人の廃除等様々仕組みと関連する問題ですので,今回から数回に分けて,代襲相続にまつわる問題についてご説明させていただきます。

 代襲相続については,民法887条2項に規定してあり,被相続人の子が,①相続の開始以前に死亡したときか,②民法891条(相続人の欠格事由)の規定に該当したとき,もしくは,③廃除によって,その相続権を失ったときに,①~③に該当する者の子が相続人となるとされています。
 したがって,ご相談者様の事例では,ご相談者様のお父様(被相続人の長男)は,相続廃除されているので,相続権を失ってはいるものの,代襲相続により,ご相談者さまご自身が相続人(代襲相続の結果相続人となった者を代襲者といいます。)となります。

 また,民法887条3項では,代襲者自身に①~③の事由が発生した場合には,代襲者の子が相続人となるとされており,再度代襲相続が発生していることから再代襲相続といわれています。
 したがって,ご相談者様の事例でも,相続人の二男の方は既に亡くなられており,代襲相続が発生しておりますが,代襲者(二男の息子,被相続人の孫)も既に亡くなっているため,代襲者の子である二男の孫(被相続人の曾孫)が再代襲相続により相続人になります。

 このように,代襲相続は,相続人の死亡,相続欠格,廃除の場合には認められますが,相続人が相続放棄を行った場合,相続放棄を行うと,はじめから相続人とならなかったものとみなされるため(民法939条参照,相続放棄については別の機会にご説明させていただきます。),代襲相続は認められず,相続放棄を行った者の子は,相続人にはなりません。
したがって,ご相談者様の事例でも,相続放棄を行った被相続人の三男のお子様は,相続人にはなりません。
 代襲相続がからむと相続人が誰かという問題についてはとても複雑になってきます。相続人に関して複雑な状況が発生していると感じられた場合には,なるべく早く弁護士にご相談ください。

2018.01.28

欠格事由と廃除について(2)~相続人の廃除について②~

欠格事由と廃除について(2)~相続人の廃除について②~

<ご相談者さまからのご質問>

 相続人の廃除という方法を使えば,特定の相続人に相続させないようにすることができるのですね。どのような場合に相続人の廃除は認められるのですか。また,相続人の廃除をするためにはどのような方法があるのですか。

<弁護士からの回答>

 今回は,相続人の廃除の要件及び相続人の廃除を行うための手続きについてご説明させていただきます。
 相続人の廃除の要件は,民法892条に規定されており,①遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいいます。)が,②被相続人を虐待,被相続人に重大な侮辱を与える,もしくは,推定相続人にその他の著しい非行があった場合には被相続人において,当該推定相続人を廃除することができます。

 廃除される推定相続人は,①「遺留分」を有する推定相続人なので,配偶者,子または直系尊属(つまり兄弟姉妹以外の推定相続人になります。)が廃除の対象になります(遺留分については別の機会にご説明させていただきます。)。したがって,兄弟しか推定相続人がいない場合には,被相続人の廃除ではなく,特定の相続人に相続させない旨の遺言を作成するのがよいでしょう。
 次に,②の要件のうち,「虐待」とは,被相続人に向けられた暴力や耐え難い精神的苦痛を与えることをいいます。また,「重大な侮辱」とは,被相続人に向けたれた,名誉や感情を著しく害する行為をいいます。「その他の著しい非行」については,多額の借金を肩代わりさせた場合や,介護が必要な被相続人を全く介護しなかった場合等が該当するものですが,「虐待」や「重大な侮辱」に匹敵するような非行でありことが必要です。

 次に,相続人の廃除をするための手続きとしては,被相続人が生前に家庭裁判所に対し,推定相続人廃除審判を申し立てる方法(民法892条,俗に「生前廃除」と呼ばれています。)と,被相続人が遺言により廃除の意思を表示する方法(民法893条,「遺言廃除」と呼ばれています。)があります。
廃除が認められると,生前廃除の場合には廃除の審判が確定した時点,遺言廃除の場合には廃除の審判確定後,被相続人の死亡時にさかのぼって相続人の資格が失われる効果が発生します。生前廃除の場合には被相続人において,後日廃除した推定相続人と和解できた場合など,廃除を取りやめたい場合には,家庭裁判所への請求や遺言により廃除の取り消しをすることができます。また,遺言廃除の場合には,相続開始後,遺言にしたがって相続手続きを行う遺言執行者を選任しなければならないため,あらかじめ遺言で遺言執行者も定めでおくべきでしょう。

