弁護士コラム

2018.01.31

代襲相続について③

代襲相続について③

<ご相談者さまからのご質問>

   先日,私の母方の祖父がなくなりました(祖母は既に亡くなっており,祖父には兄が1人おります。)。母は祖父が亡くなる前に既に亡くなっていたのですが,祖父の相続手続きのために,戸籍を取り寄せていたら,実は,母と祖父は血がつながっておらず,養子縁組を行っていたことが分かりました。母と祖父の関係について知らなかったので大変ショックなのですが,この場合,私は,代襲相続により祖父の相続人になるのでしょうか。

<弁護士からの回答>

  相続の手続きを行うと,被相続人の戸籍をたどっていく必要があり,その中で,ご相談者様の事例のようにそれまで知らなかった身分関係が明らかになることは少なくありません。特に今回のように養子縁組にまつわる問題は多くあり,これまでお話ししてきた,代襲相続との関係で複雑な問題があるため,ご相談事例に即してご説明いたします。

  ご相談者様の事例では,ご相談者様のお母さまは祖父の養子であり,「被相続人の子」にあたり,そして,お母さまは,祖父が亡くなる前に死亡しているため,「相続の開始以前に死亡」していることという代襲相続の要件も満たしています。

  もっとも,代襲相続に関する規定では,「被相続人の直系卑属でない」場合には,代襲者にはなれず,代襲相続は認められないとされています(民法887条2項但書)。そこで,養子の子であるご相談者様が「被相続人の直系卑属」に該当するか否かが問題となります。

  民法では,養子と養親については,養子縁組の日から同一の親族関係を生ずるとされており(民法727条),養子は,養子縁組を行った時点で,実子と異ならない身分関係を有することになります。したがって,養子縁組後に生まれた養子の子については,実子の子と異なりませんので,縁組後に生まれた子は,養親の「直系卑属」に該当することになります。

  ご相談者様の事例でも,お母さまと祖父が養子縁組をした後に,ご相談者様が生まれた場合には,被相続人の直系卑属に該当するため,代襲相続により,祖父の相続人は,ご相談者様お一人となります。

  これに対し,養子縁組の前に生まれた子(養子の連れ子)の場合には,親が養子になったことにより,自動的に連れ子が養親と身分関係を有することにはなりません。したがって,ご相談者様の事例で,お母さまと祖父が養子縁組を行う前に,ご相談者様が生まれていた場合には,ご相談者様は祖父(被相続人)の「直系卑属」には該当しないため,代襲相続は認められません(この場合,祖父の相続人は,祖父の兄1名となります。)。
  被相続人において養子の連れ子にも相続をさせたい場合には,養子の連れ子との間で直接養子縁組を行う必要があります。

  このように,養子縁組を行う場合には,後の親族関係にも大きく影響を及ぼすことになりますので,一度弁護士にご相談いただくのがよいと思います。

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