弁護士コラム

2019.05.13

【相談事例55】「お子様お断り」のお店は違法?

【相談内容】

子どもと用事があり外出し、お昼になったためどこか食べるところを探しており、おいしそうなレストランを見つけたため、入ろうとしたところ、入り口に「小さいお子さんのご入店はお断りさせていただきます」という張り紙が貼ってあり、入ることができませんでした。

子どもの入店を断るなんて、違法ではないですか。

【弁護士からの回答】

小さいお子さんがいらっしゃる場合、周囲の人に配慮したりなど入ることができるお店も限られて、お店を探すことも大変な場合もあり、ご相談者様のようにお子さんの入店を断られてしまう方も少なくないと思います。
今回は、店側による入店拒否の行いの適法性についてご説明させていただきます。

1 契約自由の原則

日本の民法においては、私的自治の原則という制度が採用されています。私的自治の原則とは、私人間の法律関係(権利、義務の発生)については、基本的に国家が干渉すべきではなく、私人の自由な意思によって決定すべきであるという原則です。

その私的自治の原則の1つとして、契約自由の原則というものがあります。それは、契約をするかしないか、誰と契約の相手方とするか、どのような内容の契約を締結するか等契約に関する事項については当事者の自由に任せるべきであるという原則です。

この契約自由の原則については、法律で特別の定めがない限りあらゆる契約に認められる原則です。契約自由の原則の例外、すなわち、定の場合に当事者が制限される法律として、労働者を保護するために制定された労働基準法、取引の公正を確保するための、独占基準法などがあります。

2 飲食店での契約について

飲食店での契約関係についてみると、飲食店では、お客が代金を支払い、店側が料理を提供するという契約関係になります。そして、飲食店に関しては基本的に相手方等を限定されるような法律は基本的にありません。
考えられるものとしては、各都道府県において制定されている暴力団排除条例によって、暴力団に対して飲食を提供することは禁じられているぐらいでしょう。

したがって、飲食店においては、誰に料理を提供するのかという点や、誰の入店を許可するのかという点について、店側が自由に決定することができます。
よく、高級レストランで設定されているドレスコードについても、店側において入店することができる客の服装を自由に決定することができるという点で、契約自由の原則が採用されています。
このように飲食店での法律関係においても店側において「小さいお子様の入店はお断りします。」として、小さいお子さんの入店を拒否することができます。

小さいお子さんを抱えた方からしてみると、自分たちだけ差別されているような気持になってしまうかもしれませんが、自由な入店を認められなければならないということになると、店側に入店を強要させてしまうことになり、契約自由原則に反してしまうことになります。

もっとも、喫茶店やレストランにおいても、逆に小さいお子さんに配慮が行き届いたお店も多く存在していると思いますので、そういったお店を探されるのがよいのではないかと思います。

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.05.10

【相談事例54】「殺す!」といったら殺意あり?~故意について③

【相談内容】

殺意の認定というのは非常に難しいのですね。よくドラマなどで「ぶっ殺してやる!」などと言って殴ったりする場面があると思うのですが、その場合には殺してやると言っているので、殺意があることは間違いないですよね?

【弁護士からの回答】

前回に引き続き、今回も殺意の認定の判断要素についてご説明させていただきます。

前回ご説明した考慮要素は、殺意の認定において重要な考慮要素でしたが、今回の考慮要素は、一般の方からすると重要と思われがちですが、裁判上での重要度は前回の内容よりも下がる傾向になります。

1 動機(犯行前の事情)について

通常、人を殺害しようと考えている人は、快楽殺人鬼などの場合を除いて、対象となる人に対して、相当程度の恨みを有している場合や、殺さなければならないような事情を有しているのが通常です。

したがって、喧嘩の際の突発的に殺意が生じた場合を除いて、被害者の方に対して何らかの動機を有している場合には、殺意が認定される方向に働くことになります。
もっとも、単に嫌っていたという程度の動機では足りず、殺意を抱いてもやむを得ないと認められる相当程度強い動機である必要があります。

2 犯行後の事情について

例えば、犯行後に犯人が自ら119番通報した場合や救助行為を行った場合には、死の結果を企図していなかった可能性が高く、殺意を否定する方向に働きうる事情になります。
逆に、何ら救助行為を行わず被害者を放置した場合には、死の結果を容認していたと認定される方向になり得ます。

