弁護士コラム

2019.04.26

【相談事例47】シェアハウスでのトラブル~勝手に部屋に入るのは違法?~

【相談内容】

大学に進学する際、高校の同級生と2人でマンションを借りていわゆるシェアハウスをすることにしました。

お互いの部屋を決めて互いの部屋には絶対に入らないと約束していたのですが、先日、友人が勝手に私の部屋のドアを開けて部屋の中に入っているのを目撃しました。

どうやら探し物があったらしく私が持っていたら借りようとしていたらしいのですが、友人に勝手に部屋の中に入ったことを咎めても全然反省してくれません。

いくら同じところだとしても勝手に部屋の中に入ることは問題ではないのですか?

【弁護士からの回答】

近年、シェアハウスで生活している人が増えたというニュースを耳にしました。
シェアハウスといっても、一軒家にて複数の人が生活するスタイルや、ご相談者様の事例のように、マンションに他人と生活するというようなスタイル(正確にはルームシェアというようです。)などいろいろあるようです。

シェアハウスやルームシェア等は、コストの削減のみならず同居している人との交流も図れる等、メリットもありますが、他人同士がいわゆるひとつ屋根の下で生活する以上トラブルも起こりうると思います。

そこで、今回は他人の部屋に無断に入る行為の問題点についてご説明させていただきます。

1.住居侵入罪

刑法130条では、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」と規定されており、正当な理由がないのに住居や建造物に侵入する行為は住居(建造物)侵入罪となります(130条の後半分は「不退去罪」という犯罪です。)。

今回のご相談内容では、ご友人の行為が住居侵入罪にあたるか否かが問題となります。

2. 他人の部屋は「住居」??

刑法130条でいう「住居」とは、「人が起臥寝食(きがしんしょく)のために日常的に使用する場所」とされています。そして、解釈上、マンションの各個室のように1つの建物中の区画された部屋もそれぞれ独立の住居になると解されています。

したがって、ルームシェアのようにお互いの部屋それ自体も独立の住居として認められ「侵入」したと認められる場合には、住居侵入罪が成立しうることになります。

3. 「侵入」とは??

では、ご相談者様の事例のように無断で他人の部屋に入る行為は、住居侵入罪の「侵入」に該当するのでしょうか。

「侵入」という語感からすると忍び込むような行為をイメージされる方も多いと思われますが、判例などでは、侵入とは、「管理権者の意思に反する立ち入り」であると解しています。

例えば、銀行への入店の際、外観上は一般の利用客と異ならない場合であっても、銀行強盗や窃盗をするために入店する場合には、管理権者(銀行の支店長)の意思に反する立ち入りであるため住居侵入罪が成立します。

ご相談者様の事例のケースでも、お互いの部屋には入らないという取り決めしていた以上、部屋に無断で入る行為は、部屋の管理権者であるご相談者様の意思に反するものとして住居侵入罪が成立する可能性があります。

もっとも、単なる部屋の場合、鍵をかけていない場合等については、立ち入りを許容していることの意思の表れとも思えるので、シャアハウスのように個室ごとに鍵が設置されている場合と比較すると住居侵入罪が成立するか否かはケースバイケースのようにも思えます。

いずれにせよ、同棲とは違い他人と一つ屋根の下で生活し、かつ、それぞれの居住スペースをすみ分けする以上、鍵を設置することやルールをきちんと明確に定める等トラブルにならないよう対策を講じる必要があるでしょう。

 

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2019.04.26

【相談事例46】18歳で飲酒は可能?~未成年と成人②~

【相談内容】

18歳で、自由に契約ができるようになるのですね。
安易に契約して、不利にならないように気を付けなければいけませんね。
18歳で成人になるということはお酒を飲んだりタバコを吸ったりすることも18歳からできるようになるのですか。

【弁護士からの回答】

前回は、民法上の成人と未成年者の違いについてご説明させていただきましたが、今回は他の法律との関係性についてご説明させていただきます。

1.お酒とタバコについて

飲酒(お酒)については、未成年者飲酒禁止法という法律があり、タバコについては、未成年者喫煙禁止法という法律があります。

では、2022年4月1日より開始する民法上の成人年齢の引き下げに伴い、飲酒や喫煙をすることができる年齢も引き下げられるのでしょうか。

結論としては、民法上の成人年齢が引き下げられたとしても、飲酒及び喫煙のいずれも20歳にならないと行うことはできません。

未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法においては、民法改正後であっても20歳未満の人の飲酒、喫煙を禁じることになります。

