弁護士コラム

2021.12.22

カジノは違法じゃないの?~ギャンブルと賭博罪~

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近年、海外では一般的になっているIR(統合型リゾート)について、日本政府が着目し始め、2016年にはIR推進法が成立し、日本でもIRを実現するために、東京や大阪のみならず、九州では長崎(佐世保)が誘致に手を挙げているといった内容のニュースを目にするようになりました。

このIRの中には、カジノ施設が入ることが多く、日本で設置されるIRにおいてもカジノ施設が入ることが予定されています。
2021年の7月には、IR整備法のうち、日本国内でのカジノを解禁し、ギャンブル依存症対策などを定めた条項を7月19日に施工することが閣議決定されました。

この新たに施行させる条項には、事業者が国からの免許を受けた場合、カジノのゲームで金銭を賭けたとしても、刑法の賭博罪を適用しないことが明記されています。

カジノこのように、刑法の賭博罪を適用しないということがわざわざ明記されているということは、カジノでお金を賭けてゲームする行為、形式的には、刑法で禁止されている賭博罪に該当するということになります。

カジノのみならず、日本では、パチンコや競馬などのギャンブルが行われておりますが、パチンコや競馬をやっている人が賭博罪で逮捕されることはありません。
今回は、一見すると賭博罪に該当するようなギャンブルについて、なぜ賭博罪に該当しないのかについてご説明させていただきます。

まず、刑法のと賭博罪の規定をみると、刑法185条では、「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」と規定されています。

すなわち、一時の娯楽に供するものを賭けたにとどまる場合(お昼の代金をごちそうするために、あるチームが勝つか負けるかを賭ける場合などです。)を除くと、「賭博」に該当する行為を行った場合には、刑法185条違反となり、50万円以下の罰金等に処せられる可能性があることになります。

そして、「賭博」とは、『偶然の支配』による財物の得喪のことをいいます。
簡単に言うと、「結果がわからない事に金品を賭けて楽しむ事」をいいます。
この定義からすると、パチンコも賭博に該当するようにも思えます。

しかし、パチンコをされない方には、よくわからないと思いますが、パチンコの仕組みは、①お金を払ってお店からパチンコの玉を買う、②買った玉でパチンコ台で遊戯を行う、③出た玉と、財物的価値がない景品と交換するという仕組みになっています。
そして、パチンコ店では、お店を出たすぐ隣に「景品交換所」という上記③でもらった景品を現金で購入してくれる場所があります。 このように、パチンコ店では、財物性のない景品しかもらえないため、「賭博」には該当しないことになり、お店を出たら「たまたま」お店とは関係のない(ということになっています。)交換所の人が景品を現金を交換してくれたという仕組みになっています(これを通称「三店方式」といいます。
だいぶ脱法的な要素が強いですが、国も警察も黙認しているというのが現状でしょう。

競馬一方、競馬の場合には、馬券を購入し、購入した馬券が当選した場合には金銭が直接払い戻されるため、まさに「賭博」に該当します。
しかし、公的な団体(JRA)が運営しているということ、会場が地域発展の貢献につながるという理由で、国が認めた賭博(「公益賭博」といいます。)であるため、賭博罪の適用はありません(IRでのカジノ施設も国が認めたため賭博罪が適用されません。)

このように、パチンコや競馬等は、いくらやっても賭博罪として犯罪行為には該当しないものの、ギャンブル依存になってしまうと、破産など人生を壊してしまう危険性を有しています(上記IR整備法においても、ギャンブル依存対策として、国内客の入場は7日間で3回、28日間で10回と利用制限が設定されています。)

当事務所にもギャンブルで多額の借金を抱えてしまった方がご相談に来られることが少なくありません。
そういった方でも、破産が認められるケースや、個人再生手続により、元の生活に戻ることができる方がほとんどですのでギャンブルでの借金でお悩みの方はなるべく早くご相談ください。

 

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