弁護士コラム

2022.08.25

くじ引きで当たりがなかったら?

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8月は、お子さんが夏休み真っ只中という方も多いのではないでしょうか。
我が家の長男が今年から幼稚園に通っているのですが、7月末から初めての夏休みに入り、今まで平日の午前中は家にいなかった息子が家にいるため、妻は毎日どこに連れて行こうかと頭を悩ませています。

小さいころ、夏休みといえば地元のお祭りに行き、屋台でかき氷や焼きトウモロコシやたこ焼きなどを買って、友達みんなで食べるのがとても楽しみでした。

そんなお祭りの出店に、1回200円程度でくじ引きをさせるお店が出ていることがあります。
1等の商品は高額なゲーム商品が出されており、子どものころは、ひょっとしたら当たるかもとドキドキしながらお小遣いを減らしていったことが懐かしいです。
しかし、中学生、高校生と成長するにつれ、1等や2等の商品は当たるものではないと、うすうす感じるようになり「本当は当たりくじは入っていないのではないか」と感じた時、少し大人になったような気持ちになりました。

それでは、くじ引きで当たりくじが一切入っていなかった場合どうなるのでしょうか。
ユーチューバー等が高額な現金を支払い、くじを全部買って当たりが入っているか調べるという動画がありました。
自分も思わずどうなるのか見たことがあるのですが、実際にくじ引きで当たりくじが一切入っていない状態で、客にお金を払わせくじ引きをさせていた男性が、詐欺罪で逮捕されたというニュースがありました。

くじ引きで当たりがなかったら?

詐欺罪は刑法246条に記載されており、だます行為(「欺罔行為」といいます。)により錯誤(法律用語で簡単にいうと「勘違いしている状態です。」)に陥り、財産の交付行為により財物が移転することで詐欺罪が成立します。

くじ引きの場合には、くじの中に当たりくじがあるということを黙示的に表示していることになるため、仮に当たりくじが1つもない場合には、当たりくじが入っていないにもかかわらず、当たりくじがあるという意思を表示していることであるため、欺罔行為が成立します。
そして、くじを引く人は「このくじのなかに当たりくじが入っている」と信じてくじを引くため「錯誤」に陥った状態で、くじの代金という財物を交付していることになります。

他方で、当たりくじの数が極端に少ない場合でも、当たりの個数などを明示していない場合には、だましているということにはならず、詐欺罪は成立しないことになると思います。

このように、当たりくじが1つも入っていない場合には詐欺罪という犯罪になります。
上記のように当たるものではないとわかってはいますが、息子が「やりたい!」とねだってきた来た場合にはやらせてしまうと思うので、少なくてもいいので、子どもに夢を与えるためにも当たりくじは入れておいてもらえたらなと思います。  

 

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