これは、いずれの法律も20歳未満の人の身体の安全等に配慮したものであるため、民法上の成人年齢の引き下げに伴い、引き下げられるべきではないと考えられているからです。

2. 養育費について

夫婦が離婚する際に未成年のお子さんがいらっしゃる場合には、お子さんの生活費を養育費という形で支払うことについて合意するのが一般的です。

その際、「子が成人に達するまで」というように支払期限を設定していた場合に、2022年4月1日以降より、上記のような規定の場合には養育費の終期については18歳までに引き下げられてしまうのでしょうか。

これについては、法務省において見解が示されており、取り決めの時点では成人年齢が20歳であった場合には成人年齢の引き下げがなされたとしても養育費の終期は20歳のままとすべきとされています。

理由としては、養育費については経済的に未成熟であるお子さんのために支給されるものであって、成人年齢が18歳に引き下げられたからといって当然に18歳のお子さんが経済的に未成熟な状態でなくなるわけではないからとされています。

もっとも、お子さんの経済的な成熟度に関してはケースバイケースであるようにも思えるため、今後成人年齢の引き下げ後に関する養育費の問題については、是非一度弁護士にご相談ください。

 

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2019.04.26

【相談事例45】いつから大人になるの?~未成年と成人①~

【相談内容】

私は今年15歳になります。選挙権が18歳から認められるようになり、自分も18歳になったら投票に行ってみようと思います。

ニュースで見たのですがもう少ししたたら、成人の年齢が18歳に引き下げられるようになると聞きました。
成人になると何が違うのですか?

【弁護士からの回答】

平成28年から公職選挙の選挙権が与えられる年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
平成30年に民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることを内容とする民法の一部を改正する法律が成立しました。

これにより、2022年4月1日の時点で18歳以上20歳未満の人は、その日(2022年4月1日)に成人になることになります。

そこで、まもなく成人年齢が引き下げになることから、今回から、未成年者と成人の違い等についてご説明させていただきます。
今回は、成人になることで未成年と何が異なるのかについてご説明させていただきます。

1. 単独で法律行為を行うことができる

未成年者が、法律行為(契約の締結等)を行う場合には、親の同意が必要であり、親の同意なく行った行為については、民法上取り消すことが可能となっています(未成年者が親の同意なく行った法律行為を行った場合に、取り消すことができるという内容は、成人年齢が引き下げになる前と後で変わりはありません。)

たとえば、携帯電話の契約、ローンの締結、賃貸マンション契約等については、未成年者の場合には親の同意が必要となります。

2022年に成人年齢が18歳に引き下げられることにより、18歳、19歳であっても親の同意なく、上記の契約を締結することができるようになりますが、その反面、これまで認められていた取り消しが認められないため、18歳、19歳の人が悪徳商法に引っかかってしまう場合や、契約に際しトラブルに巻き込まれてしまうケースが多発するのではないかとの懸念が生じています。

2. 親の同意なく婚姻することができる

これまでの民法では、男性は18歳、女性は16歳で結婚することができました。もっとも、未成年者が結婚するためには親の同意が必要となっていました。
したがって、成人に達すると親の同意なく結婚することが可能になります。

なお、成人年齢を引き下げる民法の改正の際、女性の結婚することができる年齢は16歳から18歳に引き上げられることになりました。

これにより、2022年4月1日以降、男女ともに、18歳になれば親の同意なく婚姻できるようになりましたが、逆に18歳になる前は親が同意したとしても婚姻は認められなくなりました。

次回は、成人年齢の引き下げと他の法律との関係についてご説明させていただきます。

 

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2019.04.26

【相談事例44】会社の経費でポイントを貯めることは違法?

