弁護士コラム

2022.01.13

雪道をノーマルタイヤで走ると罰金?

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冬になるととても寒くなりますね。
私は司法試験に合格するまで東京に住んでおり、司法試験の合格後の司法修習で佐賀県に配属されて初めて九州に住むことになりました。
九州と言えば、ヤシの木がいっぱい生えてる南国のようなイメージでした。
実際に佐賀に12月に配属され、雪が降ってるのを目の当たりにした時は『イメージと全然違う』と愕然としたのが懐かしく思えます。

気温が低くなると注意しなければいけないのが、路面の凍結や雪道です。
路面の凍結等により、重大な事故が生じるだけでなく、渋滞を引き起こす等様々なトラブルが起きる危険性があります。

路面凍結や雪道でのトラブルが発生する多くの原因は、ノーマルタイヤで走行してしまうことです。
実際私も、山道で凍結しているところでノーマルタイヤスタック(タイヤが回転しなくなってしまうことです)している車を見かけ、友人数名と押して脱出したことがあります(その際にも、後ろがすごい渋滞になっており、運転手の方もとても迷惑をかけてしまって申し訳なさそうにしていました)。

雪道をノーマルタイヤで走ると罰金?雪道や凍結している道路をノーマルタイヤで走行してしまうと、単に他の人に迷惑をかけてしまうだけでなく反則金を支払わなければならないことになります。

道路交通法71条では、「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。」と規定しており、同条第6号では「道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」と規定しています。

そして現在、沖縄県を除く全ての都道府県において、積雪・凍結した路面で冬用タイヤを装着するなど「すべり止め」の措置をとるよう都道府県道路交通法施行細則または道路交通規則で義務づけられています。

この規定に違反した場合には、各都道府県のいずれでも、大型車は7,000円、普通車は6,000円、自動二輪車は6,000円、原動機付自転車は5,000円の反則金を支払う義務を負います。

このすべり止めの措置については、決して降雪地帯のみに限定されているものではなく、全ての地域で措置を講じることが求められます。「路面凍結注意」「冬用タイヤやチェーンを装着」などという標識などがある場合や、すでに天気予報で雪の予報が出ている場合等の場合には、冬用タイヤやチェーンを準備して、路面凍結や雪道でもトラブルが起きないように対処したいですね。

執 筆
那珂川オフィス 所長/弁護士
後藤 祐太郎
那珂川市のみならず、福岡市南区・春日市・大野城市・筑紫野市・太宰府市・鳥栖市近郊であらゆる法律問題について担当。
博多オフィスへも定期的に来所しています。
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2021.09.30

罪を犯しても刑務所に入らなくて済む?~実刑判決と刑務所の収監~

最近、仕事の忙しさもあって、このブログをさぼってしまっており、ふと思い出したように記事を書いています。
弁護士の後藤です。

2019年4月に東京の池袋で発生した、乗用車の暴走事故。
親子2人が死亡し、9人が負傷してしまったというとても凄惨な事故であり、被害者のご遺族の方のインタビューや会見、被告が公判で過失を争い、無罪を主張していたことなども相まって、世間でも非常に耳目を集める事件となっていました。

先日2021年9月2日にこの事件の第1審の判決が東京地方裁判所で出され、被告人にはブレーキとアクセルを踏み間違えた過失があると認定し、被告に対し、禁錮5年の実刑判決を言い渡しました。

判決後、被告人が第1審の判決を不服として、高等裁判所へ控訴するか否かが注目されていましたが、先日、被告人において、控訴をしない意向であることがニュースなどで報道されるようになりました。

被告人において、禁錮5年の判決に対し控訴をしない場合には、かかる判決が確定することになります。

そして、テレビニュースや新聞では、被告人が90歳と高齢であることから、判決が確定場合に、刑務所に入らない可能性があるのではないかということが盛んに論じられてきました。

私もこの事件があるまでは、刑務所に入らなくてもいいケースがあることは知っていましたが、具体的にどのような場合に刑務所に入らなくていいケースがあるのかについてはよく知らなかったため、今回の事件を機に少し調べてみることにしました。