もっとも、救助行為を行った場合であっても、「行為」時には殺意があり、思い直したという可能性も否定できませんし、放置した場合であっても、致命傷には程遠い傷害結果であるのにも関わらず追撃しなかった場合には、逆に殺意を否定する方向にも働きうるため、行為後の事情の評価は非常に相対的であるため、考慮要素としての重要性は若干下がるといえるでしょう。

3 その他(行為の言動について)

では、ご相談者様のご質問にあるように、犯行時に、犯人が「殺してやる」などと発言している事情はどうでしょうか。
確かに殺意があることをうかがわせるような発言を行っていること自体は、殺意を認定する方向に働きうる事情ですが、そのような発言を常日頃から行っている人もおり、そのような乱暴な言葉を使っている人に限って本当に殺してやるとまでは思っていないケースもよくあります。
したがって、発言を行ったことのみをとらえるのではなく、犯人の性格や従前の言動についても考慮する必要があります。

4 最後に

前回から殺意の認定についてご説明させていただきましたが、殺意があるか否かという問題は、成立する犯罪や量刑が非常に異なる非常に重大な争点であるにも関わらず、判断が非常に難しい問題でもあります。

裁判員裁判ではそのような非常に重大かつ難しい争点について一般の人が判断せざるを得ないため、選ばれた裁判員の方のフォローも必要になってくるのではないかと思います。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.05.09

【相談事例53】殺意の有無はどうやって判断するか?~故意とは②~

【相談内容】

その行為が犯罪になると知らなくても故意が認められるのですね。
でも、故意があるかないかという問題は、その人の内心の問題であって、他の人や外からではわからないと思うのですが・・・

殺意が争われている事件などではどうやって殺意があるかないかを判断するのでしょうか。

【弁護士からの回答】

前回は、故意の定義などについてご説明させていただきましたが、今回は、故意の有無についてどのように判断するのかについてご説明させていただきます。
故意について問題となるケースのほとんどが、殺人罪における殺意の有無が争点となるケースです。

殺意があり殺人罪が成立するか、殺意はなく傷害致死罪が成立するにとどまるかという非常に重要な問題であり、裁判員裁判対象事件として皆さんも判断しなければならない機会が来るかもしれませんので、今回、ご説明させていただきます。

1 故意=内心の問題

犯人が行為を行う際に「殺すつもりでやった」のか否かという問題は、内心の問題であり、少なくとも現代においては、内心を直接知りうる手段としては、犯人本人に確認するしか方法がありません。
しかし、本人の当時の記憶に基づいて殺意の有無を確認するとなると、本当は殺すつもりでやったにも関わらず「殺すつもりはなかった」と発言すれば、みんな傷害致死罪が成立するということになってしまいます。

したがって、殺意の有無にとどまらず、故意の有無の判断においては、その客観的に存在する証拠(状況証拠)をもとに、その行為の時点で故意があったのか否かを判断することになります。
以下では、殺人罪においてどのような状況証拠をもとに殺意の有無を判断するかについてご説明させていただきます。

2 創傷の部位、程度

犯人が被害者に対し行った行為により、被害者にどのような創傷(傷、ケガ)が発生し、死に至ったのかという点については、殺意を認定する際に、非常に重要な考慮要素になります。
具体的には、身体の四肢(手足)以外の部分(腹部や頭部などの「枢要部」)に対し、重大な創傷をつけたという事実が認められた場合には、殺害する意図があったと認定される方向に働きます。

また、腹部に複数回ナイフで刺した傷がある場合には、相当程度強い殺意があったという認定がされるのが一般的です。
もっとも、いくら枢要部に創傷があったとしても、犯人が枢要部に損害を加えることを認識している必要があり、例えば抑え込まれて咄嗟に手を前に出したところ腹部に包丁が刺さったというような場合には、枢要部であることを認識していなかったとして殺意が否定される場合もあります。

3 凶器の種類・用法

刃物の場合、形状や刃の長さ、鈍器の場合には形状や重さなど、犯人がどのような凶器を有していたか、そしてその凶器をどのように使用したかという点についても殺意の有無の判断には非常に重要に重要な考慮要素になります。