【相談内容】

会社を経営しています。従業員のことで相談なのですが、営業で外回りに行く従業員に対しては、車のガソリン代などは会社の経費で支給しています。

ガソリンのレシートを貰って、その金額を後日支給しているのですが、先日、従業員からもらったレシートを見ると、従業員がガソリンを入れる際に、自分のポイントカードを使ってポイントを貯めていたことが分かりました。

ガソリン代については会社が支給しているのにポイントは自分でもらうということは法的にも問題にならないのでしょうか?

【弁護士からの回答】

近年、コンビニやガソリンスタンド等様々な店舗などで購入金額に応じたポイントを付与し、たまったポイントを利用し割引などの特典を得るというサービスが行われています。

ご相談者様の事例では、ガソリンを入れる際のポイントという1回あたりのポイントの金銭的な価値はさほど高くはないものですが、これが長期間にわたり継続していく場合には大きな金額となっていくものであると思います。

また、ポイントと同様に、飛行機を利用した際にたまるマイル等の場合にも大きな金額となるのが通常です。今回は、経費を使用した場合のポイントの帰属に関する問題についてご説明させていただきます。

1. ポイントの所有者(権利者)は誰?

まず、会社の経費として支払った際のポイントが誰のものか(権利者は誰か)という点が問題になります。
ポイントが付与される前提となる代金等の支払が会社から支給されている点に着目すれば会社の物とも解される側面もあります。

もっとも、ポイントについては誰が代金を支払ったかという点は一切問題にしておらず、カードなどを提示した人に対して付与されるものである点からすると、カード等の所有者に帰属するとも考えられます。

このように、経費を使用して支払った代金際のポイントの帰属については、明確に誰に帰属するものであるかについては、決まっているものではありません。

2. 無断で自身のポイントにする行為は違法か?

では、ご相談者様の事例のように、会社に無断で自身のカードにポイントを貯める行為は法的に問題となるでしょうか。

結論からいうと、会社の就業規則等によって、明確にポイントやマイルが会社の所有(会社に帰属)することが規定されていない場合には、従業員が無断で自己のカード等を使いポイントを貯めていたとしても刑事のみならず民事上も法的責任を問うことは難しいでしょう。

上記のとおり、ポイントが誰に帰属するかについては、明確な基準があるわけでもない状況であることに加え、会社としてポイントの帰属に関して何ら明言していない以上、会社としても従業員が購入等をする際のポイントの帰属については、放置(放任)していたと捉えられてもやむを得ない状況とであるといえるでしょう。

したがって、就業規則などでポイントの帰属やルールについて何ら明言していない以上、自身のポイントカードにポイントを貯めた従業員には、業務上横領罪や、背任罪などの犯罪は成立せず、また、自身のポイントカードを使用したことを理由とする懲戒処分もすることは違法になってしまうでしょう。

3. 会社としての対策は??

他方で、就業規則等において、ポイントやマイルについては、会社に帰属するものとすることや、購入時には会社のポイントカードを使用する旨規定されている場合には、会社での経費で支払う際のポイントについては、会社に帰属することが明確に明らかになっているため、規定に反し、従業員が自身のカードを使用した場合には、規定違反を理由として懲戒処分を行うことも可能です。

また、業務上横領罪若しくは背任罪として刑事処罰の対象になる可能性もあります。

会社として、ポイントについては従業員に自由に与えてもよいというスタンスであるのであれば別ですが、会社として、ポイントについても会社の帰属としたい場合には就業規則などにその旨を明確に規定するとともに、従業員に対し、会社のカードを使い、自身のカードを使用しないようはっきりと伝えることが必要になります。

就業規則の作成や変更に際しては、専門的な知識も要する分野ですので、是非一度弁護士にご相談ください。

 

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2019.04.26

【相談事例43】4月1日生まれは早生まれなのはなぜ?

【相談内容】

私の息子は4月2日が誕生日で6歳になりました。
来年から小学校に通うことになるのですが、息子より1日早く4月1日に生まれたお友達は、今年から小学校に通うので、学年が違ってしまい少しかわいそうです。

気になったのですが、どうして4月1日生まれと4月2日生まれで学年が変わってしまうのでしょうか。
どうして3月31日と4月1日というような、ちょうどよいところで区切っていないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

4月に入り、お子さんが小学校に入学される方も多いと思います。
今回は法的なトラブルに関するものでなく、豆知識といった内容にはなりますが、4月1日生まれのお子さんが早生まれになる理由についてご説明させていただきます。

1.小学校へ進学するのはいつから?

