弁護士コラム

2018.04.11

相続財産について①

<ご相談者様のご質問>

 父が先日なくなりました。相続人は私だけなのですが,父が所有していた物は実家の不動産があります。しかし,父はギャンブル等で作った借金もありますが,借金は父が作ったもので私は関係ありませんよね。

<弁護士からの回答>

 これまでは,相続人,すなわち,誰が亡くなった人の財産を相続することになるのか,相続人の順位,資格の喪失等についてご説明させていただきました。
 今回からは,これまで説明してきた相続人にどういった財産が承継(相続)されるのかという相続財産に関する問題についてご説明させていただきます。
 今回は,相続財産の定義や総論的な内容をご説明させていただきます。

 民法では,「相続人は,相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」と規定されています(民法896条本文)。
 したがって,被相続人の財産に属した一切の権利義務が相続人に承継されるため,相続財産とは,相続開始時に被相続人の財産に属していた一切の権利義務,すなわち,被相続人が有していたプラスの財産(積極財産)とマイナスの財産(消極財産)のすべてのことをいいます。もっとも,民法896条但書では「被相続人の一身に専属したものは,この限りではない。」と規定されており,被相続人の一身専属の権利義務に関しては相続財産含まれないことになります。

 このように,相続財産については,積極財産(プラスの財産)だけではなく,消極財産(マイナスの財産)についても相続されることになります。積極財産については別の機会のご説明させていただきますが,消極財産としては,負債(借金,事業での買掛金,住宅ローンなど)や,税金関係(所得税,住民税,固定資産税,その他未払いの税金など)に加え,未払いの家賃・地代,未払い分の医療費等も含まれるため,かかる消極財産を承継した相続人は,債権者等に承継した債務等を返済する義務を負うことになります。

 また,相続の際には,積極財産のみ承継して,消極財産を承継しないということはできません。したがって,相続する際には,被相続人にどのような相続財産があるのかについてしっかり判明してから相続するかしないかを判断する必要があります(相続放棄については,別の機会でご説明させていただきます。)。

 ご相談者様の事例でも,お父様の不動産を相続する際には,お父様が作った債務についても承継し,支払う必要があるので相続するか否かは,慎重に判断された方がよいでしょう。
 当事務所でも相続に関しお手伝いさせていただく際には,相続財産を調査するサービスもございますので,お気軽にご相談ください。

WEB予約 KOMODA LAW OFFICE総合サイト
事務所からのお知らせ YouTube Facebook
弁護士法人サイト 弁護士×司法書士×税理士 ワンストップ遺産相続 弁護士法人菰田総合法律事務所 福岡弁護士による離婚相談所