たとえばナイフを手にもって刺した場合とナイフを投げて刺さった場合では前者の方が殺意を認定する方向に働きうる状況です。また、自動車をつかって衝突する場合や、自動車につかまっている人を振り落とそうとする行為などの場合には、自動車の速度や運転の内容等から殺意の有無を判断することになります。

次回以降も殺意の有無の考慮要素についてご説明させていただきます。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.05.08

【相談事例52】故意がないとどうなるか?~故意とは①~

【相談内容】

ニュースなどを見ていると、殺人罪の容疑で逮捕された被疑者の人が、「殺意を否認しています。」などと報道されているのを見かけます。

殺意を否認するとどうなるのですか?殺意とか故意とかニュースで聞くのですが、故意とはどういった場合に認められるのでしょうか。

【弁護士からの回答】

一般の言葉でも「故意」という言葉は使われると思いますが、刑事事件において、故意が認められるのと認められないのでは、成立する犯罪が変わることや、無罪になるなど大きな意味を持ちます。
そこで、今回から複数回にかけて刑事事件における故意についてご説明させていただきます。

1 故意犯処罰の原則

辞書などでは、「故意」とは「わざとすること」などと規定されています。つまり、知りながらあえてすることを一般に故意ということになります。
日本の刑法では、原則として、故意がある場合のみ犯罪として成立するという「故意犯処罰の原則」を採用しており、故意がなくても犯罪が成立する場合、すなわち、過失犯については特別に規定がある場合にのみ犯罪が成立するとされています(刑法38条1項では「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。」と規定し、故意犯処罰の原則を規定しています。)。

2 故意の有無でなにが変わるか

上記のように、刑法では故意犯処罰の原則を採用しています。したがって、同じ行為をしたとしても故意が認められなければ犯罪が成立しない、もしくは成立する犯罪が異なることになります。

たとえば、人を殴った結果、その人が死亡してしまったという事件において、人を殺す故意(殺意)がある場合には殺人罪が成立しますが、殺意がなかった場合には殺人罪は成立せず、傷害致死罪が成立するにとどまります。

また、結果的に他人の物を自分のものとして持ち帰ってしまったとしても、他人の物と知りながら持ち帰れば窃盗罪が成立しますが、自分の物であると誤信して持ち帰った場合には、窃盗の故意がないとして犯罪は成立しないことになります。

3 故意

このように、故意とは、犯罪の成立に関し大きな意味を有するものではありますが、では、刑法上の故意とは何を意味するのでしょうか。
刑法上の故意(「罪を犯す意思」)とは、「特定の犯罪構成要件に該当する具体的事実の認識、認容」をいうとされています。

簡単にいうと、刑法に規定されている犯罪が成立する要件に該当する事実を認識しかつ認容することで故意が認められることになります。この「認容」ですが、積極的に求める場合(例えば「その人を殺したい」と思って行動する場合)のみならず、その結果が生じてしまっても構わないという程度の認識(先ほどの例では「その人を殺してしまうかもしれないが構わない」と思って行動する場合)でも足りるとされています。

よく、「この行為が犯罪になるなんて知らなかった」などという言い訳をされるかたもいるかもしれませんが、刑法上では、その行為が犯罪に該当すると知らなくても、その犯罪に規定されている要件に該当する事実を認識していれば故意が認められることになるため、かかる言い訳は通用しないことになります。

次回では、殺意を中心にどのように故意があるか否かを判断していくかについてご説明させていただきます。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.05.07

【相談事例51】大麻の使用は犯罪ではない??

【相談内容】

近年、芸能人の薬物使用などが問題となっており、残念に思います。

ふと気になったのですが、同じ薬物犯罪でも覚せい剤を使用した人は使用の罪で逮捕されているのですが、大麻を使用した人は使用ではなく大麻を所持していたことで逮捕されていることに気づきました。

大麻を使用したことが明らかであるのであれば、大麻の使用の罪で逮捕すればいいと思うのですが・・・。

【弁護士からの回答】

芸能人に限らず薬物犯罪は後を絶ちません。薬物は一度手を付けてしまうと依存度が強く簡単にやめることはできないため、絶対に手をつけてはいけません。
今回は、大麻取締法に関して、大麻の使用に関しての規律についてご説明させていただきます。