学校教育法22条では、保護者は、子どもが「満6才に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから」小学校へ通わせる義務があると規定しています。

そして、学校教育法施行規則では、「小学校の学年は、4月1日に始まり、翌年3月31日に終る。」と規定されております。上記各規程だけを見てもどういったことになるのかについては分かりづらいと思いますが、簡潔にいうと、「満6歳になった日の次の日以降で最初に来る4月1日」に小学校に進学することになります。

この内容だけ素直に読むと、4月1日生まれの子は、4月1日に満6歳になるのだから、その次の日(4月2日)以降で最初に来る4月1日は翌年の4月1日になり、4月1日生まれの子は早生まれにならないのではないかとも思われるのですが、実際はそうではありません。

2.人はいつ年を取るのか?

人がいつ年を取るのかについてですが、それに関して規定している法律があります。

年齢計算ニ関スル法律という明治時代に制定された法律に規定されており、年齢については生まれた時間にかかわらず、生まれた日を1日目として起算するとされています。

また、上記法律で準用されている民法143条2項により、出生日(起算日)に応答する前日をもって満了することになります。

簡単な言葉で言うと、年を取るタイミングは、生まれた日ではなく、「生まれた日の前日の午後(夜)12時」となります。

午後12時は、翌日の午前0時と時刻的には同じですが、すくなくとも年を取る瞬間は、厳密には、誕生日の前日ということになります。

話はそれますが、うるう年の2月29日生まれの人はよく4年に1度しか年を取らないなどと冗談で言うことはありますが、法律上は、誕生日の前日(2月28日)の午後12時に年を取っていることになります。

3.日本で一番多い誕生日は4月2日??

上記の年を取るタイミングを進学するタイミングに当てはめると、4月1日生まれの人が年を取るタイミング、すなわち満6歳になるタイミングは、3月31日の午後12時ということになります。

そして、小学校に進学するタイミングは、満6歳になった日(3月31日)の翌日以降で最初に来る4月1日であり、「以降」とはその日も含まれますので、4月1日生まれの子は早生まれとなり、4月2日生まれの子よりも1年早く小学校に進学することになります。

厚生労働省の統計では、1985年から2015年までの間では4月2日が誕生日である人が日本では1番多いとされています。

これは、本当は3月末や4月1日に出産した人であってもお医者さんなどが気を利かせ、4月2日生まれとする出生証明書等を出して、4月2日生まれとして出生届を出すことが多いからではないかと言われています。

進学については年齢という一律の基準により判断すべきという点は原則ではありますが、個人的には、同じ年齢であってもお子さんの成熟や個性は様々であるため、進学に関しても柔軟に対応することができる仕組みを考えてもよいのではないかなと感じております。

 

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2019.04.26

【相談事例42】子どもの不法行為で親が賠償責任を?

【相談内容】

子どもがこの春から小学校に進学します。
新しい環境で頑張ってほしいと思っているのですが、子どもが他のお子さんをケガさせたり、物を壊してしまったりしたときには親が賠償責任を負わなければならないと聞きました。本当でしょうか。何か対策はないでしょうか。

【弁護士からの回答】

未成年の不法行為と親の賠償責任については、以前迷惑動画の投稿に関するコラムの中でも少し書かせていただきましたが、4月からお子さんが小学校に進学するかたもいらっしゃると思いますので、改めてご説明させていただきます。

お子さんの行為であっても、多額の賠償義務が発生する場合は少なくありませんので注意が必要です。

1. お子さんの行為で多額の賠償責任が発生

小学校に進学するとなると、お子さんの活動範囲も増えることに伴い、お子さんの行為がきっかけでさまざまなトラブルに発生する可能性は否定できません。

例えば、お子さんが自転車に乗るようになり、お子さんの不注意で自転車で歩行者に衝突し、歩行者が転倒し死亡してしまった場合には数千万円という多額の賠償義務が発生することなども珍しくありません。

2. 子どもの不法行為の賠償責任

では、お子さんが起こした不法行為については誰が賠償責任を負うのでしょうか。

民法712条では、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。」と規定しており、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(責任能力といいます。)がない場合には、不法行為責任を負わないとしています。