まず、犯罪を犯したとしても、事件が検察官に送致されない場合や、検察官に送致されたとしても、示談などが成立して不起訴処分になった場合には、そもそも刑事裁判すら開かれないので、刑務所に入る(「収監」といいます。)ことはありません。

罪を犯しても刑務所に入らなくて済む?~実刑判決と刑務所の収監~次に、罪を犯し、検察官に起訴されたとしても、犯罪の内容が軽微である場合、前科等が無い場合や、監督する人がいて再犯の恐れがない場合等ケースは様々ですが、こういった諸般の事情を考慮し、判決において、懲役●年等の刑は言い渡されますが(いわゆる「有罪判決」といいます。)、判決確定後一定の期間(3年、5年などが一般的です)、犯罪を犯さなかった場合には刑務所に入らなくて済むという執行猶予判決が出される場合があります。

この執行猶予判決が出た場合にも、刑務所に入らずに済みます(どのような場合に執行猶予判決が認められるのか、どのような場合に執行猶予が取り消されるのかについては別の記載にご説明しようと思います。)。

そして、今回の事件のように、判決に執行猶予がつかなかった場合(「実刑判決」といいます。)には、判決が確定次第、原則として刑務所に収監されるのですが、実刑判決を受けたとしても、刑務所に入らなくて済む場合、すなわち刑の執行を止める制度については、刑事訴訟法に記載されており、具体的には2つの場合が規定されています。

まず、刑事訴訟法480条では、「懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によって、その状態が回復するまで執行を停止する。」と規定されており、病気や認知症等が原因で、心神喪失状態になっている場合には、その状態が回復するまでは、刑の執行が停止されることになります。

次に、刑事訴訟法482条では「懲役、禁錮又は拘留の言渡を受けた者について左の事由があるときは、刑の言渡をした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡を受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によって執行を停止することができる。」と規定し、検察官の裁量で刑の執行が停止されるケースを規定しています(480条の末尾が「停止する」となっており、必ず停止することを記載しているので「必要的執行停止」、482条の末尾が「停止することができる。」と検察官の裁量に委ねられている記載になっているため、「裁量的執行停止」と呼ばれています。)。

そして、裁量的執行停止が認められるケースとして、

①刑の執行によって、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできない虞(おそれ)があるとき。
②年齢70年以上であるとき。
③受胎後150日以上であるとき。
④出産後60日を経過しないとき。
⑤刑の執行によって回復することのできない不利益を生ずる虞(おそれ)があるとき。
⑥祖父母又は父母が年齢70年以上又は重病若しくは不具で、他にこれを保護する親族がないとき。
⑦子又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。
⑧その他重大な事由があるとき。

と、記載されています。

今回では、被告人の年齢が90歳であり、①の「年齢70年以上であるとき」に該当するため、収監されないのではないかと報道されています。

罪を犯しても刑務所に入らなくて済む?~実刑判決と刑務所の収監~しかし、結論からお伝えすると、70歳を超えているからといって必ず収監されないということはなく、むしろ70歳以上の高齢者であったとしても、実刑判決が出された場合、ほぼほぼ収監されることになります。

逆に70歳を越えた人が原則収監されないとした場合には、いくら罪を犯したとしても刑務所に収監されないと知った高齢者の方の犯罪が増えてしまったとしてもおかしくありません。
したがって、今回の被告人も90歳と非常に高齢ではあるものの、おそらくは判決確定後、刑務所に収監されることになる可能性が高いでしょう。

逆に、③や④の場合には、特に出産の直前直後には、刑務所で出産することは赤ちゃんにとって適切ではないため、刑の執行が停止され、病院へ行き、病院に入院して出産することは少なくありません。