1 覚せい剤取締法

大麻についてご説明させていただく前に、覚せい剤に関する規定についてご説明させていただきます。

覚せい剤に関しては、覚せい剤取締法が存在し、覚せい剤の輸入、所持・譲渡・譲り受け、使用等が処罰の対象となっており、営利目的で輸入・所持などを行った場合には、罪が加重されています。

2 大麻取締法

大麻に関しては、大麻取締法により規制がされています。大麻取締法では、大麻取扱者(適法に栽培している人や大麻の研究者などをいいます。)でなければ大麻の所持、譲り受け、譲り渡しについては、覚せい剤取締法と同様に罰則を定めています。

しかし、大麻取締法では、覚せい剤取締法において規制されている使用に関する規定が存在していません。つまり、大麻に関しては所持に関しては犯罪になるものの、大麻を使用したことに関しては犯罪にならないのです。
もっとも、大麻を使用したことが認められれば、少なくとも所持していたか、譲り受けたことは間違いないため、大麻を使用しただけなので無罪ですという主張は通用しないでしょう。

覚せい剤と同様、大麻も違法薬物であり、使用することがもっとも禁じられるようにも思えるのですが、なぜ、大麻の使用が処罰されていないのでしょうか。

3 大麻とは

大麻取締法1条では

「この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」

と規定されています。すなわち、大麻草の成熟した茎の部分や種子の部分は所持していたとしても、大麻取締法の「大麻」には含まれないため、罪にはならないことになります。

大麻草に関しては、大麻草全体に中毒性のある有害物質が存在するというわけではなく、大麻草の花や葉の部分に有害物質が多く含まれているのですが、茎の部分や種子の部分にはほとんど有害物質が含まれていないのです。

そして、日本では、茎委の部分は麻織物や麻縄として昔から伝統的に使用されています。さらに、種子については、七味唐辛子の中の1つである麻の実であり、語弊を恐れずにお伝えすると、七味唐辛子を食事の際に使用している方は、大麻草の一部を服用していることになります。

このように、大麻草の一部については、日本で伝統的に使用されているものであるため、茎の部分及び種子の部分は所持をしていたとしても、処罰されないことになります。

4 使用は処罰できない?

このように、茎の部分や種子の部分については、所持をしていたとしても、罪にはなりません。そして、厄介なのが、この茎の部分や種子の部分には有害物質が全く含まれていないわけではなく、微量に含まれている場合があるそうです。
そして、所持することが違法でない茎の部分や種子の部分を使用したとしても当然罪にはならないため、使用も処罰はできません。

したがって、体内から大麻の成分が検出されたとしても、それが違法な花や草の部分を使用したものであるのか、茎や種子を使用したものであるのかについて区別がつかないため、大麻の使用については犯罪として立件することが困難になります。

このように、大麻の使用について処罰の対象になっていないのは、日本特有の理由がありますが、最初にも伝えた通り、一度違法薬物に手を染めてしまうと、抜け出すことは非常に困難になってしまいます。
したがって安易な気持ちで薬物に手を出すことは絶対にやめてほしいと思います。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.04.26

【相談事例50】破れたお札は交換してもらえる?~紙幣の引き換えについて~

【相談内容】

先日、自宅の掃除をしていると、何十年の前に隠したのであろう母のへそくりが見つかりました。

母も亡くなっており、へそくりを見て懐かしい気持ちになったのですが、へそくりとしてのお金は封筒などに入っていなかったためボロボロの状態で、中には破れて半分しか残っていないお札もありました。

そのようなボロボロの紙幣は処分するしかないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

前回、貨幣の通用限度等についてご説明させていただいた際、紙幣の引き換えの制度について簡単にふれさせていただきましたが、今回は具体的な引き換えの基準などについてご説明させていただきます。
ご相談者様のように紙幣が半分程度しか残っていない場合であっても、引き換えできる場合が多いのであきらめる必要はありません。

1. 紙幣の引き換えについて

まず、紙幣がボロボロの状態になったからといって価値がゼロになるわけではありません。

日本銀行法48条では、「日本銀行は、財務省令で定めるところにより、汚染、損傷その他の理由により使用することが困難となった日本銀行券を、手数料を徴収することなく、引き換えなければならない。」と規定しており、紙幣については無償で引き換えを行うことができると規定されています。