この責任能力の有無については、具体的なお子さんの状況などを考慮して事例ごとに判断されるものなのですが、おおむね11歳~12歳程度のお子さんであると責任能力がないと判断されるのが一般的です。

そして、責任能力がないと判断された場合の賠償義務については、民法714条1項に規定があり、

「前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」

と規定しており、未成年者を監督する法定の義務を負う者、すなわち通常の家庭であれば、親権者である両親が賠償責任を負うことになります。

714条1項ただし書きには、「監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったとき」には賠償義務を負わないとされており、従前、このただし書きの規定が適用される場面はほとんどなかったのですが、近年事例に即して、ただし書きが適用された最高裁判所の判例も出てきております。

3. 親としてできる対策は?

とはいえ、原則として責任無能力の未成年のお子さんが起こした不法行為については、親権者のご両親が賠償責任を負うことになります。
上記のとおりお子さんの行為であっても多額の賠償義務を負う可能性は少なくありません。

また、お子さんの自転車での事故については、自動車の任意保険の対象とはなりません。
そこで、親としてできる対策として、個人賠償責任保険に加入することをおすすめします。

個人賠償責任保険は、通常の医療保険や生命保険などにセットで特約として入れることができ、わずかな保険料で高額な賠償を補填することができるため、是非、個人賠償責任保険にも加入をご検討ください。

 

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2019.04.25

【相談事例41】警察官のコスプレは違法?~軽犯罪法違反について③~

【相談内容】

軽犯罪法では、列に割り込む行為なんてものも取り締まっているのですね。
そういえば、昨年、ハロウィンの時にコスプレをして街に行ったのですが、その際、警察官の人がいると思ったらよく見るとコスプレをした人でした。

本物の警察官と間違う人も多く、ふざけて取り締まりのような行為もしていたのですが問題ないのですか?

【弁護士からの回答】

これまで2回にかけて軽犯罪法違反の行為についてご説明させていただきましたが、今回も軽犯罪法違反に関する問題です。

近年ハロウィンでの大騒ぎなどがニュースなどで取り上げられ問題となっていますが、警察官のコスプレを行うことも問題点についてご説明させていただきます。

1. 官名詐称(軽犯罪法1条15号)

軽犯罪法1条15号では、「官公職、位階勲等、学位その他法令により定められた称号若しくは外国におけるこれらに準ずるものを詐称し、又は資格がないのにかかわらず、法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作つた物を用いた者」処罰すると規定しています。

簡単にいうと、警察官等であると偽る行為や、警察官の制服やバッジや警察手帳等を偽造したりする行為は軽犯罪法違反になります。

2. 警察官のコスプレは違法か?

軽犯罪法にて、官名詐称が禁じられている理由は、警察官等の制服等について資格を持っていない人が着用し警察官になりすますことにより、警察官等一定の職業や資格に対しうる国民の信頼を損なうことにつながるため処罰対象となっています。

すなわち、警察官を装っている人が横行することにより、一般の人においてこの人が本当に警察官であるのかと疑い、助けを求められない場合や、国民の信頼が損なわれることにより、警察官の職務の遂行を妨げることになってしまうため、法律で行為を制限しています。

したがって、ご相談者様の事例のように精巧なコスプレにより一般の人から見て単なるコスプレとしての範疇を越えて、本物の警察官であると見間違うような場合であれば、軽犯罪法違反ということで処罰の対象にはなってしまいます。

特に、近年では、ハロウィンにより非常に多くの人が集団で集まり時には暴徒のように暴れてしまうことも少なくないときに、警察官と見間違うようなコスプレをしてしまうと、本物の警察官による騒動を抑える仕事も邪魔してしまう可能性が非常に高いため、くれぐれもそういったコスプレは控えた方が良いでしょう。

 

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2019.04.25

【相談事例40】こんな行為が犯罪に?~軽犯罪法違反について②~

【相談内容】

フェイク動画の投稿をしたとしてもそこまで重い犯罪になるわけではないのですね・・・
いろんな人に迷惑をかけているのですからもう少し厳重に処罰してもらいたい気がします。

それ以外に軽犯罪法だと、どのような罪が規定されているのですか?