ニュースやインターネットの記事では、高齢者は原則刑務所に収監されないかのような記載も見受けられますが、おそらく高齢者の犯罪は、価格の低い商品の万引き(窃盗)など、軽微な犯罪が比較的多く、そもそも不起訴処分となるケースや、起訴されたとしても執行猶予になるケースが比較的多いため、それを有罪であっても刑務所に収監されないと誤って認識している可能性があるのではないかと思っています。

このように、実刑判決が出されてしまうと、原則として刑務所へ入らなくてはならないため、起訴されないことや、執行猶予判決を得ることが非常に重要になり、それには早期に弁護士に依頼して、適切かつ迅速な対応が求められますので、ご自身や近しい方が罪を犯してしまった場合には、早めに弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

最後にはなりますが、この度の事故で、お怪我やお亡くなりになってしまった方や、その後親族の皆様には心よりお悔やみ申し上げます。

 

2021.02.16

十分な車間距離を!

私は、事務所に出勤するときや、裁判所へ行く際には車で移動することが多いのですが、運転している際に、前の車がほとんど車間距離を空けずに走っていることが多いように感じます。

もともと学生のころから免許は持っていましたが、弁護士として仕事をするようになってから車の運転をするようになったため、運転歴もそこまで長くなく、運転がうまいというわけではないことに加え、「ひょっとしたら前の車が急ブレーキを踏むかもしれない」と最悪ことを想定してしまう性分のため(「かもしれない」運転といって、運転するときの心構えとしては適切らしいです。)、比較的車間距離を空けて走行しています。

また、そこまでスピードを出して走っているわけではないため、後の車が隣の車線に移って追い越していくということなどしょっちゅうあるのですが、「急いでいるんだな」と感じる程度で、ストレス等感じることはありません。
最近では、はやりの煽り運転や道路上でトラブルを起こす人のニュースを見かけることが多いですが、運転する際には心に余裕を持って運転してもらいたいと思っています。

少し脱線してしまいましたが、本日は、車間距離と停止距離についてお話させていただきます。

停止距離とは、運転者が危険を感じた時点から、ブレーキを踏み、実際に車が停止するまでの距離をいいます。

そして、この停止距離は、空走距離と制動距離の合計をいいます。

空走距離とは、運転者が危険を感じてからブレーキを踏み、実際にブレーキが効き始めるまでの間に車が走る距離の事をいいます。

「危ない!」と感じ、アクセルペダルからブレーキペダルへ踏みかえ、ブレーキを踏んでブレーキが効き始めるまでの間は、その時速のまま自動車が進むことになります。

反射神経や、運転者の体調によってもことなりますが、その時間は、早くても0.6秒、平均で1.5秒かかるといわれています。

1.5秒とだけ聞くととても短いと感じるかもしれませんが、時速40キロの場合、1.5秒の間に約16.7メートル進み、時速60キロの場合には約25.1メートルも車が進むことになります。

次に、制動距離とは、ブレーキが作動してから車が停止するまでの距離をいいます。先ほどの空走距離は、車の時速に比例して増えるのですが、制動距離は速さの2乗に比例して増えていきます。

例えば時速50キロの制動距離は約18メートルですが、倍の時速100キロの場合には、2乗に比例して増えるため、18m×2×2=72メートルにまで増えてしまいます。

上記の空走距離、制動距離の合計が停止距離になり、時速60キロの場合の停止距離は、約44mとなります。

この停止距離の算定は、路面の状態、天候、車のタイヤの状態、重量等様々な条件で変わっては来ますが、停止距離からおおよその時速を算定することやブレーキ痕を根拠に制動距離を導き出し、そこからおおよその時速を算定するなど、交通事故の場面で多く活用することになります。

車間距離を空けずに時速60キロで走行しており、前の車が急ブレーキを踏んだ場合、到底間に合わずにぶつかってしまうでしょう。

そういった事故を減らすためにも、十分な車間距離を空けて安全に運転してもらいたいです。

2021.02.15

説明のむずかしさ

皆様が乗られているお車の任意保険の内容を確認すると「弁護士費用特約」というものが契約内容で入っている方が多いと思います。

これは、もらい事故など、交通事故の被害者となられた際、交渉で必要な弁護士費用を任意保険会社が負担するという特約になります。

この弁護士費用特約の普及もあってか、当事務所でも交通事故の相談は頻繁にいただいています。
弁護士に相談する状況というと、基本的に相手方(加害者側)の任意保険会社との協議が整わないため、ご相談にくるというケースが多いです。