具体的には、日本銀行や、お近くの銀行により破損などした紙幣を持参すれば引き換えてもらうことができます。
そして、上記法律をうけた日本銀行法施行規則8条1項により、
表裏の両面が具備されていることを前提として

① 券面の三分の二以上が残存するものについては額面価格の全額
② 券面の五分の二以上が残存するものについては額面価格の半額

といった基準で引き換えがなされることになります。すなわち、紙幣の5分の2未満しか残っていない場合を除けば、金額が半額にはなってしまいますが、引き換えてもらうことができます。

なお、破れて2つに分かれてしまった紙幣の引き換えについても規定があり、上記施行規則8条2項では、「日本銀行券の紙片が二以上ある場合において、当該各紙片が同一の日本銀行券の紙片であると認められるときは、当該各紙片の面積を合計した面積をその券面の残存面積として、前項の規定を適用する。」と規定されており、破れた各紙片の合計面積が5分の2以上であれば半額、3分の2以上であれば全額引き換えることができます。

2. 紙幣を受け取る側の注意点

このように、破損している紙幣であっても、新しい紙幣と引き換えが可能ではあるため、多少の破損であれば後に引き換えが可能な場合であることが通常であるため、お店などでも多少であれば、通常の状態でない紙幣も支払いの際に受け取っても差し支えないでしょう。

もっとも、ボロボロの紙幣の場合、お釣りなどで使用するには適さず、銀行などで引き換えをする手間も生じます。
また、破損の具合によっては、減額されて引き換えがなされる場合もあるため、あまりにも破損している紙幣の場合受け取りを拒否するなどの対応も必要です。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.04.26

【相談事例49】大量の小銭での代金の支払いは認められる?

【相談内容】

先日、コンビニでの料金の支払いに大量の1円玉を出して支払いを行おうとしてレジの人を困らせるような動画が投稿されているのを見ました。

こういった動画も迷惑動画の類だと思うのですが、大量の小銭により支払いを求めた場合、代金額を支払っている以上、店側は大量の小銭を受け取らなくてはならないのでしょうか。

【弁護士からの回答】

最近ニュースを見ていると、次から次へと迷惑動画に関する問題が取り上げられているのを見ると、なぜこのような迷惑な行為がやむことがないのかと疑問に思ってしまいます。

ご相談者様のおっしゃられるように、今回の動画(「1円玉会計」などと呼ぶそうです。)についても迷惑動画といえるでしょう。
このような大量の小銭を用いた支払いについて店側は支払いを拒否することができるのかについてご説明させていただきます。

1. 日本における通貨について

日本における通貨(貨幣)に関し規定した法律として、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律というものがあり、日本における通貨の単位を円とすること(2条1項)、通貨とは、貨幣及び日本銀行券(紙幣のことです)であること(2条3項)などが規定されています。

なお、余談になりますが摩耗などにより流通に不適当となった貨幣や、汚染、損傷その他の理由により使用することが困難となった紙幣については、上記法律や日本銀行法により、無償で交換することができるとされています。

2. 貨幣の通用限度

では、代金の支払いに関しては、貨幣(小銭)をいくら使用してもよいのでしょうか。
民法402条1項では、

「債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。」

と規定されており、「1万円札で支払う」などと特定されていない場合には、債務者(代金を支払う人)は各種の通貨(1万円札、千円札などの紙幣や貨幣)を債務者の選択に支払い支払うことができます。

もっとも、さきほどご説明した、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の7条では、「貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する。」と規定しています。

つまり、同一の貨幣は20枚までは通貨として通用するが21枚以上になると通貨として通用しないことになります。

したがって、通貨として通用しない以上店側は、同一の効果を21枚以上提出してきた場合には、その効果での支払いを拒否することができるようになります。ちなみに、紙幣の場合には、通用限度はなく、どれだけ高額な金額であっても紙幣で支払う場合には枚数制限はありません。

貨幣のみ通用限度が設定されている理由としては、貨幣はそもそも代金の支払いなど決済を簡易にするために用いられるものであるところ、迷惑動画にあるように大量の貨幣での支払いを認めてしまうと、簡易な決済を阻害することになりかねないため、通用限度を設定しています。

したがって、迷惑動画のような嫌がらせのように大量の小銭で支払いをしようとしている場合には、店側としては毅然とした態度で貨幣での支払いを拒否することで差し支えありません。

もっとも、小さいお子さんが少しずつもらった小銭をためて代金を支払にくるというようなほほえましい場面には、店側として21枚以上の同一通貨を受け取ること自体は問題ないため、柔軟に対応してあげるのがよいのではないかと思います。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.04.26

【相談事例48】ゴールデンウイークが10連休になる理由は?