 このように,要件に合致し,適切に手続きを行えば相続人の廃除を行うことが可能です。しかし,審判の申立や遺言の作成など手間や専門的な作業を要することに加え,親族間での対立関係が発生したり,それまでの対立関係が悪化する等深刻な状況になりかねないため,相続廃除を希望される場合には,是非一度,弁護士にご相談ください。ご相談者さまの御意向をお聞きして円滑に解決することができるようお手伝いさせていただきます。

2018.01.27

欠格事由と廃除について(2)~相続人の廃除について①~

欠格事由と廃除について(2)~相続人の廃除について①~

<ご相談者さまからのご質問>

 自分も高齢になってきたので,自分が亡くなったときに自分の残された財産がどのように妻や子ども達に相続されるのかが気がかりです。私には妻がと息子が2人おり,長男はとても粗暴な性格で長年私に対し暴力を振るってきました。このような親に対して不誠実な行為を行う長男には財産を相続させたくはありません。
 どうすればいいでしょうか。

<弁護士からの回答>

 前回は,相続人の欠格事由についてご説明させていただきましたが,今回から3回にわたって相続人の廃除についてご説明させていただきます。相続欠格の場合には法律上当然に相続人たる資格を喪失するものですが,相続人の廃除については被相続人の意思により相続人たる資格をはく奪するものであります。今回は,特定の相続人に相続をさせたくない場合にどのような選択肢が存在するかについてご説明させていただきます。

 特定の相続人に相続をしてほしくない場合に被相続人がとりうる方策としては(相続欠格事由に該当する行為がないことを前提としています。),①相続人に被相続人の死後,相続放棄をしてもらうことを期待する,②自分の財産のすべてを特定の相続人の相続させる(特定の相続人には相続させない)旨の遺言を作成する,③相続人の廃除を行うという3つの方策が考えられます。

 ①の方法については,被相続人の死亡前における相続放棄が認められておりませんので(民法915条1項では,相続放棄は「相続の開始があったことを知った時から」3か月以内にしなければならないと規定しており,死亡前の相続放棄を認めておりません。),いくら相続人が相続放棄すると約束していたとしても,死後,相続放棄をしない場合には,相続されてしまいます。

 ②の方法については,相続人となる予定の人(推定相続人といいます。)が兄弟しかいない場合には,兄弟には遺留分がないため(遺留分については別の機会にご説明いたします。),この方法により相続させたくない人に相続させないことが可能です。

もっとも,推定相続人が遺留分を有する配偶者や子である場合には,特定の相続人に対して一切相続をさせないという遺言を作成したとしても,後日,遺留分減殺請求権を行使されることにより,いくらか財産を回収されてしまう可能性が十分に残ってしまいます(生前に,遺留分の放棄をしてくれている場合には,こうした問題は起きませんが,遺留分の放棄を強制することはできません。
遺留分の放棄については別の機会にご説明させていただきます。)。また,残された相続人の方に遺留分にまつわるトラブルに巻き込んでしまうという側面もあります。

 そこで,被相続人において③相続人の廃除を行うことで,欠格事由に該当する場合と同様に,相続人たる資格を喪失させることができるため,自らの意思で,相続させたくない人から相続人たる資格をはく奪することができます。

 次回は,相続人の廃除に関する要件についてご説明させていただきます。

2018.01.26

欠格事由と廃除について(1)~欠格事由について~

欠格事由と廃除について(1)~欠格事由について~

 <ご相談者様からのご質問>

 父が先日亡くなったのですが,父の遺言が見つかりました。ところが,遺言の中身を見た母(配偶者)が遺言を破り捨ててしまいました。私自身遺言書の内容がどのようなものであったのかは分からないのですが,父の生前の遺志がわからず,母に対してはとても憤りを感じています。こんなひどいことをした母にも相続する資格はあるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 相続人が誰になるのかという問題について,これまでは法定相続人,すなわち,法律上相続人となることができる親族は誰かということについてご説明させていただきました。今回からは,形式的には法定相続人に該当する者であっても,不誠実な行為をしたことより,法律上相続人となる資格を失う場合や,被相続人や他の相続人の意思に基づき相続人としての資格を失う場合として,欠格事由と相続人の廃除についてご説明させていただきます。今回は,欠格事由として法律上当然に相続人としての資格を失う場合についてご説明いたします。