その中で多く問題となるのが、お怪我をしている際の治療費の打ち切りに関する問題や過失割合(事故の態様)に関する問題ですが、それと同じくらい問題になるのが物損事故における「経済的全損」という問題です。

この「経済的全損」という言葉、聞きなれない方の方が多いと思いますが、相談者の方も「相手の保険会社から『経済的全損なので修理費用全額ははらえない』と言われた。こっちは被害者なのにおかしいではないか」とご相談いただくことがあります。

結論として、経済的全損のケースでは、修理費用全額は支払われないという相手方保険会社の対応は間違っていないのですが、納得いかずにご相談に来られる方が一定程度いらっしゃるということは、担当者においてきちんと経済的全損について説明がされていないのではないかなと思っています。

「経済的全損」とは簡単にいうと、修理費用よりも、当該車両の時価が低い状況をいいます。例えば、車をぶつけられ、修理費用に70万円が必要となるが、ぶつけられた車は年式も古く、走行距離も多かったため、事故当時の車の価額は50万円である場合、加害者(の保険会社)から支払われる金額は、70万円ではなく、車の価額である50万円のみとなります。

被害者の方からは、よく、「こちらは事故で車に乗れないため、相手の費用で修理してもらうのが損害賠償ではないのか」と質問されます。

しかし、交通事故での損害の請求は、法律上損害賠償請求といい、損害賠償請求は、文字通り、被った損害を賠償することを請求するものであるため、請求できるのは被った損害の限度となります。
ここで、先ほどの例で、被害者に70万円(修理費)が支払われた場合、車の価額は50万円であるため、事故のまえよりも20万円財産が増えてしまっていることになります。

ここまで説明すれば、多くの方はご理解いただけるのですが、 この経済的全損の問題は、自動車という、修理しなければ運転できないことや、比較的高額であるため、ご理解に時間がかかるのではないかなと個人的に考えており、ご相談者様には、物を代えてご説明しています。

たとえば、書店で中古の本を100円で購入した直後に、他の人がその本を誤って破ってしまったとして、その本を元に戻すためには1万円かかるとした場合破ってしまった人に対しては、いくら請求できますか」と問いかけると、多くの方は、「100円」とご回答いただけると思います。

このような「経済的全損」という問題にかかわらず、法律の世界の用語や理屈には、通常の方ではなじみがない複雑な問題がとても多いです。

そういった複雑な問題を処理するのが代理人となる弁護士の仕事なのですが、ご依頼者の方に対し、理屈や、理由について説明し、納得してから進んでいては、同じ結論になるとしても、「弁護士に依頼して良かった」と思っていただけるか否かに大きな違いがでるのではないかと感じています。
何事ともわかりやすく説明するよう心がけているのですが、全部が全部できているかというとそうでないことも多いため、常日頃、わかりやすい説明することの難しさを痛感しています。

2018.05.26

治療費について④(入院雑費,付添監護費)

<ご相談者様からのご質問>

 先日,交通事故に遭いました。とても激しい事故で,両足を骨折してしまいました。現在に病院に入院しているのですが,どういった費用が賠償してもらえるのでしょうか。

 

<弁護士からの回答>

 交通事故の場合,激しい事故により重篤なケガを負い入院を余儀なくされることがあり。また,入院も長期間にわたる場合も少なくありません。そこで,今回は,入院を余儀なくされた場合に請求することができる費用等についてご説明させていただきます。

 

1 入院費

 事故により相手方保険会社に治療費を請求できるように入院費用についても請求することができます。入院費用についても治療費と同様,任意保険会社において立替払いのサービスを行っているのが通常であるため被害者の場合には,治療費を手出しすることなく,加害者側の保険会社が支払ってくれるのが通常です。