【相談内容】

2019年のゴールデンウイークは10連休となっています。
今まで10連休ということがなかなかなかったので、どうやって休みを過ごそうか悩んでいます。
ふと気になったのですが、いつものゴールデンウイークと違いどうして2019年は10連休になるのでしょうか。

【弁護士からの回答】

2019年のゴールデンウイークは10連休となっています。

通常のゴールデンウイークは3連休と4連休の組み合わせですが、2019年に関しては天皇陛下の生前退位の関係もあり10連休となるのですが、10連休となることについても、しっかり法律により規定されています。

今回も豆知識的な内容となっておりますが、10連休となる仕組みついてご説明させていただきます。

1. 新天皇即位に伴う祝日の制定

平成30年12月8日、皇太子さまが新しい天皇に即位される日である2019年5月1日と、新天皇に即位されたことを公に示す「即位礼正殿の儀」が行われる2019年10月22日の両日を祝日とする法律が成立しました(なお、両日が祝日となるのは2019年のみであり、翌年以降は祝日にはなりません。)。
このように、2019年5月1日が祝日になることにより。10連休になることになります。

2. 国民の祝日に関する法律

日本には、祝日に関する事項を規定した、国民の祝日に関する法律があります。
具体的には、第2条により各祝日の日付と祝日の意味が規定されています。
例えば、昭和の日(4月29日)は、「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。」と規定されています。

そして、第3条3項において、「その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。」と規定されており、簡単にいうと、国民の祝日に挟まれた平日は、休日になります。

上記規定により、4月29日の昭和の日と5月1日の天皇の即位の日という祝日に挟まれた4月30日は休日となります。また5月1日と5月3日の憲法記念日という祝日に挟まれた5月2日も同じく休日になります。

このように2019年は、4月30日と5月2日が休日になったことで、4月27日から5月6日までの期間が10連休となることになります。
なお、2019年5月5日の子ども日は祝日かつ日曜日であるところ、国民の祝日に関する法律3条2項では、「「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。」と定めており、翌日である5月6日も休日(いわゆる振替休日)となります。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.04.26

【相談事例47】シェアハウスでのトラブル~勝手に部屋に入るのは違法?~

【相談内容】

大学に進学する際、高校の同級生と2人でマンションを借りていわゆるシェアハウスをすることにしました。

お互いの部屋を決めて互いの部屋には絶対に入らないと約束していたのですが、先日、友人が勝手に私の部屋のドアを開けて部屋の中に入っているのを目撃しました。

どうやら探し物があったらしく私が持っていたら借りようとしていたらしいのですが、友人に勝手に部屋の中に入ったことを咎めても全然反省してくれません。

いくら同じところだとしても勝手に部屋の中に入ることは問題ではないのですか?

【弁護士からの回答】

近年、シェアハウスで生活している人が増えたというニュースを耳にしました。
シェアハウスといっても、一軒家にて複数の人が生活するスタイルや、ご相談者様の事例のように、マンションに他人と生活するというようなスタイル(正確にはルームシェアというようです。)などいろいろあるようです。

シェアハウスやルームシェア等は、コストの削減のみならず同居している人との交流も図れる等、メリットもありますが、他人同士がいわゆるひとつ屋根の下で生活する以上トラブルも起こりうると思います。

そこで、今回は他人の部屋に無断に入る行為の問題点についてご説明させていただきます。

1.住居侵入罪

刑法130条では、「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」と規定されており、正当な理由がないのに住居や建造物に侵入する行為は住居(建造物)侵入罪となります(130条の後半分は「不退去罪」という犯罪です。)。

今回のご相談内容では、ご友人の行為が住居侵入罪にあたるか否かが問題となります。

2. 他人の部屋は「住居」??