 相続における欠格事由とは,相続人が当該欠格事由に該当する行為を行った場合,法律上当然に相続人たる地位(資格)を失うものをいいます。
 欠格事由については,民法891条に規定されており,891条の各号に規定されている事由に該当するものは「相続人となることができない」とされています。
 欠格事由の具体的な内容として,「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者」(1号),「被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者」(2号,ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは除く),「詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者」(3号),「詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者」(4号),「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」(5号)があります。

 上記の欠格事由に該当する者がいる場合には,法律上当然に相続人たる地位を失うことになります。その結果,遺産分割協議については,欠格事由に該当する者を除いて遺産分割協議を行うことが可能です。
 しかし,相続欠格事由に該当する場合であっても,戸籍等で客観的に欠格事由であることが明らかにならないため,実際の遺産分割の手続では,その人が欠格事由に該当することを客観的に証明する必要があります。具体的には,自分が欠格事由に該当していると認めている場合には,その者に欠格者であることの証明書に署名いと実印を捺印してもらい,印鑑証明書を添付して登記手続等を行うことになります。他方,自分が欠格者ではないと主張している場合には,別の機会にもご説明させていただきますが,民事訴訟(相続人の地位不存在確認の訴え)により確定判決を得る必要があります。

 ご相談者様の事例では,母親が被相続人の遺言書を破棄しているため,欠格事由(民法891条5号)に該当するため,ご相談者様の母親には相続権はありません。
 欠格事由については,別の機会にもご説明しますが,代襲相続とも関連する問題であり非常に複雑であるため,是非一度弁護士にご相談ください。

2018.01.25

相続人について②~第一順位の相続人(子)にまつわる問題~

相続人について②~第一順位の相続人(子)にまつわる問題~ 

<ご相談者様からのご質問>

【ケース1】

  祖父が先日なくなりました。祖父のこどもは私の父を含めて5人います。
私の父は祖父が亡くなるよりも数年前に亡くなっているのですが,この場合,祖父の財産は父以外の兄妹で分けることになるのでしょうか。

【ケース2】

 現在,私は妊娠しています。夫が急になくなってしまいこれからの生活をどうしようかと悩んでいます。夫の両親はすでに亡くなっておりますが,夫の兄妹が6人もいます。この場合,夫の財産はわたしと夫の兄妹でわけることになってしまうのでしょうか。
 子は,第一順位の相続人として相続の問題に巻き込まれる頻度が高いといえます。ケース1,ケース2の場合には子が相続人になる場面ではなさそうですが,法律上こういったケースに対する保護を及ぼしています。今回は代襲相続や胎児の問題についてご説明させていただきます。

<弁護士からの回答>

【ケース1について】

 ご相談者さまのお父様は被相続人よりも先に死亡しているため,相続人にはなれず,それ以外の子4人で分割することになるかとも思われます。しかし,この場合,ご相談者様のお父様が被相続人よりも後に死亡していた場合には,被相続人の相続分をご相談者様が相続することになるため,被相続人の直系卑属がいつ死亡したかにより不平等な結果となってしまいます。そこで民法上,被相続人の子が相続の開始以前に死亡したときにはその者の子が代襲して相続人となるとされており(民法887条1項本文),これを代襲相続といいます(被相続人の子を被代襲者,被代襲者の子を代襲者といいます。)。したがって,今回のケースでも,ご相談者様が代襲者となるため,お父様の地位を引き継いで(お父様のかわりに)相続人になりますので,お父様のご兄弟とともに遺産分割協議を行うことになります。
代襲相続については他にも多くお伝えしたいことがありますので,別の機会にまとめてご説明させていただきます。