 

2 入院雑費

 入院に伴い,入院生活のために必要な費用の発生を避けることはできません。日用雑貨,衣類,寝具,電話代などの通信費に加え,新聞代,テレビカード等の文化費等,入院生活中に発生する諸費用のことを入院雑費といい,この入院雑費についても損害として加害者に請求することができます。具体的な請求金額としては,発生した雑費すべてを事細かに計算し請求することはとても煩雑です。そこで,現在では,入院をした際に,一定程度費用が発生することは避けられないことであると認められているため,裁判上,入院1日あたり1500円程度の入院雑費を請求することができます。この点,示談になった際,被害者側が弁護士をつけていない場合,保険会社は自社の基準として1100円程度の入院雑費を提示してくることが多いので,弁護士が代理人で入っていた方が入院雑費についても適正な金額が認められることになります。

 

3 入院付添費

 ご相談者様やご親族からは,入院している際に,見舞いに行ったり,付き添っていたことに関する費用については請求することができるのかということをよくご質問いただきます。

 まず,見舞い費用に関しては原則損害として認められてはいません。先程ご説明した入院雑費として家族の見舞いのための交通費が含まれていると考えられているためです。

 もっとも,入院の際に,付添いが必要であると認められる場合には入院付添費として1日あたり6500円程度を請求することができます。

 もっとも,入院時には看護士が看護を行うことが予定されているため,付添い費が認められるためには,医師の指示や受傷の程度などから看護士による看護を越えた付添が認められる必要があります。

 

 このような入院に関する諸費用についても,場合によっては,被害者のみで対応した場合には,加害者側の保険会社に誠実に対応してもらえない可能性がありますので是非弁護士にご相談ください。

2018.05.25

治療費について③(整骨院での施術について)

<ご相談者様からのご相談>

 今日,交通事故に遭いました。首が痛いのでムチウチになっているのではないかと思います。仕事の関係でなかなか病院に行けないので,整骨院に通うと思うのですが,問題ありませんか。

 

<弁護士からの回答>

 交通事故でけがをした場合,整骨院に通われる方は少なくありません。結論からお伝えすると整骨院に通うこと自体には問題ないのですが,その際にはいくつか注意を要する事柄がありますのでご説明させていただきます。

 

1 診断書の作成は医師のみが可能

 まず,交通事故でケガを負った場合には警察に対しケガをおったことの証拠として診断書を提出する必要があります。この診断書をもとに警察において交通事故証明書等を作成することにより,加害者側保険会社も事故により被害者がケガを負ったことを確認することができます。この診断書を作成することができるのは医師のみであり,整骨院にいる柔道整復師には作成することができません。

 したがって,事故にあったにもかかわらず一度も病院に行かず整骨院にのみ通うことはくれぐれもお控えいただいた方がよいでしょう。診断書を作成しないままであると物損事故扱いとなってしまい,治療費の請求が認められなくなってしまう可能性があります。また,診断書を作成したとしても,作成した日が事故日から相当程度経ってからの場合には,事故とケガとの間の因果関係が否定され治療費などの賠償が認められなくなってしまう可能性もありますので,事故に遭ったらできるかぎり早く(2~3日以内)病院へ行き,診断書を作成してもらうようにしてください。

2 その他の注意点

 整骨院での施術は,医師による治療行為とは異なり,あくまでの医療類似行為であるため,すべての場合に整骨院での治療が認められるというわけではありません。

 具体的には,①医師が事前に同意している場合か②当該症状について,整骨院での施術が有効かつ相当であると認められる場合には,整骨院での施術費用についても加害者側保険会社に請求することができます。もっとも,ムチウチの場合には整骨院での施術が有効であると考えられているため,さほど問題になることはありませんが,後々のトラブルを防ぐためにも医師には整骨院に通院したい旨伝え,許可をもらっておいた方が良いでしょう。