【弁護士からの回答】

前回は、軽犯罪法についての総論的な説明と、虚偽申告の罪についてご説明させていただきました。
今回は、その他の軽犯罪法に規定されている犯罪についてご説明させていただきます。

前にもご説明しましたが、「こんな行為も犯罪に?」というような内容も規定されています。

1. 刃物等の携帯(1条2号)

「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」を処罰の対象にしています。
こうした凶器を正当な理由なく隠し持っている者は、その凶器を使用し何か別の犯罪を行う可能性があるため、予防法的な観点から処罰されています。

2. 浮浪の罪(1条4号)

「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの」も処罰の対象になります。

要は、働けるにも関わらず、働かずにおり浮浪していると軽犯罪違反になってしまいます。

この犯罪で検挙されることはないのではと思っていたのですが、調べてみると、過去にこの罪で検挙された人自体はいるようです。

3. 行列割込み等の罪(1条13号)

条文は長いため省略しますが、公共の場所において、バスや、電車に乗るための列や切符を購入するための列に乱暴な態様や言動で割り込む行為は軽犯罪法違反になります。
電車でできるだけ座席に座りたいからと、並んでいる列に無理やり割り込む行為は軽犯罪法違反になる可能性があるので注意が必要です。

近年ではスマートフォンの普及により誰でも動画を撮影しネットに投稿することができる時代ですので、今後、割り込んだ人を撮影した人の投稿により検挙されるというケースが出てくるかもしれません。

4. 排せつ等の罪(1条27号)

「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」、すなわち、道に唾を吐く行為や、立ち小便をする行為は軽犯罪法違反になります。

この犯罪も、誰かがスマートフォンで撮影し、投稿する行為により検挙されるケースも増えてくるかもしれません。

5. 追随等の罪(1条28号)

「他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者」も処罰対象になります。

例えば、執拗にナンパ行為や声掛け行為をし続ける行為についてはこの犯罪が成立することになります。
なお、つきまとい行為が恋愛感情に基づくものであり、かつ程度もひどいものである場合には、この犯罪ではなく、ストーカー規制法の規制対象となります。

 

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2019.04.25

【相談事例39】フェイク動画の投稿は犯罪!~軽犯罪法違反について①~

【相談内容】

先日、人を殺害している現場を撮影したかのような迷惑動画を投稿していた人が、軽犯罪法違反により書類送検されたというニュースを目にしました。
迷惑動画を投稿すると、刑事処分を受けるというのは本当だったのですね。

少し気になったのが軽犯罪法違反というのはどういった罪になるのですか?あまり聞きなれない犯罪なので教えてください。

【弁護士からの回答】

先日、ニュースで殺人現場を装ったフェイク動画がアップロードされ、実際に警察が出動するなどしたなど社会的に問題となった事件で、動画をアップロードした人が書類送検されたとニュースを目にしました。

安易な気持ちでの迷惑動画の投稿がなされないために、こうした迷惑動画を投稿するときちんと検挙されるということが周知された点ではとても有意義であると感じています。

今回の迷惑動画の投稿では、軽犯罪法違反という罪で書類送検されていますが、軽犯罪法という犯罪については、あまり耳にされたことがない方も多いと思いますので、今回は軽犯罪法についてご説明させていただきます。

1. 軽犯罪法とは

軽犯罪法とは、日常生活の中で発生しうる比較的軽微な罪を規定した法律であり、1条の1号から34号までに列挙された罪(21号が削除されているため、33個あります)に違反した場合、拘留または科料に処すると規定されている犯罪です。

拘留とは30日未満の日数拘置所に収容される刑罰であり、科料とは1,000円以上1万円未満の金銭の支払いが求められる刑事罰であり、比較的軽微な犯罪について規定された犯罪であることが分かると思います。

この軽犯罪法ですが、制定されたのが昭和23年と非常に古い罪であるため、規定されている罪の中身として「こんな行為も対象になるのか」と驚くような内容も含まれています。

今回は、上記相談事例に該当する犯罪行為のみご説明しますが、次回以降、通常耳にしない珍しい犯罪行為の種類についてご説明させていただきます。

2. 虚偽申告の罪(16号)