【ケース2について】

 民法上「私権の享有は,出生に始まる。」(3条1項)と規定されており,権利義務の主体となることができる始期は出生時となっています。この規定に従うと,被相続人の死亡により相続が発生するところ,相続人となるためには被相続人が死亡している時点で出生している必要があり,胎児は相続人になれないことになります。
 そこで,民法ではこうした胎児の権利保護を図るために,例外規定として,「胎児は,相続については,既に生まれたものとみなす。」(民法886条1項)として,相続開始時に胎児であれば相続人たりうることになります。したがって,ケース2の事例でも,胎児はすでに出生しているものとみなされるため,相続人は配偶者の奥さんと第一順位である子(胎児)ということになります。もっとも,胎児が死産してしまった場合には先程の規定が適用されなくなるため(民法886条2項),ケース2の場合でも,相続人は配偶者の奥さんと,第三順位にあたる被相続人のご兄弟6人になります。

2018.01.24

相続人について①

相続人について①

<ご相談者さまからのご質問>

 先日,夫が急になくなってしまいました。これから相続のことについて考えなければなりません。夫との間には子どもが1人おり,夫の両親もご兄弟も健在です。この場合,誰が相続人になるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 ご家族の方がお亡くなりになられたとき,どなたが相続人に該当するのかという問題は,誰に財産を分けなければならないのかという問題だけにとどまらず,誰が相続税を負担しなければならないのかという問題にも関わってきます。そこで本日は,誰が相続人となるのかという法定相続人について総論的なお話をさせていただきます。

誰が相続人になるのかということに関するルールは民法の886条から895条に規定されており,民法上相続人となることができると規定されている人のことを法定相続人といいます。
 まず,配偶者は必ず法定相続人になります(民法890条)。この配偶者については,民法が法律婚主義(婚姻届の提出により初めて法律上夫婦と認める制度のことをいいます(民法739条1項)。)を採用していることから,法律上の配偶者のみを指しており,内縁の妻や,事実婚状態のパートナーは相続人に含まれず,被相続人の財産を一切相続することができません(したがって,なんらかの理由があって法律婚ではない状態でいるパートナーに死後財産を残したい場合には遺言を作成しておく必要があります。)。

 配偶者以外の法定相続人は,第一順位の相続人として子(民法887条1項),第二順位の相続人として直系尊属(最も親等の近い者,民法889条1項1号),第三順位の相続人として兄弟姉妹(民法889条1項2号)となっています。第二順位,第三順位に該当する人は自分より前の順位に該当する人がいる場合には相続人にはなれません。
 したがって,ご相談者様の事例では,まず,配偶者である奥様は相続人になります。また,第一順位の相続人であるお子さんがいらっしゃるので,お子さんは相続人になります。第一順位の相続人であるお子さんがいらっしゃる以上,第二順位に該当するご両親,第三順位に該当するご兄弟は相続人にはなりません。

ご主人にどれだけ財産があったとしても一切相続財産を手にすることができません。事例を変えてお子さんがいらっしゃらない場合には第二順位のご両親が相続人になりますが,第三順位のご兄弟は相続人にはなりません。さらに事例を変えてお子さんもご両親もいらっしゃらない場合に初めてご兄弟が相続人になります。
 このように,誰が相続人になるかについては,ケースによって様々です。それ以外にも相続の手続きは複雑であるため,是非一度弁護士にご相談ください。

2018.01.23

相続とは何か・・・

<ご相談者さまからのご質問>

  知り合いで,相続に関する問題でもめている人がいると聞きましたが,そもそも相続について何も知りません。相続って何ですか。相続が発生するとどういうことが起きるのですか。

<弁護士からの回答>

 ご親族がお亡くなりになられた方は必ず相続に直面されていますが,実際にそういった場面にならないと相続に関して意識することはないと思います。そこで,今回は,相続に関する具体的な内容の説明に入る前に,相続とはという一般的な事柄についてご説明させていただきます。

  相続とは,自然人(法人ではない法人格のことをいいます。)の財産などを様々な権利・義務を他の自然人が包括的に承継することをいいます。
  包括的に承継するため,贈与契約のように特定の財産等を譲り受けるというような選択はできず,すべての財産を譲り受けることになります。また,権利(財産)だけでなく義務,すなわち債務(負の遺産)も承継することになります。