 また,事故によりケガが治癒することなく後遺症が残った場合には,それが自賠責の後遺障害に該当しなければ後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することはできません。ムチウチの場合に後遺障害があると認められるためには,病院にてMRIやレントゲン画像を撮影するとともに,定期的に病院へ通院し,病院での治療を行う必要があり,整骨院での施術のみでは後遺障害として認められる可能性が少ない場合が多いです。

 したがって,弁護士としては,可能な限り整形外科などの病院へ通院し,それが困難な場合であっても整骨院のみの通院は避け,定期的に病院へは通うようにsいた方がよいと考えております。

 

2018.05.24

治療費について②(立替払いの打ち切りについて)

<ご相談者様からのご質問>

交通事故に遭い,むち打ちで首が痛く病院で治療を行っていました。先日,ちょうど事故から3か月たった時点で,加害者側の保険会社から「3か月たったので治療費の立替払いを打ち切ります。」と言われました。自分としては,まだ首の痛みが残っているので,通院を継続したいのですが,どうすればいいでしょうか。

 

<弁護士からの回答>

 ご相談者様の事例でもあるように,加害者側の保険会社保険会社からの治療費の立替払いを打ち切られてしまったということが,人身事故に遭われた方からのご相談で多いです。そこで,本日は,加害者側保険会社から治療費の立替払いを打ち切ると言われたときの対応についてご説明させていただきます。

 

1 治療費が認められる範囲

 まず,交通事故のあったとしても,原則として一生病院に通い続けることが認められるわけではありません(事故によりそのような状態になってしまった場合には認められることはありますが,別の機会にご説明させていただきます。)。

 治療を続けていくと,どこかで,症状が完全に治った状態(治癒といいます。)になるか,医師において,これ以上治療しても症状が改善しない状態(症状固定といいます。)のいずれかになります。そして,治癒若しくは症状固定になったあとの治療費については,事故による損害と関係のない費用であるとして法律用語でいうと,事故との間の因果関係(原因と結果の関係をいいます。)がないと判断されることになります。

 したがって,交通事故における治療費が認められるのは,事故日から治癒若しくは症状固定時期までということになります。

 

2 保険会社の打ち切り

 保険会社が治療費の立替払いを打ち切る際,被害者の状態が上記の治癒,若しくは症状固定の状態になっているのであれば,それ以上の治療費を請求できることはできませんが,保険会社は被害者の状態を考慮せず,単に事故から3か月を経過したことを持って立替払いの打ち切りを実施してくることが多いです(ムチウチの場合は3か月,骨折の場合には6か月といったように保険会社において打ち切る基準を決めているところもあります。)。その場合に,まだ治癒や症状固定の状態になっていない場合には,治療の必要性があるため,法律上,打ち切られた後の治療費についても請求することができます。しかし,前回ご説明したとおり,保険会社の治療費の立替えについては,あくまでもサービスであるため今後も立替払いを続けることを強制することはできません。したがって,打ち切るよう告げられた場合の対応としては,①医師よりまだ治療の必要性があることを説明等してもらい,立替払いの期間を延長しれもらうよう働きかけ,それでも断られた場合には②打ち切られた後は自費で治療費を支払い,治癒,若しくは症状固定になった後に,保険会社に対し,支払を求めるという方法が考えられます。

 もっとも,保険会社との話し合いの際,ご本人で対応したとしても保険会社が要望に応じてくれることは少なくありません。そこで,弁護士が代理人として相手方保険会社と交渉することにより,立替払いの期間を延ばすよう説得することができますので,是非弁護士にご相談ください。

2018.05.23

治療費等について①(加害者側保険会社の立替払いについて)

<ご相談者様からのご質問>

 交通事故に遭い,ケガをしてしまいました。通院を予定しているのですが,病院の費用については,まずは自分で支払わなければならないのですか。そうなると,あまり治療費にお金をかけたくないので,あまり病院に行くのは控えようと思っているのですが・・・・

 