刑法130条でいう「住居」とは、「人が起臥寝食(きがしんしょく)のために日常的に使用する場所」とされています。そして、解釈上、マンションの各個室のように1つの建物中の区画された部屋もそれぞれ独立の住居になると解されています。

したがって、ルームシェアのようにお互いの部屋それ自体も独立の住居として認められ「侵入」したと認められる場合には、住居侵入罪が成立しうることになります。

3. 「侵入」とは??

では、ご相談者様の事例のように無断で他人の部屋に入る行為は、住居侵入罪の「侵入」に該当するのでしょうか。

「侵入」という語感からすると忍び込むような行為をイメージされる方も多いと思われますが、判例などでは、侵入とは、「管理権者の意思に反する立ち入り」であると解しています。

例えば、銀行への入店の際、外観上は一般の利用客と異ならない場合であっても、銀行強盗や窃盗をするために入店する場合には、管理権者(銀行の支店長)の意思に反する立ち入りであるため住居侵入罪が成立します。

ご相談者様の事例のケースでも、お互いの部屋には入らないという取り決めしていた以上、部屋に無断で入る行為は、部屋の管理権者であるご相談者様の意思に反するものとして住居侵入罪が成立する可能性があります。

もっとも、単なる部屋の場合、鍵をかけていない場合等については、立ち入りを許容していることの意思の表れとも思えるので、シャアハウスのように個室ごとに鍵が設置されている場合と比較すると住居侵入罪が成立するか否かはケースバイケースのようにも思えます。

いずれにせよ、同棲とは違い他人と一つ屋根の下で生活し、かつ、それぞれの居住スペースをすみ分けする以上、鍵を設置することやルールをきちんと明確に定める等トラブルにならないよう対策を講じる必要があるでしょう。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

2019.04.26

【相談事例46】18歳で飲酒は可能?~未成年と成人②~

【相談内容】

18歳で、自由に契約ができるようになるのですね。
安易に契約して、不利にならないように気を付けなければいけませんね。
18歳で成人になるということはお酒を飲んだりタバコを吸ったりすることも18歳からできるようになるのですか。

【弁護士からの回答】

前回は、民法上の成人と未成年者の違いについてご説明させていただきましたが、今回は他の法律との関係性についてご説明させていただきます。

1.お酒とタバコについて

飲酒(お酒)については、未成年者飲酒禁止法という法律があり、タバコについては、未成年者喫煙禁止法という法律があります。

では、2022年4月1日より開始する民法上の成人年齢の引き下げに伴い、飲酒や喫煙をすることができる年齢も引き下げられるのでしょうか。

結論としては、民法上の成人年齢が引き下げられたとしても、飲酒及び喫煙のいずれも20歳にならないと行うことはできません。

未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法においては、民法改正後であっても20歳未満の人の飲酒、喫煙を禁じることになります。

これは、いずれの法律も20歳未満の人の身体の安全等に配慮したものであるため、民法上の成人年齢の引き下げに伴い、引き下げられるべきではないと考えられているからです。

2. 養育費について

夫婦が離婚する際に未成年のお子さんがいらっしゃる場合には、お子さんの生活費を養育費という形で支払うことについて合意するのが一般的です。

その際、「子が成人に達するまで」というように支払期限を設定していた場合に、2022年4月1日以降より、上記のような規定の場合には養育費の終期については18歳までに引き下げられてしまうのでしょうか。

これについては、法務省において見解が示されており、取り決めの時点では成人年齢が20歳であった場合には成人年齢の引き下げがなされたとしても養育費の終期は20歳のままとすべきとされています。

理由としては、養育費については経済的に未成熟であるお子さんのために支給されるものであって、成人年齢が18歳に引き下げられたからといって当然に18歳のお子さんが経済的に未成熟な状態でなくなるわけではないからとされています。

もっとも、お子さんの経済的な成熟度に関してはケースバイケースであるようにも思えるため、今後成人年齢の引き下げ後に関する養育費の問題については、是非一度弁護士にご相談ください。

 

掲載している事例についての注意事項は、こちらをお読みください。
「相談事例集の掲載にあたって」

1 2 3 4 5 6
WEB予約 弁護士法人菰田総合法律事務所アプリ
事務所からのお知らせ YouTube Facebook
弁護士法人菰田総合法律事務所 弁護士×税理士 ワンストップ遺産相続 弁護士法人菰田総合法律事務所 福岡弁護士による離婚相談所