 民法上,「相続は死亡によって開始する。」(882条)と規定されており,かつ,「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」(896条本文)と規定されています。死亡した人の財産上の地位を承継する人のことを相続人といい,相続される財産,権利,法律関係の旧主体(死亡した人)を被相続人といいます。したがって,日本における相続とは,被相続人の死亡により,被相続人の権利・義務が包括的に相続人に承継されることをいいます。
 この死亡には,実際に死亡が確認された場合だけでなく,失踪宣告や認定死亡等法律上死亡していると扱われる場合であっても相続が開始することになります(失踪宣告,認定死亡については別の機会にご説明させていただきます。)。

 相続によって承継される権利・義務ですが,すべての権利・義務が承継されるわけではありません。民法では「被相続人の一身に専属したものは、この限りでない(権利・義務が承継されない)。」(896条但書)と規定されており,一身専属的な権利・義務については相続されないとされています。この一身専属的な権利・義務の具体的な内容としては,使用貸借契約における借主の地位(民法559条),委任契約における委任者・受任者たる地位などがこれにあたり,死亡しても相続されません。また,養育費を支払う義務については一身専属的な義務なので,死亡によりその義務が相続されることはありません(養育費に関する相続の問題は専門的な問題があるため,別の機会にご説明させていただきます。)。
 今回は,相続一般について,相続が発生するとどういうことが起きるのかについえご説明させていただきました。次回は誰が相続人になるのかという問題についてご説明させていただきます。

2018.01.22

相続をめぐる問題について

1 相続をめぐる問題について

自分が亡くなったとき自分の財産はどうなるのか,自分の財産をめぐって子どもや親族で争いがおきないだろうか。次男にはこれまでさんざん援助してきたので,財産については全て長男に相続させたいと思っているのだがどうしたらよいか・・・・

 近年,「終活」という言葉が流行し,書店等にもエンディングノートなどが販売されており,遺言書などの相続についても馴染み深いものになってはいますが,日本人の中には,遺言を作ったり,死後の話をすることに抵抗を持たれている方は少なくありません。

 しかし,相続に関する問題は,大きく分けると誰が相続人になるのかという相続人に関する問題,どの財産が相続される対象に含まれるのかという相続財産に関する問題,どの財産を誰にどのように相続させるのかという分割方法に関する問題があり,それぞれの問題の中でも多数の問題があり,その問題を解決するためには専門的な知識を要するものが多々存在します。

 そして,相続に関する紛争については,必然的に親族間での紛争になります。ご親族のなかでも,親から多額の援助を受けていた人,一切援助してもえなかった人,親に寄り添い献身的に世話をしていた人がいれば,実家を離れ,まったく世話をしてこなかった人等,お亡くなりになられた人の関わり合いも様々であります。そして相続の場面になった際には,ご親族間でこれまでの長い期間の中でそれぞれが抱えた不満などが爆発してしまい,相続が原因で,親族間で深刻な対立関係が生まれてしまう可能性があります。

自分には多額の財産がないので,遺言を作らなくても問題ないだろうと考えて,相続の対策をされていない方も多くいらっしゃると思います。当事務所にも相続に関するご相談を多数お受けしておりますが,しかし,被相続人の方が多くの財産を有している場合にも紛争になることはもちろんありますが,相続財産がそこまで多額出ない場合でも同じように紛争が生じており,むしろわずかな金額の差であっても解決することができず,紛争が長期化してしまうケースも少なくありません。

 このように,相続に関する問題は,事前に準備をしておかないと紛争に発展してしまう可能性が高く(「相続」が「争続」になると言われたりもします。),一度紛争に発展してしまうと,解決するまでに時間や精神面等で多大なる労力を強いられることになってしまいます。

 そこで,このブログでは,相続に関し,残された家族の間での争いを起こさないためにはどうすればいいか,相続に関する紛争が生じてしまった場合,適切に解決する方法はどうすればいいか等,相続に関する全般的な問題について,よくあるご相談内容等を紹介しながら,ご説明していきたいと考えています。

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