<弁護士からの回答>

 交通事故は自動車という高速で移動する乗り物同士や乗り物と人が衝突する事故であるため,非常に重大なケガを負ってしまったり,事故当日はあまり痛みを感じなかったとしても神経等を損傷しており,事故の数日後から痛みが生じたりすることもまれではなく,後々まで残る症状になってしまう可能性があるため,治療に関してはきちんと通院することをお勧めします。もっとも病院で治療する際には治療費が発生しますが,全ての場合に治療費をご自身で負担しなければならないというわけではありません。そこで本日は,交通事故の治療費に関する加害者側保険会社の立替払いについてご説明させていただきます。

 

 まず,交通事故による損害は,不法行為に基づく損害賠償請求として,事故により被った損害を加害者に賠償請求することができます。したがって,原則からいうと,事故により治療費の支払いを余儀なくされたことが損害であるため,被害者であってもいったんは治療費を病院に支払い,支払った治療費を加害者(もしくは加害者側の自賠責保険会社,任意保険会社)へ請求することが必要になります。

 しかし,現在の保険会社の多くが,加害者側になった際,被害者が被った治療費の立替払いするサービスを行っております。各保険会社によって名称は異なりますが,「一括払い」「一括対応」等と呼ばれるサービスで,前回ご説明した,示談代行サービスの中に含まれているサービスです。

 すなわち,被害者の方は,治療費を支払うことなく,加害者側の保険会社が病院に対し治療費などを立て替えて支払うことになります。そして,加害者側が支払った治療費や,被害者に支払った慰謝料等のうち,自賠責の範囲内の金銭については,加害者側保険会社が自賠責保険会社に対し,保険金の請求をします。これにより,被害者は病院に対し直接治療費を支払うことがなくなるため,治療費の負担を気にすることなく,通院することができます。

 ここで注意すべきこととしては,被害者側にも過失が存在する場合には,加害者側に請求できる治療費についても,厳密にいうと,治療費のうち加害者側の過失割合に相当する部分のみですので,治療費のうち被害者側の過失割合に相当する金額については,入通院慰謝料等から差し引かれることになります。

 次回は,加害者側保険会社の立替払いの打ち切りについてご説明させていただきます。

2018.05.22

人身事故における損害について(総論)

<ご相談者様からのご質問>

 昨日,交差点で停止していたところ,後ろから自動車に衝突されてしまいました。相手は,脇見運転をしていたようで,ブレーキをかけずにぶつかってきたので,衝突の衝撃で首や腰を痛め,足首を骨折してしまい,病院で入院をしています。医者の先生からは,事故の衝撃で首の骨や腰の骨が頸椎を圧迫していることや,足首は複雑骨折であるため,後遺症が残るかもしれないと言われました。会社員なのですが,現在入院しており,仕事も休んでいる状況です。また,退院後も後遺症が残ってしまった場合,仕事に影響が出るのではないか,それについてはきちんと賠償してもらえるのか等不安がいっぱいです。

 

<弁護士からの回答>

 これまでは,物損事故についてご説明させていただきましたが,今回からは,自人身事故(人身傷害事故)についてご説明させていただきます。物損事故については,修理費や自動車の時価が損害の中心でしたが,人身事故の場合には,事故により被る損害が物損事故と比較して多岐にわたります。そこで,本日は,人身事故の場合に発生しる損害の種類等について総論的にご説明させていただきます。

 

1 積極損害

 交通事故の損害は大きく分けると積極損害と消極損害に分けることができます。積極損害とは,交通事故(不法行為)に遭ったことにより被害者が支払いや負担を余儀なくされた損害をいいます。

 事故により病院に通院した際の治療費,入院を余儀なくされた場合の入院費等の治療関係費については積極損害として認められることになります(治療関係費については,治療の期間と関連して,加害者側の保険会社がいつまで治療費をふたんしてくれるのかという点が問題になることが多いです。)。また,通院のために要する通院交通費用,入通院に際し,付添看護を要する場合には付添費用,重度の後遺症が残ってしまった場合の介護費用,事故でお亡くなりになってしまった場合の葬儀費用等が,一般的に積極損害として認められます(個々の損害費目についての問題点等については後日ご説明させていただきます。)。