軽犯罪法では「虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者」を処罰する旨規定しています。
今回書類送検された事件では、公務員(警察官)に対して直接犯罪の申告を行ったわけではありません。

しかし、報道等をみると、殺人フェイク動画を投稿した人は、動画を投稿した際広く他の人に拡散するよう求めていたとのことであり、公務員を含めて広く多数の人に虚偽の犯罪を申告したと認定しているのだと思います。

3. フェイク動画を抑止するには・・・

上記のように、虚偽の犯罪事実を投稿した場合には、単なる軽犯罪法違反という非常に軽微な犯罪しか成立しない状況であり、その行為による社会的影響の大きさや迷惑の程度に比してあまりにも罪が軽すぎるのではないかと考えています。

刑法や軽犯罪法は制定されたのが非常に古く、インターネットを介した迷惑動画やフェイク動画等の投稿などの犯罪行為を想定した法律が制定されていないのが現状です。

迷惑動画やフェイク動画の投稿により被る社会的影響や被害は多大なものであることから、厳重な罰則を設けた法律を制定することにより、迷惑動画を防止する必要があると考えています。

 

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2019.04.25

【相談事例38】合意をすればすべて有効?~契約(法律行為)の有効性について~

【相談内容】

平成32年という合意であっても無効になることは少ないようですね。
先日、妻の不貞相手との間で、慰謝料の和解をして、慰謝料として5,000万円支払うと相手も言っていたため、その旨の和解契約書を作成しました。
相手は学生で、到底払えきれないとは思うのですが、一度当事者で合意をした以上、問題ないですよね?

【弁護士からの回答】

前回は、契約(法律行為)の客観的有効性の要件のうち、内容の確定性についてご説明させていただきました。

今回は、内容の確定性以外の客観的有効性の要件についてご説明させていただきます。

1. 内容の「実現可能性」について

前回ご説明したとおり、契約が成立すると、契約の当事者には、契約内容にしたがった権利(債権)と義務(債務)が発生することになり、義務を履行することができない場合には、損害賠償をしなければならないリスクを背負うことになります。

したがって、契約の内容が実現することが不可能な契約の場合には、当事者間で合意をしたとしても、契約は無効となります。

例としては、既に消失してしまっている物の売買や、「3時間以内に月に行って帰ってくる」といったような、社会通念上実現不可能な契約(そもそもこんな契約を行うこと自体考えられませんが、分かりやすい例としてご説明しています。)についても無効となります。

2. 内容の「適法性」について

法律の中には、契約の当事者を保護するために、その規定に反する合意を行ったとしてもその合意が無効になる効力を有する規定があり、これを「強行規定」といいます。

強行規定の例としては、民法146条で「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。」と規定されており、時効の利益(消滅時効や取得時効により生ずる利益(債務の消滅や、物の所有権の取得など)をいいます。)については時効期間が満了する前に契約書等で時効の主張を行わないと定めていても、上記強行規定に反し無効ということになります。

3. 内容の「社会的妥当性」について

当事者がいかに合意していたとしても、公の秩序や善良な風俗(社会における一般的な倫理)に反し、社会的な妥当性を欠く法律行為(契約)については、公序良俗違反として民法90条によりとなるとされています。

例えば、「人を殺したら200万円支払う」といったような犯罪行為に関する契約や、愛人、妾の契約については、家族若しくは性道徳に反する契約として無効になります。

また、不当に高額な利息を付した契約や、莫大な賠償金などを設定するようないわゆる暴利行為に関しても、公序良俗違反として無効になるとされています。

ご相談者様の事例でも、不貞行為の慰謝料の金額がどの程度の金額になるかについては、不貞行為の内容や、不貞を行った人の経済能力などが考慮の対象となります。しかしながら、5000万円というあまりにも高額な金額について、学生が支払うことができ金額ではないことは誰がみても明らかであるため、示談書を作成していたとしても公序良俗に反し無効とされてしまう可能性が非常に高いでしょう。

ご相談者さまの事例については、あまりに極端な事例ですが、上記のような契約の有効性については意識しておかなければ、要件を満たしていない契約書を作成してしまう可能性は少なくないと思いますので、契約書等の合意書面を作成する際には、是非一度弁護士にご相談いただくことをおすすめいたします。

 

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