弁護士コラム

2018.01.28

欠格事由と廃除について(2)~相続人の廃除について②~

欠格事由と廃除について(2)~相続人の廃除について②~

<ご相談者さまからのご質問>

 相続人の廃除という方法を使えば,特定の相続人に相続させないようにすることができるのですね。どのような場合に相続人の廃除は認められるのですか。また,相続人の廃除をするためにはどのような方法があるのですか。

<弁護士からの回答>

 今回は,相続人の廃除の要件及び相続人の廃除を行うための手続きについてご説明させていただきます。
 相続人の廃除の要件は,民法892条に規定されており,①遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいいます。)が,②被相続人を虐待,被相続人に重大な侮辱を与える,もしくは,推定相続人にその他の著しい非行があった場合には被相続人において,当該推定相続人を廃除することができます。

 廃除される推定相続人は,①「遺留分」を有する推定相続人なので,配偶者,子または直系尊属(つまり兄弟姉妹以外の推定相続人になります。)が廃除の対象になります(遺留分については別の機会にご説明させていただきます。)。したがって,兄弟しか推定相続人がいない場合には,被相続人の廃除ではなく,特定の相続人に相続させない旨の遺言を作成するのがよいでしょう。
 次に,②の要件のうち,「虐待」とは,被相続人に向けられた暴力や耐え難い精神的苦痛を与えることをいいます。また,「重大な侮辱」とは,被相続人に向けたれた,名誉や感情を著しく害する行為をいいます。「その他の著しい非行」については,多額の借金を肩代わりさせた場合や,介護が必要な被相続人を全く介護しなかった場合等が該当するものですが,「虐待」や「重大な侮辱」に匹敵するような非行でありことが必要です。

 次に,相続人の廃除をするための手続きとしては,被相続人が生前に家庭裁判所に対し,推定相続人廃除審判を申し立てる方法(民法892条,俗に「生前廃除」と呼ばれています。)と,被相続人が遺言により廃除の意思を表示する方法(民法893条,「遺言廃除」と呼ばれています。)があります。
廃除が認められると,生前廃除の場合には廃除の審判が確定した時点,遺言廃除の場合には廃除の審判確定後,被相続人の死亡時にさかのぼって相続人の資格が失われる効果が発生します。生前廃除の場合には被相続人において,後日廃除した推定相続人と和解できた場合など,廃除を取りやめたい場合には,家庭裁判所への請求や遺言により廃除の取り消しをすることができます。また,遺言廃除の場合には,相続開始後,遺言にしたがって相続手続きを行う遺言執行者を選任しなければならないため,あらかじめ遺言で遺言執行者も定めでおくべきでしょう。

 このように,要件に合致し,適切に手続きを行えば相続人の廃除を行うことが可能です。しかし,審判の申立や遺言の作成など手間や専門的な作業を要することに加え,親族間での対立関係が発生したり,それまでの対立関係が悪化する等深刻な状況になりかねないため,相続廃除を希望される場合には,是非一度,弁護士にご相談ください。ご相談者さまの御意向をお聞きして円滑に解決することができるようお手伝いさせていただきます。

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