 

2 消極損害

消極損害とは,交通事故に遭わなければ得られたと認められる金銭や利益が,事故に遭ったことより得ることができなくなった損害をいいます。

消極損害は大きく分けると,事故による治療期間中,休業を余儀なくされたことによる「休業損害」と,事故が無ければ得られたであろう利益が事故によりお亡くなりになってしまった場合や,後遺障害が残ってしまった場合に,得ることができなくなったことによる損害である「逸失利益」が認められることになります。

休業損害と逸失利益については,損害を算定とする基礎となる収入をどのように判断するかという点(自営業,専業主婦,求職中の人)が問題になり,後遺障害逸失利益の場合には,残存した後遺症が,どのような後遺障害と認定されるのか(それにより労働能力がどの程度喪失されるのか)という点が問題になります。

 

3 慰謝料  

  最後に,人身事故の場合には,物損事故と異なり,事故による精神的苦痛を被ったとして,慰謝料を請求することができます。具体的には,事故により入通院を余儀なくされたことによる慰謝料,後遺障害が残ってしまったことによる慰謝料,事故によりお亡くなりになってしまったことによる慰謝料が認められることになります。被害者ご自身で相手方保険会社と交渉する際には,この慰謝料の金額が問題になることが多く,弁護士が代理人で入ることにより,損害額が大きく変わることが多いため,慰謝料に関し疑問に思われている被害者の方は是非一度弁護士にご相談いただいたほうがよいでしょう。

2018.05.21

加害者側の保険会社について

<ご相談者様からのご質問>

 先日,交差点で停車中に後ろから追突されました。加害者の方はきちんと謝罪してくださって,今後は,加害者の保険会社が示談も含めて対応するとのことでした。疑問に思ったのですが,なぜ,保険会社が示談の代行のようなことをしているのでしょうか。

<弁護士からの回答>

 交通事故の被害者の方からご相談いただく際に,「加害者の保険会社の対応が不満」であるとご相談いただくことが少なくありません。今回は,保険会社が示談交渉を代行することができる根拠についてご説明させていただきます。

 

 まず,原則として当事者間で紛争が生じた場合には当事者同士で話し合いを行い,当事者で協議って解決することが困難である場合には,第三者が当事者の代理人として相手方と話し合うことで解決の方法を模索することになります。第三者が代理人として活動する際には,弁護士法により規制がなされており,弁護士法72条において,弁護士以外の者が報酬を得る目的で他人の法律義務を業として行うことを禁じており,報酬を得て他人の法律問題について,代理人として活動することができるのは弁護士に限られています。

 加害者側の保険会社が示談代行をすることについては,保険会社は弁護士ではなく,示談代行サービスという保険をつけて保険を販売しており,報酬を得る目的や,業として行われることになるため,弁護士法に違反しているのではないかと疑念が生じ,過去には問題となっていました。

 もっとも,現在では,加害者側の保険会社が示談代行を実施することは弁護士法に違反していないと考えられています。その理由としては,自賠責保険や,任意保険において,被害者の直接払請求権というものが認められており,建前上,交通事故の被害者は加害者が契約している保険会社に対し,直接損害を請求することができるとされたため,保険会社が対応することは,「他人」の法律事務ではなく,自身の法律事務であとされ,弁護士法72条に抵触しないとされたからです。

 このように,保険会社が示談を代行することができる根拠が,被害者の直接払請求権によるものであることから,加害者の一方的な過失(停止しているところに衝突してきた場合等)がある場合には,相手方に損害賠償請求権が発生しないため,被害者側の任意保険会社は示談代行することができず,ご自身で加害者側の保険会社と交渉する必要があります。もっとも,現在の任意保険には,基本的に弁護士費用特約がついており,大きな事故など例外的な場合を除き,費用を負担することなく,弁護士を依頼することができますので,事故に遭われた際には,是非弁護士にご相談ください。

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